上 下
25 / 58

25 ヒロインだって言ってるでしょう!?(マリーン視点)

しおりを挟む
 リカルド様が学園に来なくなって、仕方なしに王子の攻略を始めた。王子様とその一味はとにかく目立つから、すぐに見つける事が出来る。

「きゃあっ!」

「君、だいじょ……う、ぶか……」

 王子様の前に駆け出して、ワザと転ぶ。本当は2年生の試験の前にあるイベントなんだけど、まあ大丈夫でしょ?

「あ、足が痛いですぅ~立てません~」

「では、救護室に……お、くっ……て行こう……」

「マークス様がみずから送らなくとも。誰か」

 余計な事言わないで!私は隣にいた騎士団長の息子を睨みつけた。

「えーん!痛いですぅ~!」

「え?あ、ああ……そうか、それは大変だ……」

 やっぱりみんな私に優しいわ!私はすぐに王子様達と仲良くなったの!やっぱり分かる人には分かるのよ。私のヒロインオーラがね!そして、ヒロインならではの特権もたくさん使わなきゃね!

「ねーマークス様、マークス様達だけがいけるサロンに連れて行ってくださーい」

「ああ……マリーンなら、い、良いだろう……」

「そう、ですね」

「……そうだ、な」

 三人とも何だかぼんやりしている気がするけど、まぁいいや!みんなカッコいい!ゲームのスチルでみた顔にそっくり……でもないわね?まあカッコ良いからいいか!
 これから、私のヒロインモード全開なのよ!

 って思ってたら、みんな学園に来なくなっちゃった……なんでよぉ!!

 王子様達も来ないし、リカルド様も相変わらず来ない。いるのはショーン君とリカルド様の妹くらい。仕方がないから、隣のクラスに遊びに行ってあげる事にしたの。

 しかも留学生が来たらしいしね!どんな人かな?ゲームには途中で留学生が来たなんてなかったんだけど、いつものちょっとしたバグかしらね?攻略対象が学園をお休みしてこなくなること自体おかしいものね。
 早く元通りに戻ってくれないかしら?ホントちゃんと攻略させて欲しい!私超がんばるのに~!

 

 おかしくない?!

 私は舌打ちをしそうになった。このクラス、このジュリエッタがいる隣のクラスだけおかしい!この世界のヒロインである私になんでこのクラスだけ冷たい目を向けるの?!
 リカルド様の妹のジュリエッタなんてただのモブの癖に、このヒロインの私に向かって

気持ち悪い、近寄らないで!と言ってくる。おかしくない?!普通なら向こうの方から擦り寄って来るのが当たり前でしょう?
 そして何も言わなくてもリカルド様との仲を取り持つのが当然なのに、私を避けるし、無視もする。ろくに普通の会話もした事がない。
 でも心の優しい私は友達だと思ってやってるのに、いい加減にして欲しいわ。

 それにショーン君もショーン君よ!可愛い系だから、私はあんまり好みじゃないわ。でもショーン君だって攻略対象者なんだから、私の事を好きなはず。「メキャベツ」でもショーン君は最初から好感度が高くて、一緒に図書館イベントとか、授業中の忘れ物イベントとかあったのに。クラスが違うから何も起こらないのよね!イライラするぅーー!
 そんなショーン君まで私を睨んでくるの!なんで?なんでよ!

 そしてこのクラス自体おかしい!このクラスだけよ!私にこんなに冷たくて睨んで来るのって。ほんと、頭おかしいんじゃない?!

 それでも私はクラスの中を見渡す。いた、初めて見る顔の人!うわ!美形!紫の髪の毛なんて素敵ー!そして青い目で私を見てるわ!
 ……こんな攻略対象居なかったけど……も、もしかして3のキャラとかなのかしら?!見た事ないから3の隠しキャラかも!

 最近王子様も他の攻略対象も学園を休んでるから、この人と仲良くなろうっと!きっと私はこの世界のヒロインなんだから、バグさえなきゃどんな人とも仲良くなれちゃうはずだもんね!

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

側妃、で御座いますか?承知いたしました、ただし条件があります。

とうや
恋愛
「私はシャーロットを妻にしようと思う。君は側妃になってくれ」 成婚の儀を迎える半年前。王太子セオドアは、15年も婚約者だったエマにそう言った。微笑んだままのエマ・シーグローブ公爵令嬢と、驚きの余り硬直する近衛騎士ケイレブ・シェパード。幼馴染だった3人の関係は、シャーロットという少女によって崩れた。 「側妃、で御座いますか?承知いたしました、ただし条件があります」 ********************************************        ATTENTION ******************************************** *世界軸は『側近候補を外されて覚醒したら〜』あたりの、なんちゃってヨーロッパ風。魔法はあるけれど魔王もいないし神様も遠い存在。そんなご都合主義で設定うすうすの世界です。 *いつものような残酷な表現はありませんが、倫理観に難ありで軽い胸糞です。タグを良くご覧ください。 *R-15は保険です。

懐妊を告げずに家を出ます。最愛のあなた、どうかお幸せに。

梅雨の人
恋愛
最愛の夫、ブラッド。 あなたと共に、人生が終わるその時まで互いに慈しみ、愛情に溢れる時を過ごしていけると信じていた。 その時までは。 どうか、幸せになってね。 愛しい人。 さようなら。

余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめることにしました

結城芙由奈 
恋愛
【余命半年―未練を残さず生きようと決めた。】 私には血の繋がらない父と母に妹、そして婚約者がいる。しかしあの人達は私の存在を無視し、空気の様に扱う。唯一の希望であるはずの婚約者も愛らしい妹と恋愛関係にあった。皆に気に入られる為に努力し続けたが、誰も私を気に掛けてはくれない。そんな時、突然下された余命宣告。全てを諦めた私は穏やかな死を迎える為に、家族と婚約者に執着するのをやめる事にした―。 2021年9月26日:小説部門、HOTランキング部門1位になりました。ありがとうございます *「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています ※2023年8月 書籍化

貧乏男爵家の末っ子が眠り姫になるまでとその後

空月
恋愛
貧乏男爵家の末っ子・アルティアの婚約者は、何故か公爵家嫡男で非の打ち所のない男・キースである。 魔術学院の二年生に進学して少し経った頃、「君と俺とでは釣り合わないと思わないか」と言われる。 そのときは曖昧な笑みで流したアルティアだったが、その数日後、倒れて眠ったままの状態になってしまう。 すると、キースの態度が豹変して……?

【完結】王女様がお好きなら、邪魔者のわたしは要らないですか?

曽根原ツタ
恋愛
「クラウス様、あなたのことがお嫌いなんですって」 エルヴィアナと婚約者クラウスの仲はうまくいっていない。 最近、王女が一緒にいるのをよく見かけるようになったと思えば、とあるパーティーで王女から婚約者の本音を告げ口され、別れを決意する。更に、彼女とクラウスは想い合っているとか。 (王女様がお好きなら、邪魔者のわたしは身を引くとしましょう。クラウス様) しかし。破局寸前で想定外の事件が起き、エルヴィアナのことが嫌いなはずの彼の態度が豹変して……? 小説家になろう様でも更新中

あなたなんて大嫌い

みおな
恋愛
 私の婚約者の侯爵子息は、義妹のことばかり優先して、私はいつも我慢ばかり強いられていました。  そんなある日、彼が幼馴染だと言い張る伯爵令嬢を抱きしめて愛を囁いているのを聞いてしまいます。  そうですか。 私の婚約者は、私以外の人ばかりが大切なのですね。  私はあなたのお財布ではありません。 あなたなんて大嫌い。

【完結】辺境伯令嬢は新聞で婚約破棄を知った

五色ひわ
恋愛
 辺境伯令嬢としてのんびり領地で暮らしてきたアメリアは、カフェで見せられた新聞で自身の婚約破棄を知った。真実を確かめるため、アメリアは3年ぶりに王都へと旅立った。 ※本編34話、番外編『皇太子殿下の苦悩』31+1話、おまけ4話

記憶がないので離縁します。今更謝られても困りますからね。

せいめ
恋愛
 メイドにいじめられ、頭をぶつけた私は、前世の記憶を思い出す。前世では兄2人と取っ組み合いの喧嘩をするくらい気の強かった私が、メイドにいじめられているなんて…。どれ、やり返してやるか!まずは邸の使用人を教育しよう。その後は、顔も知らない旦那様と離婚して、平民として自由に生きていこう。  頭をぶつけて現世記憶を失ったけど、前世の記憶で逞しく生きて行く、侯爵夫人のお話。   ご都合主義です。誤字脱字お許しください。

処理中です...