【完結】アタシは恐怖の魅了使い！王子様を恐怖のずんどこに叩き込む為に転生したぞ！

2 お兄様の婚約者

　朝食の席で何となーく良い空気が流れる中、一人だけイライラしているのがお兄様のリカルドです。私の一つ上の方なのですがまあわたしと仲が悪い！
　なので一つ魅了の極細線を一本入れます。これで兄と妹の親愛の情くらいにはなったでしょう。

「リカルド、お前近頃フローラ様と懇意にしておらんそうではないか？」

「父上、私とフローラの事は私達に任せてくださいませと何度も言っているではないですか！」

　カシャン！マナー悪く食器を鳴らし、お兄様は立ち去ってしまった。むう？　

「せっかく伯爵令嬢のフローラ様との婚約にこぎつけたのに……」

　フローラ様はふわふわした可愛らしい御令嬢で私も大好きな方なのですが、お兄様は学園で何かやらかしの雰囲気がするんですよねー。

　手紙書いちゃお！

　私がフローラ様に心配です、良ければ会ってお話を聞きたいとお手紙をしたためると、なんとお屋敷にご招待していただけました！わーい！

「ジュリエッタ！来てくれてありがとう！」

「フローラお姉様！お会いしたかったです！」

　笑いかけるとフローラ様は悲しそうに顔を歪めてしまいました。あれぇ！？

「あなたの事を妹と呼べる未来は来ないかもしれないのです」

　な、なんだとーーー！私がお呼ばれした席にはフローラ様のご学友のお姉様が二人おりました。食い気味に話を聞くと兄は悪行三昧です！

「リカルド様は……とある平民の女生徒に夢中なのです」

「その女生徒は複数人の男子と……」

　流石に鵜呑みにする訳には行かないので私は証拠がないか聞いてみる。

「確かに兄は少し自分勝手なところはありますが、まさか信じられません」

「調査票です。少し刺激が強いかもしれませんが、見てみて下さいますか？」

　フローラ様から渡された書類をみるとぐわ！真っ黒だった！ダメなやつだ！アウトー！兄、アウトーー！

「こ、これはフローラ様に愛想を尽かされても仕方のない状況ですね……」

「わたくし、何度もリカルド様に注意いたしました。貴族たるものそんな事をしてはいけないと。その　女生徒にもやんわり言ったのですが……」

「フローラ様が悪人にされてしまう始末なのです……」

　ご学友のお姉様方もハンカチで目元を覆う。ならば……

「フローラ様は兄の事、嫌いになりました？もう浮気性の兄は要らないですか？」

　涙目になりながらもフローラ様は首を横に振った。

「リカルド様をそんなに簡単に嫌いにはなれないわ。少し、気が迷っていらっしゃるだけなのよ……」

　フローラ様！不埒な兄がすいません！これから根性叩き直しておきますね！

「兄を信じて下さるのですね！嬉しいです！では私がお母様から教わったおまじないをしてもよろしいでしょうか？」

「おまじない？ふふ、ジュリエッタは可愛い事が得意なのですね」

「はい！」

　フローラ様と、ここにはいない阿呆兄を思い出し、強めに線を引く。現物がそばにいないから弱いだろうし。

「二人は仲良くなーる」

　それっぽい事を呟いておく。

「そのうち我が家にも遊びに来ていただけませんか？」

　本人がいた方が繋ぎ易いからね！

「ふふ、おまじないが上手くいったらお願いしますね！」

　っはー！良い仕事した！