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60 上弦で俺達は「世界」に見守られる

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 俺達はキースのお母さんをあの温泉村に連れて行った。

「じーちゃん、ばーちゃん。僕のお母さんを仲間に入れてやってね」

「勿論だともキースちゃん。所でマクファーランはどうなったんじゃ?」

 流石に俺は目を逸らしたが、笑いながらキースは暴露してしまった。

「仲間の魔法に怒ったファイさんが綺麗さっぱり吹っ飛ばしちゃいました!城なんて跡形もないです!」

「ファイちゃんは容赦ないのう」

「ぷれーやーはすごいのう」

 やり過ぎだったと俺も反省している。でも俺はまだしもあんなんキースが当たったら死ぬだろうよ!ちょこっとだけキレただけじゃねえか……。

「なんだかんだとうるせーから、暫く旅でもするわ。じじぃになる前にはまたここに戻って来るからよ」

「そうじゃのう、若いうちは色々やってみるべきじゃしのう」

「いつでも帰っておいでよう?

 ああ、そうだな。ここは居心地が良いもんな。
 村の年寄りどもに手を振って俺達は旅に出る。

「今度は海なんてどうです?僕、魚料理に興味あります!」

「それ良いなぁ。刺身ってあんのかな??」

 刺身ってなんですー?と聞くキースに生で食べる事を教えると目を白黒させていた。




「だいぶ馴染んでおるのう」

「そろそろ、世界と溶け込むじゃろう」

 何でもない風なジジィとババァの会話。俺達には絶対に聞こえないそれを知る由もない。

「たまに入れ替えせんとなぁ。えぬぴーしーもフレッシュ感が必要じゃわい」

「新しいげーむたいとるはなんにしようかのう?」

「次は同性結婚おっけーにしようぞ。わし、キースちゃんとファイちゃんの事、意外と気に入っておるんじゃ」

「わしもじゃ」「わしもわしも」

 わいわいと村の広場にお年寄り達が集まってくる。

「男同士でも女同士でも子供ができるように調整してしまえ」

「あいよぉ」

 ばあちゃんの手元に半透明なキーボードが現れる。

「ホイホイっと。あらぁーこの設定にしたら、ファイちゃんそのうち赤ちゃん出来ちゃうんじゃないかねぇ?」

「良いねぇ。ワシ、死ぬ前にあの二人の子供を一目見たいもんじゃ」

 ほっほっほ!と笑う。

「そうじゃ、じぇんだーれすMMOなんてどうじゃろうか?」

「なかなかまにあっくじゃのう……アリゲは良かったがコケたりせんかのう?」

「コケたらコケたまでじゃろ。また作りなおそうぞ」

「管理者っちゅー立場も微妙じゃのう」

「まー溶け込んでしまえば闇魔族っちゅーシステムに狙われる事もないし……おおそうじゃ、次のいめーじきゃらくたーにしようぞ」

「ええのうええのう」



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