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38 俺は上弦で時透に相談した

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《時透、マクファーラン国の事知りたい。事によっちゃ国を潰したい》

《詳しく》

《キースが連れていかれた》

《なるほど、やっぱりキースは王族だったか》

 やっぱりってなんだ、時透。しばくぞ、時透。俺は遠く離れた時透とメッセージのやり取りを繰り返す。

《考えてもみなよ、ファイ。いくら錬金術師とはいえお前のその魔力と力を一人で受け持てるって何か特別な血筋だって思わなかったの?》

《……いや、特に》

 時透が頭を抱えた気がした。

《私だってねえ!シリン国からあの三人に来てもらったんだよ?!元王子様だよ!あの三人も!くまのお相手もそう!一般人が我々プレイヤーの力を一人で全部受け止められる訳ないの!》

 そ、そうだったのか!全く全然気が付かなかった。だってあった時からキースはキースだったし。キースが王族~?あいつ料理めちゃくちゃ上手いぞ?料理の上手い王族なんているか~?……いや待て、最初はあまり上手じゃなかったな?段々上手くなって行ったな?あれ?

《ま、マクファーランね……結構遠いね、どうやって行くの?》

《従魔の手綱あるから》

《レアアイテム持ちめええええええ!》

 お前だって持ってるだろ、時透。どっかのボスドロップだった気がするけど、これがあればなんか乗れそうな魔物やらなんやらを簡単に乗りこなせる便利アイテムだ。めんどくせえからその辺にいるグリフォンあたりふんづかまえて乗って行こうかなって。
 なにせ、竜騎士はクロたんに乗るから手綱はいらなかったから錬金術師のアイテムボックスにいれてあったんだよね。

《いいから!とりあえずファイ、白夜の拠点に来い!》

 なんで出てった場所にでもどりしなきゃならんのだ。恥ずかしいし嫌だ。

《お前、キースがいないのに下弦に入ったらどうするの?》

《……考えてなかった……》

 そうだ……15日間も一人で悶々とするのか?あ、その間飯とかどうすればいいんだ?

《下弦の最後なんて相当やばいらしいぞ……私も良く分からないんだが……相当、こう……》

 エロいらしいと……し、知らないし!?毎回記憶があまりないから知らないし!?

《うわーーーー!言うな!》

 仕方がなく、俺は白夜の翼の拠点がある街へ行くことを約束した。ゲームの時に使っていたテレポート装置があれば、あの街まで飛ぶことは簡単だ。

 俺達が暮らしていた温泉のある田舎からテレポート装置のある比較的大きな街まで向かう。乗り物を手に入れないとなあ?

「アイツでいいか。おらぁ!熊公!こっち向け!」

「がるるる!」

 森で見つけた熊をぶん殴り、無理矢理従魔の手綱をつける。大体の動物や魔物はこれをつけられると、馬みたいに主人を乗せて走ってしまう優れ物だ。

「よっしゃ!行けー」

「ぶるるーー!」

 熊は不機嫌だが、俺を乗せて走り出した。熊!揺れる!うげっ?!
 熊は乗る物じゃねえな。次はもっと乗りやすい生き物にしようと心に誓った。
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