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7 俺は上弦の間にキースと採取へ行く

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 くそっ!足腰が痛い……!新月が終わりやっと上弦に入った。俺の力は抜けなくなり、溜まり始めるがこんな時に闇魔族に襲われようものなら、ひとたまりもない。キースに溜め込んで置かなければ。
 くそっ、本当になんで戦闘職じゃなく、錬金術師なんだ!隠れ住むしかないなんて、せっかくこのアリアゲートの世界を体感できるのに、悔しすぎる。
 生活という点では便利だけどな。キースもいてくれるから、街の人から怪しまれない。

 この世界に取り残されたのは多分俺一人じゃないはず。そいつらが闇魔族とやらを倒す方法や、現実に戻る方法を見つけてくれれば良いけど……。
 とにかく、確実な情報が手に入るまで迂闊に外は出歩けない。闇魔族が恐ろしすぎる。この世界の死はどうなっているかも分からん。ここで死んだらお終い、なんて洒落にもならない。
 もう少し、様子を見よう……。 



 ファイさんが上弦に入ってしまった……くすん。夜のベッドが一人で寂しい……。今日と明日くらいは一回づつやらせてくれるかもしれないけど、次の下弦までお休みだ。
 昨日の最高に可愛くていやらしいファイさんを思い出しながら、過ごそう……。ファイさん~エッチしたいよぉ~~!

「キース、お前ロクな事考えてねーだろ?」

「あひゃい!」

 バレた。

「元気そうだな?ああん?!薬草摘みに行くぞ!オラァ」

「ひぃ!」

 上弦のファイさんはこうして薬の材料を取りに近くの山へ出掛けることも多い。

「荷物持つんだ」

「勿論ですっ!」

 ファイさんは「ぷれーやー」だ。

「くそ弱い錬金術師ぃーー!」

 って叫んでいるけど、「ぷれーやー」は生まれた時から、僕たちより遥かに強い。

「クソ雑魚うさぎぃ!」

 ファイさんが飛び出して来た一角うさぎをすりこぎ棒で殴って倒すけど、その一角うさぎに僕たち町民は何人も殺されているし、キック一発で吹っ飛ばす狼被害は後を経たないし、ゴブリンに至っては冒険者を雇って高いお金で狩ってもらっている。

「ゴブリンの素材はしょぼいからなぁ」

 ファイさんが無造作に振り回している剣だって、何か付与されている超一級品だ。

「んー……なんかのクエストで落ちたやつだろ?大したことねーよ。錬金術師が装備できるもん少ないんだよ」

 ケロッと言ってるけど、その剣王都に持っていけば国宝にされてもおかしくないやつだよ?それを売れば一生遊んで暮らせるよ!ファイさん!

「んな訳ねーだろ」

 ファイさんは取り合ってくれない。でも王都なんか行ってファイさんに国王様が惚れたら困るから、それで良い事にしちゃった!
 ファイさんは倒した獲物をどんどんアイテムボックスに入れて行く。そのアイテムボックスだって……もう良いか!

「キース!腹減った、飯」

「はーい。今日はファイさんの好きな白イノシシのパストラミに黒コケの卵のサラダのサンドイッチと、甘赤梅のジュースです」

「ふん」

 そっけない返事だけど、目がキラキラしてますよ!僕は料理も好きなのでファイさんの胃袋をがっちり掴んでいる自信がある。

「どうぞ?」

「ん」

 ぱくぱくむしゃむしゃ!そんなに急いで食べなくても取りませんよ?そして

「んぐっ?!」

「はい、飲み物です」

「んぐぐ!ぷはっ」

 喉を詰まらせて涙目のファイさんも可愛いなぁ……あーエッチしたい。

「痛っ!」

「また何かくだらない事考えてたろ!」

 ううーバレた。ファイさんのパンチは結構痛いんだよぉ!お昼ご飯を食べ終わり、僕たちは薬草摘みをする。

「ファイさん、これは?」

「薬草じゃないが、レアな草だな」

 教えて貰った通りの草を摘んでるはずなんだけどなー?

「ファイさん、これ?」

「薬草じゃないけど、レア毒の解毒剤に使えるな」

「……あれぇ?」

 僕は薬草摘みの才能はないみたいだ……。僕たちはファイさんが薬草とモンスターや動物を倒し、僕は森の果物や山菜を摘んで帰って来た。薬草は分からないけど、食べられる物は分かるんだ!

「帰るぞ」

「はい!」

 長々と外にいるのは闇魔族に見つかると困るから、さっと来てさっと帰る。それでもかなりの物をファイさんのアイテムボックスに詰め込んで戻ってきた。
 食べられる動物や魔獣は家で解体する。血や骨、毛皮なんかファイさんが使う物と食べるものに分けてそれぞれ保管する。

「茹でるか、ベーコン……作るか」

「スパイスの効いた奴」

「勿論ですよ」

 ファイさんの好きな物、沢山仕込んでおきますね!



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