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ざまぁ後の阿呆王子
3 精霊ちゃん
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手紙の件は伝わったようで、了承したと、短い返事が来た。まあ、父上や兄上とて馬鹿王子である俺の子種なんて増やされても困るだろうしね。王家にとって何にもいいことないもんね。
さて、後は?
「やる事、ないな」
思い出そうにもこの後何があったのか覚えてないし、描かれてもいないはずだ。
「そうだ。カティーシアには謝罪しておかないとな」
カティーシアはさっさと国外逃亡するが、カティーシアの父親の公爵はこの国にしばらくはいるはず。2人の仲は悪くないはずだから、公爵に手紙を出せばいずれカティーシアに届くかもしれない。
「えーと、前略からかな?」
字の練習も兼ねて、なるべく丁寧に書いてゆく。
「……今となっては子供の頃に遊んだ事を思い出します。貴方の健康と発展をお祈りして……。よろしければ貴方の開発した美容ポーションを王妃様に売って差し上げていただきたいです。皆様、バラの香りなどお好きなようでしたので、精油などを垂らして香りがあればさらに……おっと厚かましいかな?」
この部屋にある一番女性が好みそうな封筒にいれ、わざと封はしないでおく。あんなひどい事をした俺からの手紙だ。中身は必ず確かめられる。
なら開けておいて構わない。
コンコン、扉を叩くと兵士が開けてくれた。
「この手紙をハイラム公爵に届けて貰いたい。いつでも構わないので、頼む」
「あ、はい!」
「ありがとう助かるよ」
会話は短いが、兵士たちがまたびっくりしている。ふふ、あのびっくりした顔をみるのも楽しいな。
そして暇になった俺は
「おー!久しぶりに見たなー」
ふわふわと光る精霊ちゃんと遊んでいた。本当に精霊かどうかは知らないのだが、俺が5歳くらいの愛くるしいウルトラスーパー天使だった頃は良く見えて、こんな風に指に乗せたり頭に乗せたりして遊んでいた。
それから、ウルトラスーパー天使だった俺は根性が捻くれ、文句ばかりいい、わがまま放題を始めると、光って飛ぶ多分精霊はどんどん居なくなった。
家庭教師を次々辞めさせ、庭木を折り、物に当たり散らし、カティーシアに暴言を吐き、メイドに罵声を浴びせる頃にはもうなーーんにも見えなくなった。
そしてナルジェルの中に俺が入ってまた見えるようになった訳だ。
「なんで言うか久しぶりだねぇ!はじめましてかなぁ?」
退屈で退屈でしょうがない俺は、返事が返って来ないのは知っていても、ふよふよ飛び回る精霊ちゃんに話しかける。
「でなー?俺はどうしたら良いのかなーって思う訳よ。ここにいてもご飯は食べられる訳じゃん?でもなー暇なんだよなー」
精霊ちゃんが瞬く。
ほ ん
「ん?ほん?本か!そっか!借りれば良いんだな!あったま良い!」
俺のそばにいる人間は少ない。扉を守る兵士が2人。6人くらいが交代で朝も昼も夜もついている。ご苦労様です。
そして食事を1日2回持って来てくれるメイドが2人。遅い昼と、早い夕方に食べる。夜中腹が空いたとき用に予備のパンと水もある。
肉とかはないけどね。
朝食を持って来たメイドに尋ねてみた。
「日中暇なので、何か本を借りて来て貰えないだろうか?」
メイドはびっくりしたが、
「お急ぎですか?」
「いや、いつでも構わない。食事のついでて良いよ」
かしこまりました。メイドは型通りに頭を下げる。ありがとうありがとう。
あまり美味しくない簡素なスープを全部いただいて空の食器を下げて貰う。
味が薄いのだよ……。せめて塩があればなー!うん、やっぱり出来ればここを出てもうちょっと美味しいものが食べたいな!
メイドが出ていくと1人になる。するとどことからもなく、精霊がやってきてふよんふよんと遊び出す。
俺の真っ赤な髪の毛を引っ張ったり、埋まったりしている。髪の毛が好きなんだなぁ。
「塩かー……この国で塩って高いんだよなー」
塩以外もなんでも高い。この国あんまり金持ちじゃないからな。主産業は小麦。小麦はあるからパンは食べられる。が!それだけなんだ。小麦しかない。
だから、カティーシアが新たなる産業の一環としてポーション作りを始めたのだけれども。
「俺がやらかした訳だー」
そりゃ、みんな怒るよねー……あーあ。ほんと何考えてたんだが!……何も考えてませんでしたー!すいませんでした!国民の皆様ホントさーせんっしったああああ!
「塩があれば、スープがもうちっと美味くなるんだがなー」
俺のぼやきを精霊ちゃんたちは聞いてくるくる回っていた。可愛い!
さて、後は?
「やる事、ないな」
思い出そうにもこの後何があったのか覚えてないし、描かれてもいないはずだ。
「そうだ。カティーシアには謝罪しておかないとな」
カティーシアはさっさと国外逃亡するが、カティーシアの父親の公爵はこの国にしばらくはいるはず。2人の仲は悪くないはずだから、公爵に手紙を出せばいずれカティーシアに届くかもしれない。
「えーと、前略からかな?」
字の練習も兼ねて、なるべく丁寧に書いてゆく。
「……今となっては子供の頃に遊んだ事を思い出します。貴方の健康と発展をお祈りして……。よろしければ貴方の開発した美容ポーションを王妃様に売って差し上げていただきたいです。皆様、バラの香りなどお好きなようでしたので、精油などを垂らして香りがあればさらに……おっと厚かましいかな?」
この部屋にある一番女性が好みそうな封筒にいれ、わざと封はしないでおく。あんなひどい事をした俺からの手紙だ。中身は必ず確かめられる。
なら開けておいて構わない。
コンコン、扉を叩くと兵士が開けてくれた。
「この手紙をハイラム公爵に届けて貰いたい。いつでも構わないので、頼む」
「あ、はい!」
「ありがとう助かるよ」
会話は短いが、兵士たちがまたびっくりしている。ふふ、あのびっくりした顔をみるのも楽しいな。
そして暇になった俺は
「おー!久しぶりに見たなー」
ふわふわと光る精霊ちゃんと遊んでいた。本当に精霊かどうかは知らないのだが、俺が5歳くらいの愛くるしいウルトラスーパー天使だった頃は良く見えて、こんな風に指に乗せたり頭に乗せたりして遊んでいた。
それから、ウルトラスーパー天使だった俺は根性が捻くれ、文句ばかりいい、わがまま放題を始めると、光って飛ぶ多分精霊はどんどん居なくなった。
家庭教師を次々辞めさせ、庭木を折り、物に当たり散らし、カティーシアに暴言を吐き、メイドに罵声を浴びせる頃にはもうなーーんにも見えなくなった。
そしてナルジェルの中に俺が入ってまた見えるようになった訳だ。
「なんで言うか久しぶりだねぇ!はじめましてかなぁ?」
退屈で退屈でしょうがない俺は、返事が返って来ないのは知っていても、ふよふよ飛び回る精霊ちゃんに話しかける。
「でなー?俺はどうしたら良いのかなーって思う訳よ。ここにいてもご飯は食べられる訳じゃん?でもなー暇なんだよなー」
精霊ちゃんが瞬く。
ほ ん
「ん?ほん?本か!そっか!借りれば良いんだな!あったま良い!」
俺のそばにいる人間は少ない。扉を守る兵士が2人。6人くらいが交代で朝も昼も夜もついている。ご苦労様です。
そして食事を1日2回持って来てくれるメイドが2人。遅い昼と、早い夕方に食べる。夜中腹が空いたとき用に予備のパンと水もある。
肉とかはないけどね。
朝食を持って来たメイドに尋ねてみた。
「日中暇なので、何か本を借りて来て貰えないだろうか?」
メイドはびっくりしたが、
「お急ぎですか?」
「いや、いつでも構わない。食事のついでて良いよ」
かしこまりました。メイドは型通りに頭を下げる。ありがとうありがとう。
あまり美味しくない簡素なスープを全部いただいて空の食器を下げて貰う。
味が薄いのだよ……。せめて塩があればなー!うん、やっぱり出来ればここを出てもうちょっと美味しいものが食べたいな!
メイドが出ていくと1人になる。するとどことからもなく、精霊がやってきてふよんふよんと遊び出す。
俺の真っ赤な髪の毛を引っ張ったり、埋まったりしている。髪の毛が好きなんだなぁ。
「塩かー……この国で塩って高いんだよなー」
塩以外もなんでも高い。この国あんまり金持ちじゃないからな。主産業は小麦。小麦はあるからパンは食べられる。が!それだけなんだ。小麦しかない。
だから、カティーシアが新たなる産業の一環としてポーション作りを始めたのだけれども。
「俺がやらかした訳だー」
そりゃ、みんな怒るよねー……あーあ。ほんと何考えてたんだが!……何も考えてませんでしたー!すいませんでした!国民の皆様ホントさーせんっしったああああ!
「塩があれば、スープがもうちっと美味くなるんだがなー」
俺のぼやきを精霊ちゃんたちは聞いてくるくる回っていた。可愛い!
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