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龍
58 限度というものはない
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「ヤ……ったのか……?」
「そりゃあ、もう」
「ど、どうやって……」
フェルマーはああ見えてS級の冒険者だ。俺の貸している盾と鞭がものすごく強力なのを差し引いても、フェルマーは弱くはない。
見た目、6歳児程度しかないレイがどうこうてきる相手ではないはずだ。
「無力なトカゲを装って近づくであろ?呪で束縛して一気にぶすりと」
「うわぁ汚い」
「それこそ強い冒険者で重畳。精を受けても壊れぬから楽であったわ。あとは支配の鱗を腹に打ち込んで終了じゃ。一晩もかからずに安心したぞ」
「えぐい」
「褒め言葉じゃな、母上殿よ?」
6歳児のやる事と発想じゃない……確かに中身は3000歳を超えた元火竜の王様だった。
「お主らは互いに思い合っておるのだから、問題ないであろう?なにをしておるのじゃ。ディアノスもアホのままだし、殺してしまうぞ?」
「死ぬのか?!どう言う事だ!」
「無力なトカゲと言うておろう。つがいと繋がっておらねば、足りない物が多すぎる。本当はもっと成長してから出てくる所をこうして未熟なまま出てきたのじゃ。寸暇でも離れればあれは弱って行くが良いのか?シュガーよ」
俺は走ってディアノスの元に戻ると、潰れたサンショウウオみたいになって魔石をもぐもぐしていた……が、抱き上げれば心臓の音が心持ちゆっくりだ。
「しゅがー…おれ、ねむいー」
「うわーー!ディ!寝るなーー!冬眠しちゃう!」
サンショウウオみたいにひらべったくなっていたのは、体型が保てなくなっていたなんて、さすがの俺でも気付かなかった。
「ディ!ヤるぞ!」
「しゅがー、おれまだちいさいからやなの」
「うるさい!黙れ!トカゲのままでもヤってやる!」
「ぴえぇん…およめさんがこわいよぉ…ぐぅ」
「助けて!フェルマー!」
「シュガー!助けて下さい!」
「しゅがーからさそっておいてーそれはないでしょー?」
「フェルマー、我から逃げるのか?」
「「ああああああーーー!!」」
怖い、怖い龍怖い!助けてーーー!俺が悪かったーーー!
部屋から命からがら逃げ出したフェルマーと俺はばったり廊下で出会ったが、すぐにそれぞれの夫に捕まり元の部屋にひきづり込まれた。
怖い、龍ホント怖い!
「ディ!ごめんなさいーーー!俺が!俺が生意気でしたぁーーー!」
数日後、俺とフェルマーは狭いキッチンのテーブルに突っ伏していた。
「怖い、マジで怖い……ああ、作っておいて良かった、最高級回復ポーション……」
俺とフェルマーは1本50万ギルはくだらないポーションをがぶ飲みしている。ついていける訳がないのだ!
あの小さい体の中に、おっそろしい力がつまりまくっているんだぞ!
「……魔石って食べ物だったんですね……しかも意外と美味しい……」
「……だなぁ……」
俺もフェルマーも平気で魔石を食べるようになっていた……が、あれは緊急栄養素だ。俺達が食うよりレイやディに食わせたい。
「しゅがー!どこー?」
ああ、呼ばれた……子供の声がする。見た目は子供、中身は3000歳、その名も毒龍ディアノス!俺はのろのろと立ち上がった。
「……逝ってくる……」
「あ…はい…」
誤字ではない、誤字ではないのだ……逃げる事なんて出来ないし、呼ばれて行かなければものすごいねちっこい「お仕置き♡」をしてくる。
「今…行くよ……ディ……」
「おそいー!どこいってたの!」
部屋から出たのはほんの少しなんだが、我が旦那様はいたくご立腹だ。
「しゅがーはずっとずっといっしょなんだから、はなれちゃだめなのー!」
「限度っていうものがあるだろ…ディ…」
「ないよ!」
ばたんと扉はしめられ、俺の
「ないんかい!?」
と言うツッコミはむなしく消えて行った。
「そりゃあ、もう」
「ど、どうやって……」
フェルマーはああ見えてS級の冒険者だ。俺の貸している盾と鞭がものすごく強力なのを差し引いても、フェルマーは弱くはない。
見た目、6歳児程度しかないレイがどうこうてきる相手ではないはずだ。
「無力なトカゲを装って近づくであろ?呪で束縛して一気にぶすりと」
「うわぁ汚い」
「それこそ強い冒険者で重畳。精を受けても壊れぬから楽であったわ。あとは支配の鱗を腹に打ち込んで終了じゃ。一晩もかからずに安心したぞ」
「えぐい」
「褒め言葉じゃな、母上殿よ?」
6歳児のやる事と発想じゃない……確かに中身は3000歳を超えた元火竜の王様だった。
「お主らは互いに思い合っておるのだから、問題ないであろう?なにをしておるのじゃ。ディアノスもアホのままだし、殺してしまうぞ?」
「死ぬのか?!どう言う事だ!」
「無力なトカゲと言うておろう。つがいと繋がっておらねば、足りない物が多すぎる。本当はもっと成長してから出てくる所をこうして未熟なまま出てきたのじゃ。寸暇でも離れればあれは弱って行くが良いのか?シュガーよ」
俺は走ってディアノスの元に戻ると、潰れたサンショウウオみたいになって魔石をもぐもぐしていた……が、抱き上げれば心臓の音が心持ちゆっくりだ。
「しゅがー…おれ、ねむいー」
「うわーー!ディ!寝るなーー!冬眠しちゃう!」
サンショウウオみたいにひらべったくなっていたのは、体型が保てなくなっていたなんて、さすがの俺でも気付かなかった。
「ディ!ヤるぞ!」
「しゅがー、おれまだちいさいからやなの」
「うるさい!黙れ!トカゲのままでもヤってやる!」
「ぴえぇん…およめさんがこわいよぉ…ぐぅ」
「助けて!フェルマー!」
「シュガー!助けて下さい!」
「しゅがーからさそっておいてーそれはないでしょー?」
「フェルマー、我から逃げるのか?」
「「ああああああーーー!!」」
怖い、怖い龍怖い!助けてーーー!俺が悪かったーーー!
部屋から命からがら逃げ出したフェルマーと俺はばったり廊下で出会ったが、すぐにそれぞれの夫に捕まり元の部屋にひきづり込まれた。
怖い、龍ホント怖い!
「ディ!ごめんなさいーーー!俺が!俺が生意気でしたぁーーー!」
数日後、俺とフェルマーは狭いキッチンのテーブルに突っ伏していた。
「怖い、マジで怖い……ああ、作っておいて良かった、最高級回復ポーション……」
俺とフェルマーは1本50万ギルはくだらないポーションをがぶ飲みしている。ついていける訳がないのだ!
あの小さい体の中に、おっそろしい力がつまりまくっているんだぞ!
「……魔石って食べ物だったんですね……しかも意外と美味しい……」
「……だなぁ……」
俺もフェルマーも平気で魔石を食べるようになっていた……が、あれは緊急栄養素だ。俺達が食うよりレイやディに食わせたい。
「しゅがー!どこー?」
ああ、呼ばれた……子供の声がする。見た目は子供、中身は3000歳、その名も毒龍ディアノス!俺はのろのろと立ち上がった。
「……逝ってくる……」
「あ…はい…」
誤字ではない、誤字ではないのだ……逃げる事なんて出来ないし、呼ばれて行かなければものすごいねちっこい「お仕置き♡」をしてくる。
「今…行くよ……ディ……」
「おそいー!どこいってたの!」
部屋から出たのはほんの少しなんだが、我が旦那様はいたくご立腹だ。
「しゅがーはずっとずっといっしょなんだから、はなれちゃだめなのー!」
「限度っていうものがあるだろ…ディ…」
「ないよ!」
ばたんと扉はしめられ、俺の
「ないんかい!?」
と言うツッコミはむなしく消えて行った。
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