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魔法学園へ

31 なぜリンピがないと言い切れる?

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「そりゃお前、ぎゅっと捻りだすようにして、ボンだ」 

「捻りだす……あ!出た」

 なんと俺のぽすんは、クラーク料理長のアドバイスで解決してしまった。
 見事に俺の指先には、小さな炎が灯ってゆらゆらと揺らめいている。

「クラークさん、あれは?クリーンの奴」

「あれはなーこう洗濯して乾いたパリッパリの服を着たような気持ちでこうーークリーン!だ」

「パリパリの……[クリーン]!お!手応えありだ!」

「なかなか上手いじゃないか」

 お貴族様のお上品な授業は平民にゃ合わねぇのかね?笑いながら焼いたステーキをこっそり俺に提供してくれる。
 俺は厨房の隅で、バッファローを噛みながら魔法の練習をしていた。

「旨い!旨いなぁ!この肉!」

「だろうだろう!ヒュージバッファローはでかいのに脂ノリもいい!ちょっーとかてぇから、焼くにはコツがいるんだぜぇ?」

 クラークさんのドヤ顔が眩しい!きゃー素敵ー抱いてー!

「オニョンソースも最高だなぁ」

「知ってるか?リンピソースも美味いんだぜー。リンピないけどな!」

 オニョンはどうみても玉ねぎでリンピはどうみてもリンゴだ。次は俺がドヤ顔をする番だ。

「なぜリンピがないと言い切れる……?」

「ま、まさかお前……!」

 俺はマジックバッグの中から真っ赤なリンピを5.6つ取り出す。

「フフフ……足りるかね?料理長シェフ・クラーク

あたぼうよイエッサー

 リンピソースも美味かった!

 クラーク料理長との秘密の料理会で俺は美味しい料理というものに目覚めそうだ。今まで食べ物と言えばただの養分補給だったからね。しょうがないでしょ?何を食べても味がしなかったんだから!





「クソ生意気なんだよ!平民の癖に」

 毎日、毎日誰かに呼び出される。そして皆同じ事を言う。何か生意気な事をしただろうか?はっきり平民が目障りだと言う坊ちゃんもいる。
 それはまぁ、分かる気がするが。何せ俺はそこいらの嬢ちゃん坊ちゃんと違ってやる気があるから、座学も実技もとても真面目なのだ。
 人脈作りで3年間通う奴らと、目的の魔法を覚えたらトンズラする俺とじゃ訳が違う。人に嫌がらせをする前に勉強すれば良いのに。
 そしてもっと厄介なのが

「おい、お前やめておけ」

「ひっ…先輩…」 

「いじめか?この学園でそのような事を許す訳には行かないぞ?」

 俺を呼び出した同じクラスの貴族達は散り散りに逃げ、目の前に一つ上のクラスの2年生の先輩が3人立ち並ぶ。

「ありがとうございます。おかげで助かりました」

 助けてなど求めていないし、こいつらの方が質が悪いから勘弁ねがいたいのだが、そうも行かないのがこの世の中だ。

「良い子だ。……放課後、温室で待っている」

「……はい」

 あーーやだやだ!この上がピンハネして行く感じっ!と言うか放課後とか最悪だよ!図書館に行く時間が減るわ!
 しかし、無視する訳にも行かない…。同じクラスの坊ちゃんに嫌がらせされるより、1年上の坊ちゃんに嫌がらせされる方が程度が悪い。


 
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