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魔のモノ
51 魔改造
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「う……ん」
目が覚めた。覚めてしまった。部屋のベッドの上で寝ている。クローゼットの中じゃない。そう言えばサーたんが何か言っていた気がする。
手足が重いけれど、昨日より動かせる。サーたんが限界が来たら、精気を強制的に食わせるって。それのせいかな?
服を着ていなかった。腹に書いた紋章が薄く光っている。これのせいで、俺は昨日より元気なのか……なにか、おかしい。
「手、大きい……?」
自分の手を見た。いつもより大きい気がする。足、長い?というか腹の下のアレが!アレが成長してる?!ふぁ?!
「か、鏡!あったはず!」
ジタバタと取るものも取らずに壁にかかっている鏡に向かう。そこには
「あ、アナベルお兄様!!」
に、似ているが微妙に違う男子が1人映っていた。俺だ!大きくなってる!サーたん?!なんかしたの!?!?
「ヨっちゃんー起きたー?」
丁度よくサーたんが扉を開けて入ってくる。サーたんにノックという概念はない。
「サーたん!私、大きい!」
「うん、まあまあまね!でももっと大きい方が良いよ!サーたんはもっとビッグな方が好き!」
「サーたんんんん!?ドコの話?!」
「そりゃ!ち「わーーわーー身長の話ぃーーー」」
サーたん、ちょっとやり過ぎちゃった!へへっなんて可愛い顔で笑ったけれど、絶対わざとだ。
「ごめんねー?クローゼット、入れなくなったかも?」
「そこなの?サーたん……」
「良いじゃん!この子供と大人の中間みたいな不思議な感じ!サーたん好きなの!ヨっちゃんの可愛いけど、美しくないふわっとしていてたまに何考えてるか分からないとことか!そう言う感じを前面に押し出してるお年頃!無垢な子供じゃなくて悪い事も少し覚えましたみたいなとこ!半ズボンでもズボンでもどっちでもいける頃!分かる!ヨっちゃん!」
「ごめん、サーたん。分かんない」
「ヨっちゃんーーー!」
とりあえず俺はサーたん好みに魔改造されたのだった……。
「良い?ヨっちゃん!またご飯食べなくて死にかけたら、今度は紋章からじゃなく直接食べさせるからね!分かった?!」
「直接って……」
「今までは体が小さくて入らなかったけど、今度からはイけそうだからね!お腹の中に直接ぶち撒けるのよ!」
「ひ、ひええええーーー!」
「お尻が大事なら、ご飯食べなさーい!!」
「はひぃーーー!」
サーたんは厳しい!でもサーたんは
「あは、あはは。サーたん、ありがとう」
「どう致しまして」
コツンと1つだけ、玉が出た。
「ゲットーーー!」
「サーたん?!」
「ヨっちゃんみてよーーーこのニキビ跡!もう酷いのなんのって!ささっここに……あーーっ薄くなったぁ!でも消えない!!ヨっちゃんおかわり!」
出なかった。
「ヨっちゃんーーーーーっ!」
「ご、ごめんなさいーーー!」
サーたんは可愛くて、面白くて……自分本位の魔族だった。
俺は1日1個玉が出るようになった。
「ヨっちゃん、しばらく魔王様に内緒ね!」
「おでこが治るまで?」
「首のとこのもあるから、そっちも治るまで!」
サーたんがピカピカになった時点で、俺はまた王宮に連れて来られていた。
「ふむ、1日1個か」
ひざまづくサーたんの後ろで土下座な俺。
「連れて来ましたが、また出なくなるかもしれません。中身は変わりませんから」
「外見は変わったな。悪くない。こちらへ」
小さな声でヨっちゃん!と声をかけられ、のろのろと立ち上がる。嫌だけど、顔には出さないように気をつける。
「はい」
「椅子に」
サーたんがひざまづいたままなのに、椅子に座るのはためらわれたが、ちょっとだけ顔を上げたサーたんと目が合う。
言う通りにして!
と、訴えかけられたので、椅子に腰を下ろした。
「雰囲気が変わったな、ヨシュア」
「そう……でしょうか」
自分じゃ分からないよ!
「以前のなんとも心地よい感じが無くなって、普通の人間のようだ。今ならためらわず殺せそうな気がする」
「……」
答えに困る。殺されたくはない気もするが……でも、諦めた気持ちの方がまだ大きい。かと言って、では首をさようならして下さいと挑発めいた事は言いたくないな。
「……普通の人間のようでいて、どことなく違う。なんともまたアンバランスを保っているなお前は」
「……自分では良くわかりません……」
「そうか、そう言うものかも知れんな」
いや、普通の人間よ、俺。出来の悪い方のだけど。ちょっと玉が出るだけの……あれ?普通の人間って玉は出ないか?あれ?あれれ?
それから、魔王様は俺についてこいと言った。
「魔界と人間界は繋がっていない。神界もだが」
城の中を歩く魔王様の後ろをついて行く。以前より背が伸び、足が長くなったのでついて行きやすい。
「私は魔族であり、昔昔に人間の世界にやってきて、大層人を殺した。今でも殺している。ヨシュア、お前の見ていない所でな?何故だか分かるか?」
俺は首を振る。魔王の考えなど分からない。
「呪いだよ。人は本望ではない死を迎えた時、呪って死んで行く。俺の得意な力はそれだからな。より強くなる為に人を殺す」
そうか。だから呪いの魔王なんだ。殺して呪い、呪って殺して。この人はそう言う魔族なのか。
強くなって何かしたいのかな?
俺は口には出さず、ただ後ろをついて歩いた。
ーーーーーーーー
とうとう力尽きて、1日1回になりました……!
目が覚めた。覚めてしまった。部屋のベッドの上で寝ている。クローゼットの中じゃない。そう言えばサーたんが何か言っていた気がする。
手足が重いけれど、昨日より動かせる。サーたんが限界が来たら、精気を強制的に食わせるって。それのせいかな?
服を着ていなかった。腹に書いた紋章が薄く光っている。これのせいで、俺は昨日より元気なのか……なにか、おかしい。
「手、大きい……?」
自分の手を見た。いつもより大きい気がする。足、長い?というか腹の下のアレが!アレが成長してる?!ふぁ?!
「か、鏡!あったはず!」
ジタバタと取るものも取らずに壁にかかっている鏡に向かう。そこには
「あ、アナベルお兄様!!」
に、似ているが微妙に違う男子が1人映っていた。俺だ!大きくなってる!サーたん?!なんかしたの!?!?
「ヨっちゃんー起きたー?」
丁度よくサーたんが扉を開けて入ってくる。サーたんにノックという概念はない。
「サーたん!私、大きい!」
「うん、まあまあまね!でももっと大きい方が良いよ!サーたんはもっとビッグな方が好き!」
「サーたんんんん!?ドコの話?!」
「そりゃ!ち「わーーわーー身長の話ぃーーー」」
サーたん、ちょっとやり過ぎちゃった!へへっなんて可愛い顔で笑ったけれど、絶対わざとだ。
「ごめんねー?クローゼット、入れなくなったかも?」
「そこなの?サーたん……」
「良いじゃん!この子供と大人の中間みたいな不思議な感じ!サーたん好きなの!ヨっちゃんの可愛いけど、美しくないふわっとしていてたまに何考えてるか分からないとことか!そう言う感じを前面に押し出してるお年頃!無垢な子供じゃなくて悪い事も少し覚えましたみたいなとこ!半ズボンでもズボンでもどっちでもいける頃!分かる!ヨっちゃん!」
「ごめん、サーたん。分かんない」
「ヨっちゃんーーー!」
とりあえず俺はサーたん好みに魔改造されたのだった……。
「良い?ヨっちゃん!またご飯食べなくて死にかけたら、今度は紋章からじゃなく直接食べさせるからね!分かった?!」
「直接って……」
「今までは体が小さくて入らなかったけど、今度からはイけそうだからね!お腹の中に直接ぶち撒けるのよ!」
「ひ、ひええええーーー!」
「お尻が大事なら、ご飯食べなさーい!!」
「はひぃーーー!」
サーたんは厳しい!でもサーたんは
「あは、あはは。サーたん、ありがとう」
「どう致しまして」
コツンと1つだけ、玉が出た。
「ゲットーーー!」
「サーたん?!」
「ヨっちゃんみてよーーーこのニキビ跡!もう酷いのなんのって!ささっここに……あーーっ薄くなったぁ!でも消えない!!ヨっちゃんおかわり!」
出なかった。
「ヨっちゃんーーーーーっ!」
「ご、ごめんなさいーーー!」
サーたんは可愛くて、面白くて……自分本位の魔族だった。
俺は1日1個玉が出るようになった。
「ヨっちゃん、しばらく魔王様に内緒ね!」
「おでこが治るまで?」
「首のとこのもあるから、そっちも治るまで!」
サーたんがピカピカになった時点で、俺はまた王宮に連れて来られていた。
「ふむ、1日1個か」
ひざまづくサーたんの後ろで土下座な俺。
「連れて来ましたが、また出なくなるかもしれません。中身は変わりませんから」
「外見は変わったな。悪くない。こちらへ」
小さな声でヨっちゃん!と声をかけられ、のろのろと立ち上がる。嫌だけど、顔には出さないように気をつける。
「はい」
「椅子に」
サーたんがひざまづいたままなのに、椅子に座るのはためらわれたが、ちょっとだけ顔を上げたサーたんと目が合う。
言う通りにして!
と、訴えかけられたので、椅子に腰を下ろした。
「雰囲気が変わったな、ヨシュア」
「そう……でしょうか」
自分じゃ分からないよ!
「以前のなんとも心地よい感じが無くなって、普通の人間のようだ。今ならためらわず殺せそうな気がする」
「……」
答えに困る。殺されたくはない気もするが……でも、諦めた気持ちの方がまだ大きい。かと言って、では首をさようならして下さいと挑発めいた事は言いたくないな。
「……普通の人間のようでいて、どことなく違う。なんともまたアンバランスを保っているなお前は」
「……自分では良くわかりません……」
「そうか、そう言うものかも知れんな」
いや、普通の人間よ、俺。出来の悪い方のだけど。ちょっと玉が出るだけの……あれ?普通の人間って玉は出ないか?あれ?あれれ?
それから、魔王様は俺についてこいと言った。
「魔界と人間界は繋がっていない。神界もだが」
城の中を歩く魔王様の後ろをついて行く。以前より背が伸び、足が長くなったのでついて行きやすい。
「私は魔族であり、昔昔に人間の世界にやってきて、大層人を殺した。今でも殺している。ヨシュア、お前の見ていない所でな?何故だか分かるか?」
俺は首を振る。魔王の考えなど分からない。
「呪いだよ。人は本望ではない死を迎えた時、呪って死んで行く。俺の得意な力はそれだからな。より強くなる為に人を殺す」
そうか。だから呪いの魔王なんだ。殺して呪い、呪って殺して。この人はそう言う魔族なのか。
強くなって何かしたいのかな?
俺は口には出さず、ただ後ろをついて歩いた。
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とうとう力尽きて、1日1回になりました……!
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