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新しい土地
25 お前だったのか
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「自分好みの服を、好きな相手に着せるのは良いものだな!」
ジュリアスさんはご機嫌だ。俺は隊長さんの血でべったり汚れてしまったのでお風呂を借り、着替えも借りた。
「風呂だな?俺も一緒に「却下」」
レギルさんは早い。たくさんのメイドさんに風呂にかつぎ込まれ、優しく優しく隅々まで磨かれ、香油を塗られ、俺は高級人形も色々辛い思いをしてるんだなぁと、しみじみ思った。
あと、お尻の穴まで洗おうとするのは、ほんと勘弁していただきたいッッ!
白くてスベスベした高級そうな服を上から下まで着せられて戻って来た時には、もうぐったりしていた。
自分で自分の玉を食いたい……だがこの玉、自分には効かないんだった……。
戻るとほぼ死んでいた隊長さんが床にひれ伏している。良かった死ななくて。
憮然と機嫌の悪そうなジュリアスさんの膝の上に座らされ、やっとレギルさんが説明してくれる。
「ヨシュア様色々驚かれたとレン殿から聞いております。すいませんでした」
「は、はい……」
「マロードと、帝国では色々な差があります。先程、警護失格の責任を取ったのは親衛隊の隊長です。あのような無礼者が陛下のお体に触れるなど、あってはならぬことなのです」
その陛下?は俺の頭をくんくんしながら、半ズボンから出ている足を触っているのだが?やめて!くすぐったい!
「ぶつかっただけに見えましたが、それでもダメなんですか?」
「そのぶつかって来た相手が暗殺者かどうか見分ける術は、なかなか難しいことだとは思いませんか?」
「……」
頭のてっぺんから首までくんくんくんくんしているがこの人は皇帝陛下だった。いまいちピンと来ない。
「……レン殿。あの調子に乗っている男の手をちょっと引っ掻いてきてくださいませんか?」
「任せろッス!」
ジャキーン!とばかりにレンは爪を光らせた。
「っくぅ~!我が妃「え、やだ」「……」予定が殺すなと言うから生かして置いてやるが、2度目はない」
「陛下と正妃様の過分なるご配慮に感謝のしようもございません!今後はこのような事はないよう、誠心誠意勤めて参りますっ!」
額を床に擦り付けたまま、隊長さんは言うけど、この真面目そうな人までからかっちゃダメだろう!
信じたらどうするのさ!皇帝陛下は8歳の男の子に夢中ですって言うのか??なんだっけ、ロリコン?しっかりしろよ!陛下!変な噂が流れちゃうぞ!
この「隊長さん危なく死んじゃう事件」のせいで庭遊びは中止になった。
「庭……まさか翠花の庭の……翡翠池……?まさか泳ぐ宝石、翡翠鮎を捕まえて食べようとしていた……?」
「あの緑の魚、美味いんだよなー」
レギルさんが変な汗をかいている。食べちゃダメなやつなのでは……?
「い、いつから……?」
「うーん?兄上が生きてた頃から?あの魚が美味いって教えてくれたの兄上だぜ?」
「……翡翠鮎減少と、翠花の庭の小火事件の犯人を一度に見つけてくださり、誠にありがとうございます……ヨシュア様」
「え?!私?!」
「陛下は後でお話があります……ふふふふ……翡翠鮎は1匹100万ギルの高級魚ですから、さぞや美味しかったでしょうね……ふふふ……うふ、ふふふふふ」
「ひゃっ?!」
よよよよよ良かった!食べなくて!なんてもの食べてるの!ジュリアスさん!
「100万ギルかー一回食ってみたいッスねー」
やめてよ!レン!君は一匹100ギルのサマンの丸焼きが最高だって言ってたじゃないか!
「だよなー食ってみたいよなーヨシュアも食うよな?」
俺は首が吹っ飛ぶくらい激しく横に振って否定の意を伝えた。勢いで飛んで行った玉がレギルさんにビシバシぶつかって、吸い込まれて行く。
「レン殿も一緒にお話しましょうね?」
もの凄い良い笑顔のレギルさん。あの程度の玉じゃダメみたいだ….。レギルさんに向かって玉を転がしておこう……。
レン、生きて帰って来いよ?
「そろそろ帰らなきゃ」
いつしか陽は傾いている。夜になる前に帰らないとお父様が心配する。
「いーや、無理だな」
「え?」
何言っちゃってるのこの人。初デートでお泊まりなんてないわー。お父様が心配のあまりハゲ上がったらどうしてくれる?ふさふさだけど……。
「行こう、特別図書館だ」
ジュリアスさんにまた抱き上げられ、肩にレンを乗せて、俺は例の地獄の図書館へやって来た。
重厚な両開きの扉を開けると、中からひやりとした空気が流れ出す。中は明るいが自然の光りは差し込んでおらず、柔らかい光を放つランプが所狭しと吊り下げられていた。
「ようこそ……特別図書館へ……許可証はお持ちか…?無ければ即刻お帰り願おう……」
「ひい?!」
真っ暗な扉の横の受付から半透明な男がこちらを睨みつけている!怖い!お化けじゃないか!
「マルクス、俺だ」
「あ、すいません陛下でしたか。どうぞどうぞ」
態度違う!
「爺とカレル殿は?」
「父とカレル殿とイージス殿は議論室2番です」
半透明なマルクスさんはお化けなのにニコニコと上機嫌だ。ん?父??
「ジュリアスさん、マルクスさんが父って……」
「ああ、マルクスはマクドルの息子だったんだ。ほら、来る前に爺が言ってただろう?ここから出たくなくて本になっちまった「賢者」がいるって」
「へへっ、僕でーす」
「わあ」
突っ込みどころが多すぎてパンクしそうだよ!
「ここです。父上ー陛下がいらっしゃったよー」
かちゃっと小さな音を立てて、議論室のドアを開けると、マクドルさんとカレル兄様と……もう1人、なんか凄い美形が居た。
誰よ……?
ジュリアスさんはご機嫌だ。俺は隊長さんの血でべったり汚れてしまったのでお風呂を借り、着替えも借りた。
「風呂だな?俺も一緒に「却下」」
レギルさんは早い。たくさんのメイドさんに風呂にかつぎ込まれ、優しく優しく隅々まで磨かれ、香油を塗られ、俺は高級人形も色々辛い思いをしてるんだなぁと、しみじみ思った。
あと、お尻の穴まで洗おうとするのは、ほんと勘弁していただきたいッッ!
白くてスベスベした高級そうな服を上から下まで着せられて戻って来た時には、もうぐったりしていた。
自分で自分の玉を食いたい……だがこの玉、自分には効かないんだった……。
戻るとほぼ死んでいた隊長さんが床にひれ伏している。良かった死ななくて。
憮然と機嫌の悪そうなジュリアスさんの膝の上に座らされ、やっとレギルさんが説明してくれる。
「ヨシュア様色々驚かれたとレン殿から聞いております。すいませんでした」
「は、はい……」
「マロードと、帝国では色々な差があります。先程、警護失格の責任を取ったのは親衛隊の隊長です。あのような無礼者が陛下のお体に触れるなど、あってはならぬことなのです」
その陛下?は俺の頭をくんくんしながら、半ズボンから出ている足を触っているのだが?やめて!くすぐったい!
「ぶつかっただけに見えましたが、それでもダメなんですか?」
「そのぶつかって来た相手が暗殺者かどうか見分ける術は、なかなか難しいことだとは思いませんか?」
「……」
頭のてっぺんから首までくんくんくんくんしているがこの人は皇帝陛下だった。いまいちピンと来ない。
「……レン殿。あの調子に乗っている男の手をちょっと引っ掻いてきてくださいませんか?」
「任せろッス!」
ジャキーン!とばかりにレンは爪を光らせた。
「っくぅ~!我が妃「え、やだ」「……」予定が殺すなと言うから生かして置いてやるが、2度目はない」
「陛下と正妃様の過分なるご配慮に感謝のしようもございません!今後はこのような事はないよう、誠心誠意勤めて参りますっ!」
額を床に擦り付けたまま、隊長さんは言うけど、この真面目そうな人までからかっちゃダメだろう!
信じたらどうするのさ!皇帝陛下は8歳の男の子に夢中ですって言うのか??なんだっけ、ロリコン?しっかりしろよ!陛下!変な噂が流れちゃうぞ!
この「隊長さん危なく死んじゃう事件」のせいで庭遊びは中止になった。
「庭……まさか翠花の庭の……翡翠池……?まさか泳ぐ宝石、翡翠鮎を捕まえて食べようとしていた……?」
「あの緑の魚、美味いんだよなー」
レギルさんが変な汗をかいている。食べちゃダメなやつなのでは……?
「い、いつから……?」
「うーん?兄上が生きてた頃から?あの魚が美味いって教えてくれたの兄上だぜ?」
「……翡翠鮎減少と、翠花の庭の小火事件の犯人を一度に見つけてくださり、誠にありがとうございます……ヨシュア様」
「え?!私?!」
「陛下は後でお話があります……ふふふふ……翡翠鮎は1匹100万ギルの高級魚ですから、さぞや美味しかったでしょうね……ふふふ……うふ、ふふふふふ」
「ひゃっ?!」
よよよよよ良かった!食べなくて!なんてもの食べてるの!ジュリアスさん!
「100万ギルかー一回食ってみたいッスねー」
やめてよ!レン!君は一匹100ギルのサマンの丸焼きが最高だって言ってたじゃないか!
「だよなー食ってみたいよなーヨシュアも食うよな?」
俺は首が吹っ飛ぶくらい激しく横に振って否定の意を伝えた。勢いで飛んで行った玉がレギルさんにビシバシぶつかって、吸い込まれて行く。
「レン殿も一緒にお話しましょうね?」
もの凄い良い笑顔のレギルさん。あの程度の玉じゃダメみたいだ….。レギルさんに向かって玉を転がしておこう……。
レン、生きて帰って来いよ?
「そろそろ帰らなきゃ」
いつしか陽は傾いている。夜になる前に帰らないとお父様が心配する。
「いーや、無理だな」
「え?」
何言っちゃってるのこの人。初デートでお泊まりなんてないわー。お父様が心配のあまりハゲ上がったらどうしてくれる?ふさふさだけど……。
「行こう、特別図書館だ」
ジュリアスさんにまた抱き上げられ、肩にレンを乗せて、俺は例の地獄の図書館へやって来た。
重厚な両開きの扉を開けると、中からひやりとした空気が流れ出す。中は明るいが自然の光りは差し込んでおらず、柔らかい光を放つランプが所狭しと吊り下げられていた。
「ようこそ……特別図書館へ……許可証はお持ちか…?無ければ即刻お帰り願おう……」
「ひい?!」
真っ暗な扉の横の受付から半透明な男がこちらを睨みつけている!怖い!お化けじゃないか!
「マルクス、俺だ」
「あ、すいません陛下でしたか。どうぞどうぞ」
態度違う!
「爺とカレル殿は?」
「父とカレル殿とイージス殿は議論室2番です」
半透明なマルクスさんはお化けなのにニコニコと上機嫌だ。ん?父??
「ジュリアスさん、マルクスさんが父って……」
「ああ、マルクスはマクドルの息子だったんだ。ほら、来る前に爺が言ってただろう?ここから出たくなくて本になっちまった「賢者」がいるって」
「へへっ、僕でーす」
「わあ」
突っ込みどころが多すぎてパンクしそうだよ!
「ここです。父上ー陛下がいらっしゃったよー」
かちゃっと小さな音を立てて、議論室のドアを開けると、マクドルさんとカレル兄様と……もう1人、なんか凄い美形が居た。
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