上 下
4 / 71
たった一つしかないスキル

4 ハードモード人生

しおりを挟む
「私達は家族だ。ヨシュアが居なければこのしあわせは無かった」

 俺が熱から復帰した後、家族だけを集めて会議が始まった。

 お父様のジュールは「お前達には少し難しいかもしれんが聞いてくれ」と、前置きをしてから、昔の話を始めた。

「私とマリーは政略結婚だった。しがない子爵のセーブル家に三女とはいえ、公爵家のマリーが嫁いできたのは……金の為だけだと思った。私は家は子爵であったが、アナベルと同じ「剣聖」持ちであった為に給料は物すごく良かった」

 そうなのだ。お父様もとても強いのだ。アナベル兄様とお父様の練習は俺には分からない速度で行われている。音しか聞こえないレベルなのだ。

「だから私は……お前達の前で言うのは恥ずかしいのだが……あの頃の私はマリーの事を愛していなかった。ただ金に釣られた女だと軽蔑していたのだ……。とても恥ずかしいよ。マリーはずっと私の事を愛してくれていたのに」

 父は全て隠さず話してくれた。

「私達が打ち解けたのはマリーがヨシュアを妊娠した頃だった。お前達も知っての通りマリーは体が強くない。もう3人も産んだのだ。跡取りもいるし……私はその子供を……捨てよとマリーに言ったのだ。最低な父親だ。しかしマリーはその時始めて私に逆らったのだ……愛しい旦那様の子供を殺す事など、出来ませんと、私は死んでも構わない……マリーがこんなに強い女性とは気がつかなった」

「それからよ、旦那様とわたくしは本当の意味で夫婦になったのよ」

 その頃を思い出したのかマリーお母様は遠い目をする。

「やっと通じ合ったのに……マリーはヨシュアを産んだ時死にかけた……いや、むしろ死んだのかもしれない。それをヨシュアは助けてくれた……あまりに早すぎるスキルの発現で」

「お、お母様を死なせることなんて…できません!」

 俺はママンが死ぬ事が嫌だったからな!何せ産まれてからの記憶もバッチリあるし。

「無意識の発動であったのだろう……早すぎる発現にほかのスキルに悪影響が出たのではないかと、私は考えている。マリーを助ける為、そしてそれまでマリーを大切にして来なかった私のせいで、私はヨシュアのスキルを奪ってしまったのだ」

「ごめんなさい……ヨシュア……私が弱いばかりに……あなたにこんな重荷を背負わせてしまったわ」

 お母様が顔を覆って泣いてしまう。うーん!なんかごめんよ?

「アナベル、ルルカ、カレル。私は今とても幸せだ。可愛い子供が4人もいて、優しい妻もいる。しかしその代償を一番小さな息子に背負わせてしまった……非道な親なのだ……私は出来る限りヨシュアに人として幸せに生きて貰いたい。私の残りの人生をかけて」

「俺もヨシュアが幸せになれるように手伝いたい!」

「私もよ!ヨシュアは可愛いおとうとだわ」

「私もです、お父様!ヨシュアは居てくれるだけで私達に幸せをくれるんです!」

 お、俺、そんなにやばいのか……やばいよなぁ。スキル一個だもんなぁ。でもお母様を救ったことに後悔なんてないぞ!スキルがなくても、お父様が養ってくれるようだし!


「すまない子供達。お前達には苦労をかけると思う。そしてヨシュア。お前の生きる道は険しく辛いものになるかもしれない。でも私達はみなお前の事が大切で大好きだ……!」

「お、お父様……」

 スキルは外れだったけど、オレは家族には恵まれたようだ。なら、大丈夫かな?

 俺はたった一つのスキルで生きていく事になった。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

義妹の嫌がらせで、子持ち男性と結婚する羽目になりました。義理の娘に嫌われることも覚悟していましたが、本当の家族を手に入れることができました。

石河 翠
ファンタジー
義母と義妹の嫌がらせにより、子持ち男性の元に嫁ぐことになった主人公。夫になる男性は、前妻が残した一人娘を可愛がっており、新しい子どもはいらないのだという。 実家を出ても、自分は家族を持つことなどできない。そう思っていた主人公だが、娘思いの男性と素直になれないわがままな義理の娘に好感を持ち、少しずつ距離を縮めていく。 そんなある日、死んだはずの前妻が屋敷に現れ、主人公を追い出そうとしてきた。前妻いわく、血の繋がった母親の方が、継母よりも価値があるのだという。主人公が言葉に詰まったその時……。 血の繋がらない母と娘が家族になるまでのお話。 この作品は、小説家になろうおよびエブリスタにも投稿しております。 扉絵は、管澤捻さまに描いていただきました。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

嫌われ者の長男

りんか
BL
学校ではいじめられ、家でも誰からも愛してもらえない少年 岬。彼の家族は弟達だけ母親は幼い時に他界。一つずつ離れた五人の弟がいる。だけど弟達は岬には無関心で岬もそれはわかってるけど弟達の役に立つために頑張ってるそんな時とある事件が起きて.....

侯爵令息セドリックの憂鬱な日

めちゅう
BL
 第二王子の婚約者候補侯爵令息セドリック・グランツはある日王子の婚約者が決定した事を聞いてしまう。しかし先に王子からお呼びがかかったのはもう一人の候補だった。候補落ちを確信し泣き腫らした次の日は憂鬱な気分で幕を開ける——— ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 初投稿で拙い文章ですが楽しんでいただけますと幸いです。

俺は北国の王子の失脚を狙う悪の側近に転生したらしいが、寒いのは苦手なのでトンズラします

椿谷あずる
BL
ここはとある北の国。綺麗な金髪碧眼のイケメン王子様の側近に転生した俺は、どうやら彼を失脚させようと陰謀を張り巡らせていたらしい……。いやいや一切興味がないし!寒いところ嫌いだし!よし、やめよう! こうして俺は逃亡することに決めた。

拾われた後は

なか
BL
気づいたら森の中にいました。 そして拾われました。 僕と狼の人のこと。 ※完結しました その後の番外編をアップ中です

婚約破棄は計画的にご利用ください

Cleyera
BL
王太子の発表がされる夜会で、俺は立太子される第二王子殿下に、妹が婚約破棄を告げられる現場を見てしまった 第二王子殿下の婚約者は妹じゃないのを、殿下は知らないらしい ……どうしよう :注意: 素人です 人外、獣人です、耳と尻尾のみ エロ本番はないですが、匂わせる描写はあります 勢いで書いたので、ツッコミはご容赦ください ざまぁできませんでした(´Д` ;)

もふもふと始めるゴミ拾いの旅〜何故か最強もふもふ達がお世話されに来ちゃいます〜

双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
「ゴミしか拾えん役立たずなど我が家にはふさわしくない! 勘当だ!」 授かったスキルがゴミ拾いだったがために、実家から勘当されてしまったルーク。 途方に暮れた時、声をかけてくれたのはひと足先に冒険者になって実家に仕送りしていた長兄アスターだった。 ルークはアスターのパーティで世話になりながら自分のスキルに何ができるか少しづつ理解していく。 駆け出し冒険者として少しづつ認められていくルーク。 しかしクエストの帰り、討伐対象のハンターラビットとボアが縄張り争いをしてる場面に遭遇。 毛色の違うハンターラビットに自分を重ねるルークだったが、兄アスターから引き止められてギルドに報告しに行くのだった。 翌朝死体が運び込まれ、素材が剥ぎ取られるハンターラビット。 使われなくなった肉片をかき集めてお墓を作ると、ルークはハンターラビットの魂を拾ってしまい……変身できるようになってしまった! 一方で死んだハンターラビットの帰りを待つもう一匹のハンターラビットの助けを求める声を聞いてしまったルークは、その子を助け出す為兄の言いつけを破って街から抜け出した。 その先で助け出したはいいものの、すっかり懐かれてしまう。 この日よりルークは人間とモンスターの二足の草鞋を履く生活を送ることになった。 次から次に集まるモンスターは最強種ばかり。 悪の研究所から逃げ出してきたツインヘッドベヒーモスや、捕らえられてきたところを逃げ出してきたシルバーフォックス(のちの九尾の狐)、フェニックスやら可愛い猫ちゃんまで。 ルークは新しい仲間を募り、一緒にお世話するブリーダーズのリーダーとしてお世話道を極める旅に出るのだった! <第一部:疫病編> 一章【完結】ゴミ拾いと冒険者生活:5/20〜5/24 二章【完結】ゴミ拾いともふもふ生活:5/25〜5/29 三章【完結】ゴミ拾いともふもふ融合:5/29〜5/31 四章【完結】ゴミ拾いと流行り病:6/1〜6/4 五章【完結】ゴミ拾いともふもふファミリー:6/4〜6/8 六章【完結】もふもふファミリーと闘技大会(道中):6/8〜6/11 七章【完結】もふもふファミリーと闘技大会(本編):6/12〜6/18

処理中です...