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たった一つしかないスキル
4 ハードモード人生
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「私達は家族だ。ヨシュアが居なければこのしあわせは無かった」
俺が熱から復帰した後、家族だけを集めて会議が始まった。
お父様のジュールは「お前達には少し難しいかもしれんが聞いてくれ」と、前置きをしてから、昔の話を始めた。
「私とマリーは政略結婚だった。しがない子爵のセーブル家に三女とはいえ、公爵家のマリーが嫁いできたのは……金の為だけだと思った。私は家は子爵であったが、アナベルと同じ「剣聖」持ちであった為に給料は物すごく良かった」
そうなのだ。お父様もとても強いのだ。アナベル兄様とお父様の練習は俺には分からない速度で行われている。音しか聞こえないレベルなのだ。
「だから私は……お前達の前で言うのは恥ずかしいのだが……あの頃の私はマリーの事を愛していなかった。ただ金に釣られた女だと軽蔑していたのだ……。とても恥ずかしいよ。マリーはずっと私の事を愛してくれていたのに」
父は全て隠さず話してくれた。
「私達が打ち解けたのはマリーがヨシュアを妊娠した頃だった。お前達も知っての通りマリーは体が強くない。もう3人も産んだのだ。跡取りもいるし……私はその子供を……捨てよとマリーに言ったのだ。最低な父親だ。しかしマリーはその時始めて私に逆らったのだ……愛しい旦那様の子供を殺す事など、出来ませんと、私は死んでも構わない……マリーがこんなに強い女性とは気がつかなった」
「それからよ、旦那様とわたくしは本当の意味で夫婦になったのよ」
その頃を思い出したのかマリーお母様は遠い目をする。
「やっと通じ合ったのに……マリーはヨシュアを産んだ時死にかけた……いや、むしろ死んだのかもしれない。それをヨシュアは助けてくれた……あまりに早すぎるスキルの発現で」
「お、お母様を死なせることなんて…できません!」
俺はママンが死ぬ事が嫌だったからな!何せ産まれてからの記憶もバッチリあるし。
「無意識の発動であったのだろう……早すぎる発現にほかのスキルに悪影響が出たのではないかと、私は考えている。マリーを助ける為、そしてそれまでマリーを大切にして来なかった私のせいで、私はヨシュアのスキルを奪ってしまったのだ」
「ごめんなさい……ヨシュア……私が弱いばかりに……あなたにこんな重荷を背負わせてしまったわ」
お母様が顔を覆って泣いてしまう。うーん!なんかごめんよ?
「アナベル、ルルカ、カレル。私は今とても幸せだ。可愛い子供が4人もいて、優しい妻もいる。しかしその代償を一番小さな息子に背負わせてしまった……非道な親なのだ……私は出来る限りヨシュアに人として幸せに生きて貰いたい。私の残りの人生をかけて」
「俺もヨシュアが幸せになれるように手伝いたい!」
「私もよ!ヨシュアは可愛いおとうとだわ」
「私もです、お父様!ヨシュアは居てくれるだけで私達に幸せをくれるんです!」
お、俺、そんなにやばいのか……やばいよなぁ。スキル一個だもんなぁ。でもお母様を救ったことに後悔なんてないぞ!スキルがなくても、お父様が養ってくれるようだし!
「すまない子供達。お前達には苦労をかけると思う。そしてヨシュア。お前の生きる道は険しく辛いものになるかもしれない。でも私達はみなお前の事が大切で大好きだ……!」
「お、お父様……」
スキルは外れだったけど、オレは家族には恵まれたようだ。なら、大丈夫かな?
俺はたった一つのスキルで生きていく事になった。
俺が熱から復帰した後、家族だけを集めて会議が始まった。
お父様のジュールは「お前達には少し難しいかもしれんが聞いてくれ」と、前置きをしてから、昔の話を始めた。
「私とマリーは政略結婚だった。しがない子爵のセーブル家に三女とはいえ、公爵家のマリーが嫁いできたのは……金の為だけだと思った。私は家は子爵であったが、アナベルと同じ「剣聖」持ちであった為に給料は物すごく良かった」
そうなのだ。お父様もとても強いのだ。アナベル兄様とお父様の練習は俺には分からない速度で行われている。音しか聞こえないレベルなのだ。
「だから私は……お前達の前で言うのは恥ずかしいのだが……あの頃の私はマリーの事を愛していなかった。ただ金に釣られた女だと軽蔑していたのだ……。とても恥ずかしいよ。マリーはずっと私の事を愛してくれていたのに」
父は全て隠さず話してくれた。
「私達が打ち解けたのはマリーがヨシュアを妊娠した頃だった。お前達も知っての通りマリーは体が強くない。もう3人も産んだのだ。跡取りもいるし……私はその子供を……捨てよとマリーに言ったのだ。最低な父親だ。しかしマリーはその時始めて私に逆らったのだ……愛しい旦那様の子供を殺す事など、出来ませんと、私は死んでも構わない……マリーがこんなに強い女性とは気がつかなった」
「それからよ、旦那様とわたくしは本当の意味で夫婦になったのよ」
その頃を思い出したのかマリーお母様は遠い目をする。
「やっと通じ合ったのに……マリーはヨシュアを産んだ時死にかけた……いや、むしろ死んだのかもしれない。それをヨシュアは助けてくれた……あまりに早すぎるスキルの発現で」
「お、お母様を死なせることなんて…できません!」
俺はママンが死ぬ事が嫌だったからな!何せ産まれてからの記憶もバッチリあるし。
「無意識の発動であったのだろう……早すぎる発現にほかのスキルに悪影響が出たのではないかと、私は考えている。マリーを助ける為、そしてそれまでマリーを大切にして来なかった私のせいで、私はヨシュアのスキルを奪ってしまったのだ」
「ごめんなさい……ヨシュア……私が弱いばかりに……あなたにこんな重荷を背負わせてしまったわ」
お母様が顔を覆って泣いてしまう。うーん!なんかごめんよ?
「アナベル、ルルカ、カレル。私は今とても幸せだ。可愛い子供が4人もいて、優しい妻もいる。しかしその代償を一番小さな息子に背負わせてしまった……非道な親なのだ……私は出来る限りヨシュアに人として幸せに生きて貰いたい。私の残りの人生をかけて」
「俺もヨシュアが幸せになれるように手伝いたい!」
「私もよ!ヨシュアは可愛いおとうとだわ」
「私もです、お父様!ヨシュアは居てくれるだけで私達に幸せをくれるんです!」
お、俺、そんなにやばいのか……やばいよなぁ。スキル一個だもんなぁ。でもお母様を救ったことに後悔なんてないぞ!スキルがなくても、お父様が養ってくれるようだし!
「すまない子供達。お前達には苦労をかけると思う。そしてヨシュア。お前の生きる道は険しく辛いものになるかもしれない。でも私達はみなお前の事が大切で大好きだ……!」
「お、お父様……」
スキルは外れだったけど、オレは家族には恵まれたようだ。なら、大丈夫かな?
俺はたった一つのスキルで生きていく事になった。
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