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後日・その他

2 アイウエ・トラップ

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 精霊の子供達は何故か2名づついるらしいのです。ですから、片一方は私達が頂いて、片一方は残してあげようということに、我々兄弟で話し合っていたのです。


「こんにちは!わたくし、しんりゅうていこく、だいいちこうじょ、ぴあるーじぇ・でぃの・ぐらふぃーどでございます!」

 にこっ!

 ええ、ええ!私達は元々龍帝。その記憶と魂を受け継いでおります。肉体など龍体から人型、その逆を行う時に多少の変化は可能です。精神的にも大人です。

 だからこそ、一番可愛いあざとい姿を見せる事ができる訳です。


 さて、私の獲物ですが。土の精霊王の息子、セアン様かリィム様になります。どちらでも良いのですが、今王位はセアン様が持っていらっしゃいます。
 私はセアン様と結婚してゼードラウンの王妃になり、リィム様に土の精霊王を、ついでいただこうかと考えております。

 ま、どっちでも良いんですけどねー?

「き、キノコ……いえ、エドヴァルドおじさまに似ておられるような」

「ええ!わたしたちのおかあさまは、こちらからとついでらしたえどゔぁるどおかあさまで、まちがいございませんわ」
  
「は?!おじさまがお母様とはどういうことなのですか?!」

 ほほほ、驚いてる驚いてる。まあ私達も最初は男のキノコから産まれるのか?!なんて戦慄したものでしたけどね?
 ま、あっという間にキノコ大好きになっちゃったんですけどね?まあ30日もキノコの中にいて毎日撫でられたら好きにもなりますって。
 あのキノコ、キノコのくせになかなかまめまめしいキノコで、毎日それはそれは嬉しそうに腹の卵を愛おしむのです。

「中身はキノコかなぁ?」

 その願いは永遠に叶わないのですがね?一欠片の疑いもない愛情を向けられるのは、とても気持ちが良いものです。
 あれにテイゼルもコロリとやられたんでしょう。……ある意味あの混じり気のない愛があのキノコ最大の毒かもしれません。
 
 ふふ!驚いているセアン王にお答えしなくては! 

「わたくしたちは、ただしくみな、えどゔぁるどおかあさまのおなかから、出てきたのですよ?」

 そんな馬鹿な!おじさまが子供を産むなんて、そんな……そんな……羨ましい!

 セアン王もブレませんわね。しかしこのままでは話が進みません。弟達にぐずれ、と合図をします。さあ、誰が1番最初に落とせるか勝負でしてよ?

「おねぇさま……」

「どうなさったの?ピイ、ピウ?」

「ぼくたち、おといれに……」

 手っ取り早い手段ですわね?帝国からのお付きの者にゼードラウン側にそれとなく伝えて貰います。セアン様、気が利かなくてよ!

 耳打ちをされ、やっと気がついたらしい。

「長旅であったのに、すまなかった。詳しい話でも、向こうでお茶を用意させよう」

「ありがとうございます。わたしもせあんさまといろいろおはなししてみたいですわ。ただ、おとうとたちはつかれているようなので……」

「部屋に案内させよう」

「ありがとうございます」

 フフフ、腕がなりますわね?

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