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後日・その他
3 悋気深して
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「エドヴァルド様はご就寝なさいました」
「ルドの卵はまだ産まれないだろう?確かまだ15日目ほどだ」
「さようでございますね」
メイドは頭を下げたまま、ルドの部屋のドアの前から一歩も動こうとしない。
「産まれるまで、こうか?」
「さようでございます」
卵!卵!卵!!確かに卵は可愛いし、とても大切だ。この国の為、皇帝として卵の確保は仕事の一つだ。
だが!このまま産まれるまでだと?
ふざけるな!
あれは俺のものだ!卵のものでなはい!
「どけ」
「エドヴァルドさまは……」
「どけと言っている」
「ひっ!」
メイドが喉の奥で悲鳴を上げるが、知ったことではない。ぐっと扉を握ると、ノブがバキンと折れてしまった。
「……?ゼル……?」
ベッドの上の毛布から顔だけ覗かせていたルドに近づき、毛布ごと抱えてあげた。
「ゼル、どうした?ゼル。顔が怖いぞ」
答えずにベランダへ行き、背中から翼を出して飛び上がった。
「ゼル!ゼル?!」
耳元でルドの声が聞こえる。良かった、すぐそばに居る。爽やかなフルーツの匂いに混じっていつものルドの匂いがする。
秋の森のキノコの匂いだと気がついた時は笑ってしまったが、俺はこれが好きだ。
もっともっと早く飛べるが、キノコが目を回す。無言のまま飛んで、切り立った崖の中腹に降りた。
辺りは暗くなり、星が見える。ここなら誰も来ない。
なあ、ルド。お前は誰の物だ?
「ゼル」
そう、お前は俺のものだろう?
「ゼル?」
腹の卵なんて関係ない。今ここでぐちゃぐちゃに犯してやろうか?誰の物か思い出すように、忘れないように!!
「助けに来るのが遅いぞ!まったく何してんだ!」
怒られた。
髪の毛の先まで艶々なルドは、これまた艶々な頬をぷっと膨らませた。
「朝から晩まで、何もさせてもらえないんだ!疲れもしないのに、睡眠は大事ですって言い張られて小さい子供と同じくらいの時間にベッドに詰められるんだぞ!」
寝られる訳ないだろ!元々俺は睡眠時間は短いほうなんだから!ルドは拳を振り上げる。
「退屈で退屈で!抜け出したくても監視の目は厳しいし!こうしてる間にも書類が溜まっていくと考えると……あーーーー!イライラする!」
きれいに整えられた指先でガリガリと頭を掻いた。メイドが泣くぞ。
「絶対溜まってるだろ!書類!ゼル、そろそろ全部羽ペン折ったんじゃないか?俺の机の引き出しの中に確か三本くらい替が入ってるからな!使えよ!」
眉毛を釣り上げて怒りを露わにしている。いつもよりどこもここも念入りに磨きあげられた体。俺の好きな匂いがする。
「ゼル?」
首元に顔を埋める。
「なあ、ルド。お前は誰の物だ?」
すぐに答えが返って来た。
「お前の物だよ、俺の可愛い旦那様」
「ルドの卵はまだ産まれないだろう?確かまだ15日目ほどだ」
「さようでございますね」
メイドは頭を下げたまま、ルドの部屋のドアの前から一歩も動こうとしない。
「産まれるまで、こうか?」
「さようでございます」
卵!卵!卵!!確かに卵は可愛いし、とても大切だ。この国の為、皇帝として卵の確保は仕事の一つだ。
だが!このまま産まれるまでだと?
ふざけるな!
あれは俺のものだ!卵のものでなはい!
「どけ」
「エドヴァルドさまは……」
「どけと言っている」
「ひっ!」
メイドが喉の奥で悲鳴を上げるが、知ったことではない。ぐっと扉を握ると、ノブがバキンと折れてしまった。
「……?ゼル……?」
ベッドの上の毛布から顔だけ覗かせていたルドに近づき、毛布ごと抱えてあげた。
「ゼル、どうした?ゼル。顔が怖いぞ」
答えずにベランダへ行き、背中から翼を出して飛び上がった。
「ゼル!ゼル?!」
耳元でルドの声が聞こえる。良かった、すぐそばに居る。爽やかなフルーツの匂いに混じっていつものルドの匂いがする。
秋の森のキノコの匂いだと気がついた時は笑ってしまったが、俺はこれが好きだ。
もっともっと早く飛べるが、キノコが目を回す。無言のまま飛んで、切り立った崖の中腹に降りた。
辺りは暗くなり、星が見える。ここなら誰も来ない。
なあ、ルド。お前は誰の物だ?
「ゼル」
そう、お前は俺のものだろう?
「ゼル?」
腹の卵なんて関係ない。今ここでぐちゃぐちゃに犯してやろうか?誰の物か思い出すように、忘れないように!!
「助けに来るのが遅いぞ!まったく何してんだ!」
怒られた。
髪の毛の先まで艶々なルドは、これまた艶々な頬をぷっと膨らませた。
「朝から晩まで、何もさせてもらえないんだ!疲れもしないのに、睡眠は大事ですって言い張られて小さい子供と同じくらいの時間にベッドに詰められるんだぞ!」
寝られる訳ないだろ!元々俺は睡眠時間は短いほうなんだから!ルドは拳を振り上げる。
「退屈で退屈で!抜け出したくても監視の目は厳しいし!こうしてる間にも書類が溜まっていくと考えると……あーーーー!イライラする!」
きれいに整えられた指先でガリガリと頭を掻いた。メイドが泣くぞ。
「絶対溜まってるだろ!書類!ゼル、そろそろ全部羽ペン折ったんじゃないか?俺の机の引き出しの中に確か三本くらい替が入ってるからな!使えよ!」
眉毛を釣り上げて怒りを露わにしている。いつもよりどこもここも念入りに磨きあげられた体。俺の好きな匂いがする。
「ゼル?」
首元に顔を埋める。
「なあ、ルド。お前は誰の物だ?」
すぐに答えが返って来た。
「お前の物だよ、俺の可愛い旦那様」
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