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ん?キノコの様子が……?
48 新しい仕事?
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「マリーがそんな役割を押し付けられたとは」
「色々言いたい事はあるが、マリーベル様の事、俺は嫌いじゃなかった」
俺にしてみれば最悪なんだが、俺が食ってしまったマリーベル様の事を考えると胸が痛い。
何せアルトの妹さんだった。俺は妹と言う生物にとことん弱いようだ。マリアンヌちゃんもマリーベル様も。
「で?どうなんだ?」
頭も痛い。
「俺が分かると思うか?」
「やはり試さねばならんかな?」
「最低だな!!」
少しは故人を偲べ!……とは思うが占いを信じている帝国皇帝としては気になるんだろう。
「何せ、男が混じったんだからなぁ。本当にその体で子が産めるのか?」
「聞きたくない聞きなくない!!」
マリーベル様が龍巫女から受けた指示は俺にはとんでもないものだった。
「帝国千年の礎の為にその身を捧げよ。ゼードラウンから来た礎の種はそのままでは子が成せぬ。女の胎が必要だ……」
とんでもない。しかしマリーベル様は実行してしまった。本当はキノコだけもいで行きたかったらしいが俺が抵抗したからこうなった。
大体、見た目は変わらない俺。しかし、認めたくないが!マリーベル様成分が多大に溶け込んでいる。
認めたくないが!とても認めたくないが!!!多分、ある。何か今まで無かったものがある……。
龍巫女ってなんなの!もうやだ!
「でも犠牲になったマリーベルの事を考えると休眠もできないと」
「ううっマリーベル様、何故一言相談してくれなかったんだ……!」
そうすれば色々方法があったのに……。多分。
「まあ試してみれば分かるだろう?」
ゾワっとする。こいつ本気か!
「ま、まて!ホムンクルスだぞ!キノコだぞ!しかも毒キノコだぞ!そ、それに子供産ませようなんて馬鹿だろ!アホだろ!どんな合成生物が産まれると思ってんだ!やめろ!顔がキノコのキノコ人間とか出来たらどうするんだ!!!」
「頑張って、俺の子供だと育てるさ」
「変な覚悟決めてんじゃねーよ!!」
逃げろ!キノコ!今までとは訳が違うぞ!俺は妖怪の母にはなりたくない!というか母にはなりたくない!
これがマスターに隠し事した罰かーー!いやー!助けてーごめんなさいーーー!素直に素体で体を直して優秀なオスキノコでいたかったー!
なんで雌雄同体にならなきゃならんのだーーー!……あれ?キノコには元々オスメスなかったか?
「ぜ、ゼルっ!ゼル!や、やめて……」
思わず涙目で訴える俺に
「?ルド、誘ってるんだ?」
と、最悪な返事を返して来やがった!このあほがーーー!
「処女だ」
「奥がある」
「陛下、良き子が孕まれました。帝国の繁栄は約束されました」
最悪だ。
俺は正妃に格上げされた、最悪だ。最悪の大安売りだ。
「森に帰りたい」
「駄目だ」
「地面に埋まりたい」
「無理だ」
「ジメジメしたところに菌糸を伸ばしたい」
「やめろ」
「胞子で増えたい」
「今夜好きなだけ飛ばせ」
「休眠したい」
「好きに可愛がるぞ」
「……泣きたい」
「ベッドで鳴け」
頭の上のキノコは傘が開きっぱなしで、もう胞子が残っていない。
皇帝テイゼルの付き纏いは苛烈を極め、俺は1人でどこにも行けない。
暗殺の矛先が俺に向き、1度頬をちょこっと斬られてから、王宮の取締りは恐ろしい精度になった。ここの所不埒な輩を見ることはない。
庭も完璧に美しく、沢山の庭師、しかも帝国全土から集められた緑の手達がそれはそれは美しい庭を作っていて、植物達も大満足だ。
「ゼル」
「……」
くそっ!
「旦那様!」
「……あなた、だろう」
くそめが!
「……っ!あなた!土の精霊王に連絡させてください!」
「……嫌だ」
心狭いっ!!!
絶対にどこにも行かないと約束させられて、久しぶりに上司に連絡を取り、思う存分愚痴ってやった。
「……キノコちゃん……スーパーキノコちゃんになったのね……?」
マリアンヌちゃん、なんか違うわぁ。とりあえず2人とも無事は喜んでくれた。
「大丈夫!キノコの一体や二本、メスになっても森は元気だけど、セアン達には知らせないでおくな!」
「是非その方向でお願いします……」
30日後にぽんぽこりんのお腹から、大きな卵を一個産み落とした。
「立派なお世継ぎです!」
「卵やん……」
「卵ですよ!龍の子ですもの!」
そう言えばそうだった。
「ルド!でかした!!可愛いな!お前も卵も!」
卵は薄いピンク色でウスベニ裏毒茸の色だった。
「.…うん、間違いなく俺のだわ」
凄く納得してしまった。卵ちゃんは色々な人に抱っこされちやほやされ、そして何処かに連れて行かれて戻って来なかった。
「……ゼル、俺には卵に会う資格があると思うんだが……」
「……ああ!そうか、お前は知らないんだったな。こっちだ」
王宮の奥へ奥へと案内される。初めてくる場所だった。
「俺でもほとんど来ることはない。それほど厳重に管理された場所だ」
ゼルは中のは人と話をして
「説明のないままに連れてきてしまったからな」
と、案内してくれた。窓を隔てた向こう側の少し薄暗いが暖かそうな部屋の中に俺のピンクちゃんがころんと鎮座していた。
「ピンクちゃん……触れないのか?」
「すまんな。保卵室に入れたら、よほどの事がない限り出せないんだ。全て卵を守る為だ」
そうなのか……卵をみると、特に不満も無さそうで、すやすやと眠っている……気がする。
「昔はたくさんの卵でこの部屋も埋め尽くされていたらしいが、今は俺たちの卵が1つきりだ。ルドが産むまで100年、卵は増えなかったからな」
「100年?!」
「ああ、俺が産まれた後、王族の卵は1つもなかったんだ」
「お前、100歳だったのか」
龍の100歳なんて若い方だ。しれっとゼルは言うが、俺は龍についてほぼ何も知らないと言う事にやっと気がついた。
忙しくすぎたし、龍と言ってもみんな人型で生活しているから、何も変わって見えないんだよな。
「王族の卵はここで大切に育成され、卵が必要だと感じた時に、割って出てくる。必要を感じなければ何百年でも眠り続ける」
「そうなのか……」
「昔の龍は卵を産んで放置だったそうだ。龍の数が減って来てからは皆、育てるようになったそうだが」
産みっぱなしで大きくなるのはすごいな。
「この卵が孵るのはいつか誰にも分からんが、お前が生きてるうちに会えると良いな」
「……そうだな」
お前と違ってキノコは100年も生きたりしないだろうからな。
次に会えるかどうかも分からない卵ちゃんに手を振って別れを告げた。名残惜しいがそう言うものならば仕方がない。
中身はちゃんと龍が詰まってると良いな。キノコだったらごめんな?流石にそこまで責任取れないからなあ。
「色々言いたい事はあるが、マリーベル様の事、俺は嫌いじゃなかった」
俺にしてみれば最悪なんだが、俺が食ってしまったマリーベル様の事を考えると胸が痛い。
何せアルトの妹さんだった。俺は妹と言う生物にとことん弱いようだ。マリアンヌちゃんもマリーベル様も。
「で?どうなんだ?」
頭も痛い。
「俺が分かると思うか?」
「やはり試さねばならんかな?」
「最低だな!!」
少しは故人を偲べ!……とは思うが占いを信じている帝国皇帝としては気になるんだろう。
「何せ、男が混じったんだからなぁ。本当にその体で子が産めるのか?」
「聞きたくない聞きなくない!!」
マリーベル様が龍巫女から受けた指示は俺にはとんでもないものだった。
「帝国千年の礎の為にその身を捧げよ。ゼードラウンから来た礎の種はそのままでは子が成せぬ。女の胎が必要だ……」
とんでもない。しかしマリーベル様は実行してしまった。本当はキノコだけもいで行きたかったらしいが俺が抵抗したからこうなった。
大体、見た目は変わらない俺。しかし、認めたくないが!マリーベル様成分が多大に溶け込んでいる。
認めたくないが!とても認めたくないが!!!多分、ある。何か今まで無かったものがある……。
龍巫女ってなんなの!もうやだ!
「でも犠牲になったマリーベルの事を考えると休眠もできないと」
「ううっマリーベル様、何故一言相談してくれなかったんだ……!」
そうすれば色々方法があったのに……。多分。
「まあ試してみれば分かるだろう?」
ゾワっとする。こいつ本気か!
「ま、まて!ホムンクルスだぞ!キノコだぞ!しかも毒キノコだぞ!そ、それに子供産ませようなんて馬鹿だろ!アホだろ!どんな合成生物が産まれると思ってんだ!やめろ!顔がキノコのキノコ人間とか出来たらどうするんだ!!!」
「頑張って、俺の子供だと育てるさ」
「変な覚悟決めてんじゃねーよ!!」
逃げろ!キノコ!今までとは訳が違うぞ!俺は妖怪の母にはなりたくない!というか母にはなりたくない!
これがマスターに隠し事した罰かーー!いやー!助けてーごめんなさいーーー!素直に素体で体を直して優秀なオスキノコでいたかったー!
なんで雌雄同体にならなきゃならんのだーーー!……あれ?キノコには元々オスメスなかったか?
「ぜ、ゼルっ!ゼル!や、やめて……」
思わず涙目で訴える俺に
「?ルド、誘ってるんだ?」
と、最悪な返事を返して来やがった!このあほがーーー!
「処女だ」
「奥がある」
「陛下、良き子が孕まれました。帝国の繁栄は約束されました」
最悪だ。
俺は正妃に格上げされた、最悪だ。最悪の大安売りだ。
「森に帰りたい」
「駄目だ」
「地面に埋まりたい」
「無理だ」
「ジメジメしたところに菌糸を伸ばしたい」
「やめろ」
「胞子で増えたい」
「今夜好きなだけ飛ばせ」
「休眠したい」
「好きに可愛がるぞ」
「……泣きたい」
「ベッドで鳴け」
頭の上のキノコは傘が開きっぱなしで、もう胞子が残っていない。
皇帝テイゼルの付き纏いは苛烈を極め、俺は1人でどこにも行けない。
暗殺の矛先が俺に向き、1度頬をちょこっと斬られてから、王宮の取締りは恐ろしい精度になった。ここの所不埒な輩を見ることはない。
庭も完璧に美しく、沢山の庭師、しかも帝国全土から集められた緑の手達がそれはそれは美しい庭を作っていて、植物達も大満足だ。
「ゼル」
「……」
くそっ!
「旦那様!」
「……あなた、だろう」
くそめが!
「……っ!あなた!土の精霊王に連絡させてください!」
「……嫌だ」
心狭いっ!!!
絶対にどこにも行かないと約束させられて、久しぶりに上司に連絡を取り、思う存分愚痴ってやった。
「……キノコちゃん……スーパーキノコちゃんになったのね……?」
マリアンヌちゃん、なんか違うわぁ。とりあえず2人とも無事は喜んでくれた。
「大丈夫!キノコの一体や二本、メスになっても森は元気だけど、セアン達には知らせないでおくな!」
「是非その方向でお願いします……」
30日後にぽんぽこりんのお腹から、大きな卵を一個産み落とした。
「立派なお世継ぎです!」
「卵やん……」
「卵ですよ!龍の子ですもの!」
そう言えばそうだった。
「ルド!でかした!!可愛いな!お前も卵も!」
卵は薄いピンク色でウスベニ裏毒茸の色だった。
「.…うん、間違いなく俺のだわ」
凄く納得してしまった。卵ちゃんは色々な人に抱っこされちやほやされ、そして何処かに連れて行かれて戻って来なかった。
「……ゼル、俺には卵に会う資格があると思うんだが……」
「……ああ!そうか、お前は知らないんだったな。こっちだ」
王宮の奥へ奥へと案内される。初めてくる場所だった。
「俺でもほとんど来ることはない。それほど厳重に管理された場所だ」
ゼルは中のは人と話をして
「説明のないままに連れてきてしまったからな」
と、案内してくれた。窓を隔てた向こう側の少し薄暗いが暖かそうな部屋の中に俺のピンクちゃんがころんと鎮座していた。
「ピンクちゃん……触れないのか?」
「すまんな。保卵室に入れたら、よほどの事がない限り出せないんだ。全て卵を守る為だ」
そうなのか……卵をみると、特に不満も無さそうで、すやすやと眠っている……気がする。
「昔はたくさんの卵でこの部屋も埋め尽くされていたらしいが、今は俺たちの卵が1つきりだ。ルドが産むまで100年、卵は増えなかったからな」
「100年?!」
「ああ、俺が産まれた後、王族の卵は1つもなかったんだ」
「お前、100歳だったのか」
龍の100歳なんて若い方だ。しれっとゼルは言うが、俺は龍についてほぼ何も知らないと言う事にやっと気がついた。
忙しくすぎたし、龍と言ってもみんな人型で生活しているから、何も変わって見えないんだよな。
「王族の卵はここで大切に育成され、卵が必要だと感じた時に、割って出てくる。必要を感じなければ何百年でも眠り続ける」
「そうなのか……」
「昔の龍は卵を産んで放置だったそうだ。龍の数が減って来てからは皆、育てるようになったそうだが」
産みっぱなしで大きくなるのはすごいな。
「この卵が孵るのはいつか誰にも分からんが、お前が生きてるうちに会えると良いな」
「……そうだな」
お前と違ってキノコは100年も生きたりしないだろうからな。
次に会えるかどうかも分からない卵ちゃんに手を振って別れを告げた。名残惜しいがそう言うものならば仕方がない。
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