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王様キノコ
19 引退したい
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キノコの育成に必要な物って知っていますか?
それは水と栄養を含んだ土です。
俺の頭の上のウスベニ裏毒茸は、水の精霊王の子供さんのエキスと土の精霊王の子供さんのエキスを大量に摂取させられ、ぶっかけられ、つやっつやのピッカピカです。
ただし俺の精神力はゼロを通り越しマイナスの限界突破ぶっちぎりです。
ほっぺもお肌もつやっつやの俺はだがしかし、げっそりしていた。
「子供怖い子供怖い」
「嫌だなぁおじさまったら」
「僕たちこんなにおじさまの事大好きなのに」
「全くですよエドヴァルド様」
「本当は大好きでしょうがない癖に」
帰りの馬車はずっとこんな感じだ。この子供達は完全に昼と夜の顔を使い分けている。
ある意味助かるが、キノコの精神が持たない!
「はは…ははは……」
なんでこんなキノコを気に入ったかな……。行きよりも子供が2名増えて俺は王宮に帰ってきた。
「ジェルト公爵家の子供達です。セアンとリィムの友人に相応しい」
国の基盤となる人材の確保も必要だ。今までは俺が全てを取り仕切ってきたが、そうもいかない。
「騎士団の募集もしないとなぁ。やはり冒険者か」
荒くれ者も入ってくるが、手っ取り早い。海辺に水の迷宮と森に土の迷宮を一発作ってもらった。どちらも精霊王謹製の凄い奴だから、冒険者もバンバン来るだろう。
「騎士団長、その辺はお願いします。俺はそっち方面はさっぱりだ」
「分かりました。尽力を尽くしますよ」
狙い通り冒険者は増え、街は発展して俺はセアンが10歳になった頃、王位を譲って離宮に引っ込んだ。
セアンは王位の譲渡を拒んだが
「良いじゃないですか。臣下に王様は言う事を聞かせられますよ?」
離宮に引っ込む予定が、王の自室に軟禁されていた事もあった。
少しづつ王様らしくなるセアンと補佐に忙しい3人を遠目で見る事が増え、庭園の隅っこに一日中座っている日も出来たりするようになった。
引退したロブ爺さんの家に行った。お茶を飲む爺さんの隣に座って
「はー…水が美味い」
「お前さんはキノコじゃからのう…」
爺さんが入れてくれた水を飲んだりしていた。「緑の手」の爺さんが入れてくれた水はとても美味い。キノコの軸に染み渡る!
「爺さん、俺も引退したいんだよねぇ」
「そうじゃのう…お前さんはここ数年頑張ったもんなぁ」
「うん……普通のキノコに戻りたいんだ。俺は森でのんびりしたい」
夏の終わりに顔を出し、秋に胞子を飛ばし、冬に菌糸に戻って春を越え、また夏の終わりに顔を出す。
そんな生活に戻りたい。
「まだしばらく辛抱じゃのう。子供達もまだまだじゃし……」
「だよねー……」
爺さんに愚痴を聞いてもらって、離宮に戻る。キノコも緑の手の持ち主と触れ合うと元気が出るわぁ!
それは水と栄養を含んだ土です。
俺の頭の上のウスベニ裏毒茸は、水の精霊王の子供さんのエキスと土の精霊王の子供さんのエキスを大量に摂取させられ、ぶっかけられ、つやっつやのピッカピカです。
ただし俺の精神力はゼロを通り越しマイナスの限界突破ぶっちぎりです。
ほっぺもお肌もつやっつやの俺はだがしかし、げっそりしていた。
「子供怖い子供怖い」
「嫌だなぁおじさまったら」
「僕たちこんなにおじさまの事大好きなのに」
「全くですよエドヴァルド様」
「本当は大好きでしょうがない癖に」
帰りの馬車はずっとこんな感じだ。この子供達は完全に昼と夜の顔を使い分けている。
ある意味助かるが、キノコの精神が持たない!
「はは…ははは……」
なんでこんなキノコを気に入ったかな……。行きよりも子供が2名増えて俺は王宮に帰ってきた。
「ジェルト公爵家の子供達です。セアンとリィムの友人に相応しい」
国の基盤となる人材の確保も必要だ。今までは俺が全てを取り仕切ってきたが、そうもいかない。
「騎士団の募集もしないとなぁ。やはり冒険者か」
荒くれ者も入ってくるが、手っ取り早い。海辺に水の迷宮と森に土の迷宮を一発作ってもらった。どちらも精霊王謹製の凄い奴だから、冒険者もバンバン来るだろう。
「騎士団長、その辺はお願いします。俺はそっち方面はさっぱりだ」
「分かりました。尽力を尽くしますよ」
狙い通り冒険者は増え、街は発展して俺はセアンが10歳になった頃、王位を譲って離宮に引っ込んだ。
セアンは王位の譲渡を拒んだが
「良いじゃないですか。臣下に王様は言う事を聞かせられますよ?」
離宮に引っ込む予定が、王の自室に軟禁されていた事もあった。
少しづつ王様らしくなるセアンと補佐に忙しい3人を遠目で見る事が増え、庭園の隅っこに一日中座っている日も出来たりするようになった。
引退したロブ爺さんの家に行った。お茶を飲む爺さんの隣に座って
「はー…水が美味い」
「お前さんはキノコじゃからのう…」
爺さんが入れてくれた水を飲んだりしていた。「緑の手」の爺さんが入れてくれた水はとても美味い。キノコの軸に染み渡る!
「爺さん、俺も引退したいんだよねぇ」
「そうじゃのう…お前さんはここ数年頑張ったもんなぁ」
「うん……普通のキノコに戻りたいんだ。俺は森でのんびりしたい」
夏の終わりに顔を出し、秋に胞子を飛ばし、冬に菌糸に戻って春を越え、また夏の終わりに顔を出す。
そんな生活に戻りたい。
「まだしばらく辛抱じゃのう。子供達もまだまだじゃし……」
「だよねー……」
爺さんに愚痴を聞いてもらって、離宮に戻る。キノコも緑の手の持ち主と触れ合うと元気が出るわぁ!
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