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キノコと王様

11 おやすみまでキノコ

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 おはようからおやすみまであなたを見つめる毒キノコです。

「エド、俺とお前の関係は何なんだろうな?何か良い物考えてくれ。恋人?男娼?奴隷?」

「そんな扱いをするつもりはないんだが……」

「夜も一緒に寝るからな!いつ暗殺者がきてもおかしくねーんだもん」

 俺が刺されてもキノコ汁が出るだけだが、エドヴァルドが刺されると死んでしまう。良くない。

「良いか!俺を庇ったりするなよ?俺はあっさり復活できるが人間は死んだら終わりだからな!スペアのキノコおいとくからな!日光に当てるんじゃねーぞ!」

 日陰のクローゼットの中に菌糸の入った土と葉っぱを植木鉢の中に入れておく。しばらくすれば俺の可愛い子供達がニョキニョキと顔を出すはず。ピンクの可愛い俺そっくりだぞ。

「俺1人の胞子だから俺そっくり♡」

「そっくりじゃなくなる事もあるのか?」

 あっ!聞いちゃいます?聞いちゃいます??人間の恋人が出来なくて、毒キノコとやっちゃった可哀想な男の話を!

「昔々ある所に、可哀想な男が住んでおりました」

「ヨルム、その話長い?」

「……。俺とヤればかけ合わさったようなのできる…」

 エドヴァルドはドン引きだ!そうだ!それが普通の態度だ!お前は正しい!

「そんな目で見るなよ……」

 俺は悪くない!


 すぐさま帳簿を調べ、植物達から事情聴取をし、ロブ爺さんにヘルプし、俺たちは大量の貴族を切った。
 ある者は代替わりし、あるものは処分、処刑。森へ逃げたものは尽く捕まるか埋まるかした。
 森を通って、情報を他国に売れた者は1人も居ない。

 海に逃げたものは流石に逃してしまったが、一握りだ。
 早く海も掌握してしまいたい。

 これで王宮はだいぶ風通しが良くなった。エドを庇って斬られる事5度、毒を盛られることは数え切れず……。

「どうして、俺が宰相なの?」

「ヨルムが役が欲しいって言ったから。後、私に次いで危険な目に遭う役職だからね」

 実際、今までエドヴァルドを支えてきた宰相殿は毒に引っかかり、目を覚さない。
 皆、役職は欲しいが命は惜しいと宰相の座は座りたくないらしい。

「分かったよー。国王と宰相がデキてるなんて噂は良くあるからまぁ良いか」

 なぁんて思っていたら、あっさり俺は拐われた。俺は武力はないのよー!

 麻袋に詰め込まれ、どこかに運び込まれる。さっぱり分からんが出るとそこにはベッドがある。

「え……まさか」

「お前が王の愛妾って事くらいは分かったんだ!そんなお前が汚されたらあの坊ちゃんはどんな顔がするだろうな!」

 おいおいおいおい!良いのか?俺、本気出しちゃうよーー??

「な、にを」

「分かってるんだろう?お顔のきれいなあんちゃんよお?ん?なんだこりゃ?」

 まずい!まずい!男の視線は俺の頭の上!つまりウスベニ裏毒茸本体
に注がれている!本体攻撃はだめ!死んじゃう!俺は一生懸命考えて閃いた!そうだ!菌糸だ!菌糸に戻ろう!
 寒くなるといつもやってるアレだ!

 菌糸!菌糸!菌糸!!!!

しゅわ……しゅわわ……あ、戻れた。このまま体の中に……あーでも菌糸状態は眠くなるぅ……おやすみなさーい……

「おいおい!恐怖のあまりトンじまったかぁ?まあヤるこたぁヤるんだけどなぁ?楽しませてくれよぉ?」

スヤァ!



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