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キノコと王様
10 王宮と庭師
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「おはようございます!」
次の日の朝から、俺は働き出した。中庭に突撃だ。
キノコちゃん!キノコちゃん!
お姉様、お兄様、お爺様色々から不満が噴出した。ふむふむ。
「でも、皆。気付いてると思うけど、エドはノーム様の特別のお兄さんだから、みんな加護っちゃってね!」
そっかーマリアンヌちゃんがねー
あの子いい子だしねー
私達にも優しかったよねー
ノーム様なら大丈夫かしらね!
「そうなんだ、よろしくね。」
俺は王宮中を歩き回った。そして衛兵に捕まった。解せぬ。
「エド!王様呼んでよ……」
「お前のような怪しい奴を王に会わせる訳ないだろう!」
「……くすん」
俺は二日間も地下牢に入れられた。ジメジメして快適だった。
「すまなかった、ヨルム」
「大丈夫。快適だったよ!湿度も温度もいい感じで胞子が出そうだった!」
「ほ、胞子……?」
「俺、キノコだって言ったろ?」
ほらほら!頭の上のキノコを指差す。
「……ま、まあ。そういえばヨルムの言った通り、森から敵が来なくなったんだ」
「近々挨拶すると良いよ。森は君の味方だからね。あ、あと庭師のロブ爺さんって人いる?最近見ないって皆心配してる」
「ロブ爺?いるはずだが……?」
「庭師はクビにしました。あいつが毒を持ち込んでおりました、陛下の命を狙っておいでです!」
誰だ?
悪い人よキノコちゃん。その人がエドちゃんのお茶に変な物いれるの!
机の上の鉢植えが俺に訴えた。ほう?
ならば俺のする事は一つだが。
「……エド。俺を信じるか?」
聞いてみた。エドヴァルドは俺の方を見て
「全て信じよう」
そう言った。
「こいつクビにして。あと全力で爺さん探して」
エドの前に置かれていた紅茶を持ち上げて、床に捨てた。
一瞬、エドヴァルドは目を閉じたが
「ミゲル子爵、全ての任を解く。早急に王宮を立ち去れ。それと庭師のロブ爺を見つけてきてくれ。今すぐに!」
「貴様っー!」
俺が掴みかかられた。筋違いだってのー、いや合ってるのか?
「陛下のご裁決に何か不服が?」
襟首を締められても大して苦しくない。だってキノコですもの。
「衛兵!ミゲル子爵を連れて行け!ヨルム!大丈夫か?」
「ああ、問題ない」
エド、お前んちだいぶ腐ってるわ。
ミゲル子爵とやらは連れて行かれ、俺はエドに言うしか無かった。
「ここはだいぶ腐敗が進んでる。帳簿の類も早く見直した方がいい。守りは森に任せて、海をなんとかしたら内政を立て直さないと近いうちに滅びるぞ」
「どういう事だ……?」
「お前のお茶にこんなに簡単に毒を盛られるとか。今日からお前にぴったりくっついて暮らさなきゃならんな!」
これは手強そうだぞ?
ロブ爺さんはすぐに見つかった。
「おおおお!この人がロブ爺さん!緑の手!凄い!握手してくださいーー!」
「お、おう」
うわーーこの爺さん良い!マジでいい!癒される~~!庭の皆んなが絶賛するだけの事はある!
「ああーー!エド。この人は俺たちの宝物だ……永遠に仲良くしよう……!」
「そ、そうなのか……ヨルム。ロブ爺、ヨルムだ。仲良くしてやって欲しい。私の仕事を手伝ってくれるんだ。」
「ヨルムです。ウスベニ裏毒茸です!」
頭の上のキノコを見せるとビックリしていたが
「いいキノコだな」
褒められ慣れてないから照れる~~!これで庭は安泰だ。こんなに素晴らしい緑の手がいるとは。
この国はノーム様に守られて然るべき国なのかもしれないな!
「という訳でエド。出来る限り一緒にいるから、解毒剤飲んでおいて」
「解毒剤?!何の?」
ウスベニ裏毒茸の!
次の日の朝から、俺は働き出した。中庭に突撃だ。
キノコちゃん!キノコちゃん!
お姉様、お兄様、お爺様色々から不満が噴出した。ふむふむ。
「でも、皆。気付いてると思うけど、エドはノーム様の特別のお兄さんだから、みんな加護っちゃってね!」
そっかーマリアンヌちゃんがねー
あの子いい子だしねー
私達にも優しかったよねー
ノーム様なら大丈夫かしらね!
「そうなんだ、よろしくね。」
俺は王宮中を歩き回った。そして衛兵に捕まった。解せぬ。
「エド!王様呼んでよ……」
「お前のような怪しい奴を王に会わせる訳ないだろう!」
「……くすん」
俺は二日間も地下牢に入れられた。ジメジメして快適だった。
「すまなかった、ヨルム」
「大丈夫。快適だったよ!湿度も温度もいい感じで胞子が出そうだった!」
「ほ、胞子……?」
「俺、キノコだって言ったろ?」
ほらほら!頭の上のキノコを指差す。
「……ま、まあ。そういえばヨルムの言った通り、森から敵が来なくなったんだ」
「近々挨拶すると良いよ。森は君の味方だからね。あ、あと庭師のロブ爺さんって人いる?最近見ないって皆心配してる」
「ロブ爺?いるはずだが……?」
「庭師はクビにしました。あいつが毒を持ち込んでおりました、陛下の命を狙っておいでです!」
誰だ?
悪い人よキノコちゃん。その人がエドちゃんのお茶に変な物いれるの!
机の上の鉢植えが俺に訴えた。ほう?
ならば俺のする事は一つだが。
「……エド。俺を信じるか?」
聞いてみた。エドヴァルドは俺の方を見て
「全て信じよう」
そう言った。
「こいつクビにして。あと全力で爺さん探して」
エドの前に置かれていた紅茶を持ち上げて、床に捨てた。
一瞬、エドヴァルドは目を閉じたが
「ミゲル子爵、全ての任を解く。早急に王宮を立ち去れ。それと庭師のロブ爺を見つけてきてくれ。今すぐに!」
「貴様っー!」
俺が掴みかかられた。筋違いだってのー、いや合ってるのか?
「陛下のご裁決に何か不服が?」
襟首を締められても大して苦しくない。だってキノコですもの。
「衛兵!ミゲル子爵を連れて行け!ヨルム!大丈夫か?」
「ああ、問題ない」
エド、お前んちだいぶ腐ってるわ。
ミゲル子爵とやらは連れて行かれ、俺はエドに言うしか無かった。
「ここはだいぶ腐敗が進んでる。帳簿の類も早く見直した方がいい。守りは森に任せて、海をなんとかしたら内政を立て直さないと近いうちに滅びるぞ」
「どういう事だ……?」
「お前のお茶にこんなに簡単に毒を盛られるとか。今日からお前にぴったりくっついて暮らさなきゃならんな!」
これは手強そうだぞ?
ロブ爺さんはすぐに見つかった。
「おおおお!この人がロブ爺さん!緑の手!凄い!握手してくださいーー!」
「お、おう」
うわーーこの爺さん良い!マジでいい!癒される~~!庭の皆んなが絶賛するだけの事はある!
「ああーー!エド。この人は俺たちの宝物だ……永遠に仲良くしよう……!」
「そ、そうなのか……ヨルム。ロブ爺、ヨルムだ。仲良くしてやって欲しい。私の仕事を手伝ってくれるんだ。」
「ヨルムです。ウスベニ裏毒茸です!」
頭の上のキノコを見せるとビックリしていたが
「いいキノコだな」
褒められ慣れてないから照れる~~!これで庭は安泰だ。こんなに素晴らしい緑の手がいるとは。
この国はノーム様に守られて然るべき国なのかもしれないな!
「という訳でエド。出来る限り一緒にいるから、解毒剤飲んでおいて」
「解毒剤?!何の?」
ウスベニ裏毒茸の!
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