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「まず、全員に着服した金の返却を要求する」

「そ、そんなぁ!」

「半年ほどはきちんとしていたようだが、その後は酷いものだな。その後詐欺罪、不敬罪。払えなければ親類縁者から取り立てる!」

「馬鹿な」「わ、私達は一体どうなんの?!」

 泣き出す者、暴れて衛兵に取り押さえられる者。

「この屋敷の給料は他に比べても高く設定されていたはずだ。それほど大切な方の世話だったのだからな!それをここまで蔑ろにしてタダで済む訳があるまい」

「ひい!」

 セラスと言うほぼ人形のような人間は、この国ではとても重要な人物であったのだ。

「だから、貴族の子弟や貴族社会でも立派に働ける出自も明らかな者達もばかり選んだのに……お前達の家の取り潰しも視野にはいっているからな!」

 青ざめる者、腰を抜かす者。様々だった。

「し、しかし!管理官様!あの人形……っセラス様はただぼんやりしていて何もしていませんでした!それなのに給料ももらい、世話をされ。一体何をしていたって言うんです?!」

 メイド長が声を上げる。使用人達はそうだ、そうだと同調しはじめる。ただいるだけ寝ているだけのセラスになんの価値が?と言うのだ。

「最初に説明したが、忘れたようだな?お前たちは3年前から、この町の魔物被害や、災害が減っているのに気がついていたか?」

 そう言われてみれば、と皆は思い返す。ここは首都でも端の方は魔物も多い。しかも精霊の恵みがない国だ。災害や、病気も起こりやすいのだ。
 それなのに、最近は大きな流行り病も魔物被害も出ていない。

「まさか」

「あの方のそばにいるから、分からんのだろう。あの方はいるだけでかなり広範囲に結界を張っておられる。その力を欲して、3年前に莫大な金額であの方を譲り受けたのに!」

 緑のジャガイモを食わせたなど、とんでもない話である。
 ……だが、あの方の前の持ち主だった国も大概だったようだが……。17.8だったあの方をどうも性的にも酷使したようで、何度も暴走させた記録が残っていた。
 管理官は口には出さずに渋い顔をした。

「ここでの暴走も君達に良く聞かねばならないようだな!」

 全てを明らかにしたあと、この管理官も責任を取らされるであろう。

「なんとかこの国に残っていただかないと……」

 セラスが人形状態でなくなったことはもう報告済みだ。この事態を収集できる人が派遣されてくるはず。
 それまでに何とか失態を取り返さねばならない。

 
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