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11 令嬢聖女の力
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「う、嘘っ!嘘でしょう?!あり得ないわ、聖女は私よ!私だけなのよ!!」
ルーナが騒ぎ立てるけれど、何人も目撃しているし、サボっていたルーナより私達の方が人を癒す力も大きい。それに宝物もあるんだから、素人がみてもどちらが優れているかすぐに分かる。
ゲームの強制力的なものでルーナしか太陽の王子や星の騎士を選べない可能性があったけれど、大丈夫だった。
聖女に、王子と騎士がつくと言う事なんだろう。
やったわ……この結果に私は大満足だ。勿論取り巻き……いや、お友達四人が断罪されるなんてもってのほかと思っていたけど、聖女とそれに選ばれた王子と騎士は強い力で守られる。
つまりはどんなに自分勝手な理由で令嬢達を婚約破棄しても、聖女の為なら許されるし、太陽の王子、星の騎士に選ばれれば家も安泰で家からも何も言われない……そんな免罪符があったのだ。
私はそれがどうしても許せなかった。ゲームなら良かった、そんな裏事情なんて知らなかったし考えた事も無かった。
断罪される令嬢達もルーナにひどい嫌がらせをしていたのだから、仕方ないとも思った。
でも酷いのはルーナだった。聖女として召喚されたまでは良い。親切にしてくれた王太子を頼りにするのも、ある程度仕方がない事かもしれないし……王太子のアンソニーも自分の地位を盤石にする為に、ルーナに擦り寄った節すらある……でもね?それ以外の星の騎士達を何故、婚約者がいる貴族男性から選ぶのか?と言う汚さ。
騎士として腕を振るうのなら、騎士から選ぶのが普通なのよ。騎士には婚約者がいない人も多いし、ある意味変えやすい人も多い……勿論、無理な人もいる。
それより何より、星の騎士達と恋人になる必要なんてないのに、ルーナは本当に酷かった。
彼女にとってこの世界はゲームなんだろうけど、私や私の友人は違う……。その差に尽きる。
「私の、太陽の王子はあなたしかいないわ、イアン様」
「ああ、私の聖女イヴォンヌ。絶対に君を守り続ける」
良かった、本当に良かった。この事実さえ有れば私の四人の取り巻き……いえ、お友達はきっと婚約者を取り戻せるわ。
彼女達の事を私は捨ておけなかった。だってゲームではシシリーなんかよりよっぽど酷い結末がまっているんだもの。殺されたり牢に入れられたり……私がこんな意地悪な黒豚なのに、ずっと友達でいてくれた4人に少しでも幸せになって貰いたかった……。良かった、本当に良かった……。
「イヴォンヌ、良かったわね。これからも聖女として研鑽を積まなくてはね?」
「ええ!ええ!シシリー様。私、頑張ります!イアン様とならもっともっと頑張れます!」
園遊会が始まる前の暗く沈んだイヴォンヌの顔がすっかり明るく可愛らしくなった。
ああ、本当にやって良かった!
ルーナが騒ぎ立てるけれど、何人も目撃しているし、サボっていたルーナより私達の方が人を癒す力も大きい。それに宝物もあるんだから、素人がみてもどちらが優れているかすぐに分かる。
ゲームの強制力的なものでルーナしか太陽の王子や星の騎士を選べない可能性があったけれど、大丈夫だった。
聖女に、王子と騎士がつくと言う事なんだろう。
やったわ……この結果に私は大満足だ。勿論取り巻き……いや、お友達四人が断罪されるなんてもってのほかと思っていたけど、聖女とそれに選ばれた王子と騎士は強い力で守られる。
つまりはどんなに自分勝手な理由で令嬢達を婚約破棄しても、聖女の為なら許されるし、太陽の王子、星の騎士に選ばれれば家も安泰で家からも何も言われない……そんな免罪符があったのだ。
私はそれがどうしても許せなかった。ゲームなら良かった、そんな裏事情なんて知らなかったし考えた事も無かった。
断罪される令嬢達もルーナにひどい嫌がらせをしていたのだから、仕方ないとも思った。
でも酷いのはルーナだった。聖女として召喚されたまでは良い。親切にしてくれた王太子を頼りにするのも、ある程度仕方がない事かもしれないし……王太子のアンソニーも自分の地位を盤石にする為に、ルーナに擦り寄った節すらある……でもね?それ以外の星の騎士達を何故、婚約者がいる貴族男性から選ぶのか?と言う汚さ。
騎士として腕を振るうのなら、騎士から選ぶのが普通なのよ。騎士には婚約者がいない人も多いし、ある意味変えやすい人も多い……勿論、無理な人もいる。
それより何より、星の騎士達と恋人になる必要なんてないのに、ルーナは本当に酷かった。
彼女にとってこの世界はゲームなんだろうけど、私や私の友人は違う……。その差に尽きる。
「私の、太陽の王子はあなたしかいないわ、イアン様」
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良かった、本当に良かった。この事実さえ有れば私の四人の取り巻き……いえ、お友達はきっと婚約者を取り戻せるわ。
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「ええ!ええ!シシリー様。私、頑張ります!イアン様とならもっともっと頑張れます!」
園遊会が始まる前の暗く沈んだイヴォンヌの顔がすっかり明るく可愛らしくなった。
ああ、本当にやって良かった!
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