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56 可愛らしいんですってよ?
しおりを挟む「おんぎゃあああああああああああああああああああああああああ!」
「う、うまれ、た? ほ、ほんとに」
宰相さんはお腹をズバッと切った。立ち会ったけど凄すぎて倒れそうになった……。
「少し小さいうちにいけば……切らずにいけるのでは?」
そう思ったけれど、なんと子供がストライキを起こしたのだ。早目に出るように伝えにいったら癇癪を起こされたのだ。
(やだああああああ! ここ最高に居心地良いしまだ居る!)
(えーーーーーっ!)
俺は説得に失敗し、子供はどんどん大きくなってしまった。健康で何よりなんだが宰相さんのお腹はぽんぽこりんになっておへそが伸びて平らになった。
移動の時もひーひー、ふーふーヘンドリクセン兄弟に付き添われている。
「尻が裂けるか腹が裂けるかの2択だ!」
「ひえええー?!」
「腹で」「腹で」
「よ、よろしくお願いしますぅうう」
ヘンドリクセン兄弟の強い要望もあり、執刀の名医がものすごい手つきで切って取り出しさらに縫ってくれた。この国一番の先生らしい……もちろん殿下が手配した。先生も前代未聞の男性妊夫の帝王切開という前代未聞の手術ということでかなり乗り気でやってくれた。この先生、ちとマッドの気配がするぞ。
滅茶苦茶大声で出てきた赤ちゃんはめちゃくちゃヘンドリクセン兄弟にそっくりで、間違いなく濃い血を引いていると全員納得してしまう。とっても可愛らしい赤ちゃんだった。将来モテそうだ!
「流石に私の子かオリーの子か分かりませんが、どちらでも構わないと思っています」
「育てて行けば性格で分かるかもしれませんね。もしわからなければもう2.3人産んで貰いましょう。その時に分かるかもしれません」
ヘンドリクセン兄弟は性格もそっくりで考えている事もそっくりだから、子供が大きくなってもリッツの子かオリーの子か分からない気がするけれど、あと2.3人ってところはきっと決定だと思う。頑張って欲しい。
「うむ、綺麗に縫えたぞ。流石ワシ、完璧だ。さあ、早く次を持ってこい」
なんて執刀してくれた先生がニコニコ笑顔で言うもんで、結局セイルも切ったし、マチェット君も切った。なんだかんだいってお尻からひり出すのはちょっとね、ってことになり、切って取り出すのを基本にした方が良いという見解に収まった。
「出ません! 」
「出ました! 」
「出ません……」
そしておっぱいはどうも個人差があるみたい。宰相さんとマチェット君は出ないけど、セイルは出た。もしかしたら魔力量が凄く多いと出るのかもしれない。セイルの平らな胸に吸い付いているセイルジュニアは可愛いけれど、ちょっと不思議だった。
「魔力を乳に変換している……? いやそんな馬鹿なハハハハ……あり得る」
まだまだ研究は続くようだ。でも体の発達は変わらないんだけれど、セイルの子供は明らかに魔力が多い、物凄く多い……なんかすごい人物になりそう。愛情をたっぷり注いで元気に育てて欲しい。
あの後もルーセンの方から何人も妊娠男性がやってきて、特別産科に在住してる。そして何故か彼らの夫が帝国人が多くて殿下の方をギロリと睨んでしまった。でも皆仲良くて並んでデートをしながらお腹を撫でていたりするのでまあ……良しとした。愛し合ってるなら良いんだ……。
「シャトはきっと気が付いていないと思うけど、ルーセン国の国民って総じて可愛いんだよ。華奢っていうか守ってあげたくなるっていうか……北帝国がルーセンを占領した時にたくさんルーセンからお嫁さんに来て貰ってきた話、する?」
「え……知らない」
「他の国から先を越された、うちの嫁にしようと思っていたのにって陰で言われ続けてるんだよね、実は」
「嘘だろ」
確かにルーセン国民は帝国民に比べたら平均的に背が低いかもしれないし、体の厚みも薄いかもしれない。いやでも、ちゃんと武人もいるし……えええ~~。たくさん嫁にしたってなんなのー?!
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