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33 大成功したんじゃない?
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「このクズ虫野郎が!お前のせいでストーリーの修正が必要になった!責任を取ってもらうからな!」
久しぶりにクソ神の声を聞いた。うっせぇ黙れ!シャトルリアの元の魂を殺してんじゃねーよ、ばーか!もっと文句を言いたかったのにそれ以上は何も聞こえなくなってしまった。
「あ……」
「お目覚めになりました!シャトルリア様がお目覚めになりました!」
俺は勝手知ったる何年も住んでいた元俺の部屋で目を覚ました。荷物とか全部処分して出て行ったのに、また荷物が運び込まれていたし、調度品も並んでいた。俺の部屋、復活してた??しかもご丁寧に俺が使ってた机とかそのまんま入れたね?どうやって戻したんだろ?
復活させたって帰るんだけどなー。
「良かった!一週間も目を覚まさなかったのですよ!」
「ホルランド様にお伝えして。シャトルリア様がお目覚めになられたと」
「良かった、良かったぁーーー!」
辞めたはずの顔見知りの侍女ちゃん達もいっぱいいたし、宰相さんも走ってきた。
「良かった!シャトルリア殿下。良ければホルランド王太子に顔を見せてやって下さい。あの方、ベッドから抜け出そうと暴れているんです」
「ええ~~?」
顔くらい洗わせて欲しいんだけど?
「シャト!!」
「寝てて、ホラン」
「やだ!」
ホルランド殿下はこんなだったっけ?俺が寝てる間に医療チームが気合いで作った解毒剤が効いたし、教会の医療部隊も頑張ったらしく、殿下はかなり回復していた。
若さもあるだろうしね。
「シャトが、死ぬなって言うから私、頑張ったよ。シャトにまた会いたい、シャトの顔を見たい、シャトの匂いを嗅ぎたい」
「はあ……」
殿下のベッドの隣に置かれた椅子に腰を下ろそうとするとぎゅっと抱きつかれた。
「わっ!なにを」
「温かい、温かいシャトだ」
ついこないだまで指を動かすのもやっとだったのに、ホルランド殿下の腕の力は相当で、もがいても離してくれなかった。
「シャト、シャト、私のシャト。ああ、シャトがいてくれるだけで元気になれる。お願い、私のそばに居て」
「いるじゃないですか。は、離してください」
ぎゅうぎゅうと力一杯抱きしめられて苦しいし、それに恥ずかしい!こんな過度なスキンシップをしてくる人じゃなかったのに!
「シャト、シャト」
病気をすると人は気弱になるって言うけれど、とんだ甘えたさんになってしまったもんだ。まあしゃあない、治るまでは我慢しといてやるとするか。
「いますよ、ホラン。ボクはここに」
赤ちゃんにするみたいに背中をポンポンしてやるとよっぽど嬉しかったのかすりすりと頬を擦り寄せてくる。犬か?
「シャト、シャト。大好き」
「……はい」
それに俺もだよと答えられない。何せ俺はもうこの人の婚約者じゃない。近いうちに国へ帰る身だ。治療は大成功したんだから、きっと謝礼金もたっぷり踏んだくれるはずだ。あー、なんか買ってもらう。そうだ!サウナとかあるかな?!俺の住んでる所にサウナつけてもらおうっと。
「シャトルリア殿下……ひっ?!」
「ん?」
俺の背後にいた宰相さんがなんか青くなってる。なにがあった??
久しぶりにクソ神の声を聞いた。うっせぇ黙れ!シャトルリアの元の魂を殺してんじゃねーよ、ばーか!もっと文句を言いたかったのにそれ以上は何も聞こえなくなってしまった。
「あ……」
「お目覚めになりました!シャトルリア様がお目覚めになりました!」
俺は勝手知ったる何年も住んでいた元俺の部屋で目を覚ました。荷物とか全部処分して出て行ったのに、また荷物が運び込まれていたし、調度品も並んでいた。俺の部屋、復活してた??しかもご丁寧に俺が使ってた机とかそのまんま入れたね?どうやって戻したんだろ?
復活させたって帰るんだけどなー。
「良かった!一週間も目を覚まさなかったのですよ!」
「ホルランド様にお伝えして。シャトルリア様がお目覚めになられたと」
「良かった、良かったぁーーー!」
辞めたはずの顔見知りの侍女ちゃん達もいっぱいいたし、宰相さんも走ってきた。
「良かった!シャトルリア殿下。良ければホルランド王太子に顔を見せてやって下さい。あの方、ベッドから抜け出そうと暴れているんです」
「ええ~~?」
顔くらい洗わせて欲しいんだけど?
「シャト!!」
「寝てて、ホラン」
「やだ!」
ホルランド殿下はこんなだったっけ?俺が寝てる間に医療チームが気合いで作った解毒剤が効いたし、教会の医療部隊も頑張ったらしく、殿下はかなり回復していた。
若さもあるだろうしね。
「シャトが、死ぬなって言うから私、頑張ったよ。シャトにまた会いたい、シャトの顔を見たい、シャトの匂いを嗅ぎたい」
「はあ……」
殿下のベッドの隣に置かれた椅子に腰を下ろそうとするとぎゅっと抱きつかれた。
「わっ!なにを」
「温かい、温かいシャトだ」
ついこないだまで指を動かすのもやっとだったのに、ホルランド殿下の腕の力は相当で、もがいても離してくれなかった。
「シャト、シャト、私のシャト。ああ、シャトがいてくれるだけで元気になれる。お願い、私のそばに居て」
「いるじゃないですか。は、離してください」
ぎゅうぎゅうと力一杯抱きしめられて苦しいし、それに恥ずかしい!こんな過度なスキンシップをしてくる人じゃなかったのに!
「シャト、シャト」
病気をすると人は気弱になるって言うけれど、とんだ甘えたさんになってしまったもんだ。まあしゃあない、治るまでは我慢しといてやるとするか。
「いますよ、ホラン。ボクはここに」
赤ちゃんにするみたいに背中をポンポンしてやるとよっぽど嬉しかったのかすりすりと頬を擦り寄せてくる。犬か?
「シャト、シャト。大好き」
「……はい」
それに俺もだよと答えられない。何せ俺はもうこの人の婚約者じゃない。近いうちに国へ帰る身だ。治療は大成功したんだから、きっと謝礼金もたっぷり踏んだくれるはずだ。あー、なんか買ってもらう。そうだ!サウナとかあるかな?!俺の住んでる所にサウナつけてもらおうっと。
「シャトルリア殿下……ひっ?!」
「ん?」
俺の背後にいた宰相さんがなんか青くなってる。なにがあった??
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