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20 帰りは一緒だネ
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「シャトルリア! お前との婚約は破棄させてもらう!!」
「破棄で、ございますか……」
「お前のような者と私が婚約者であったこと自体おかしいのだ! 新しい婚約者にはこのシェリリア男爵令嬢を迎え入れる!」
俺は秋生まれで17歳になった次の歳の新年祭で俺は盛大に婚約破棄された。なんかさ宰相まで呼ばれてたからそうかなって思ったんだよね。ある程度予想していたから無様な姿は見せずにいられたと思う。
「しかし、王太子ホルランド様。貴方様とわが国のシャトルリア第二王子との婚約は我が国との平和と友好のために結ばれたもの、それを破棄とは我が国との友好はいかがなさるおつもりか!」
そうだ、そうだ! それ大事だ!! いいぞ、宰相君平和と友好とても大事もぎ取れ! 俺なんかどうでもいいから。
「ふん、婚約などなくとも攻めなどせぬ!今まで通りだ」
ヨカタ。それが聞きたかったんだ、我が国弱いから。
「……書面にしたためていただきとうございます」
「そう言うと思ってもうできておる!」
宰相君が確かめると本当にちゃんとしてたみたいだ。国の判子である玉璽が押してあるって。これは皇帝公認ってことだね……あ、そうですか、はい、分かりました。俺はこの北帝国全体からイラネされちゃったみたい。
「……この書類は大切にさせて頂きます。そして王太子ホルランド様よりの婚約破棄となりますと、わが国のシャトルリア第二王子に非はない。頂きますよ、賠償金を……シャトルリア様の12年、軽くはございませぬ」
「構わぬ! もうその顔を見なくて済むなら安いものだ!」
……そこまで嫌われてたのか……。避けられ始めてからこれ以上嫌われないように顔を合わせないように頑張って生活して来たけど、そうもいかなかったみたいだ。しょうがない……ホルランド様がそういうなら、俺に出来ることはもうない。
俺はほんの少しだけ隣にいてくれる宰相さんに微笑みかけた。
「……宰相、帰りは一緒だね」
「シャトルリア様っ」
「良いんだ。きっと私が至らなかったからだろう」
こうなることは予想していたから部屋ももう片付けてあるし、侍女ちゃんやメイドちゃんは全部身の振り方を決めてある。俺が懇意にしていたちょっとだけ居る貴族達の家に勤めさせて貰ったり、この国を離れることを決めた子もいるし、俺と一緒に行くことを決めた子もいる。だから、大丈夫だ。自分の後始末は自分でつけられた。たくさん勉強を教えて貰った教授達、それにお世話になったヒッコリー夫人にも別れの挨拶は済ませてある。皆、悲しんだり怒ったり……ホルランド様に陳情しようとしてくれたりしたけど、それはやめてくれるようにお願いした。ホルランド様が決めたことだ、俺はその決定に従いたい。ホルランド様が注いでくれた優しさや笑顔に報いるにはもうそれくらいしか出来ることがなかったんだ。
それにしても……ホルランド様は壇上で女性を抱き寄せているけれど、シェリリア男爵令嬢? 男爵令嬢でいいのか……? 貴族達の間からざわめきが消えない。はっきりいえば12年この国で地道に活動してきた俺より信頼も実績もないぞ、あの子。そんな子を俺の後釜に据えるの、大丈夫?? 俺に勉強を教えてくれていた教授陣もあの子の事を嫌ってるみたいだし、これから短期間で俺が10年以上かけて覚えて来た事を詰め込むのかな? それとも凄く賢い子なんだろうか。
「ホルランドさまぁ~」
「ああ、大丈夫だよ、しゃと……シェリリア……うっ」
ホルランド様が頭を押さえて蹲った。あれ? 最近避けるようにしてたから気が付かなかったけど頭痛がするんだろうか?もしかして体調が悪いのかな……?
「そ、そいつを、そいつを追い出して!!そいつのせいよ!」
シェリリア男爵令嬢は俺を指さして大声で叫んだ。はしたないな……ホント大丈夫かな。でももういいよね、俺と宰相さんと、俺の国の人達は帰る事にした。ものすんごいお高い慰謝料を踏んだくってね。
「破棄で、ございますか……」
「お前のような者と私が婚約者であったこと自体おかしいのだ! 新しい婚約者にはこのシェリリア男爵令嬢を迎え入れる!」
俺は秋生まれで17歳になった次の歳の新年祭で俺は盛大に婚約破棄された。なんかさ宰相まで呼ばれてたからそうかなって思ったんだよね。ある程度予想していたから無様な姿は見せずにいられたと思う。
「しかし、王太子ホルランド様。貴方様とわが国のシャトルリア第二王子との婚約は我が国との平和と友好のために結ばれたもの、それを破棄とは我が国との友好はいかがなさるおつもりか!」
そうだ、そうだ! それ大事だ!! いいぞ、宰相君平和と友好とても大事もぎ取れ! 俺なんかどうでもいいから。
「ふん、婚約などなくとも攻めなどせぬ!今まで通りだ」
ヨカタ。それが聞きたかったんだ、我が国弱いから。
「……書面にしたためていただきとうございます」
「そう言うと思ってもうできておる!」
宰相君が確かめると本当にちゃんとしてたみたいだ。国の判子である玉璽が押してあるって。これは皇帝公認ってことだね……あ、そうですか、はい、分かりました。俺はこの北帝国全体からイラネされちゃったみたい。
「……この書類は大切にさせて頂きます。そして王太子ホルランド様よりの婚約破棄となりますと、わが国のシャトルリア第二王子に非はない。頂きますよ、賠償金を……シャトルリア様の12年、軽くはございませぬ」
「構わぬ! もうその顔を見なくて済むなら安いものだ!」
……そこまで嫌われてたのか……。避けられ始めてからこれ以上嫌われないように顔を合わせないように頑張って生活して来たけど、そうもいかなかったみたいだ。しょうがない……ホルランド様がそういうなら、俺に出来ることはもうない。
俺はほんの少しだけ隣にいてくれる宰相さんに微笑みかけた。
「……宰相、帰りは一緒だね」
「シャトルリア様っ」
「良いんだ。きっと私が至らなかったからだろう」
こうなることは予想していたから部屋ももう片付けてあるし、侍女ちゃんやメイドちゃんは全部身の振り方を決めてある。俺が懇意にしていたちょっとだけ居る貴族達の家に勤めさせて貰ったり、この国を離れることを決めた子もいるし、俺と一緒に行くことを決めた子もいる。だから、大丈夫だ。自分の後始末は自分でつけられた。たくさん勉強を教えて貰った教授達、それにお世話になったヒッコリー夫人にも別れの挨拶は済ませてある。皆、悲しんだり怒ったり……ホルランド様に陳情しようとしてくれたりしたけど、それはやめてくれるようにお願いした。ホルランド様が決めたことだ、俺はその決定に従いたい。ホルランド様が注いでくれた優しさや笑顔に報いるにはもうそれくらいしか出来ることがなかったんだ。
それにしても……ホルランド様は壇上で女性を抱き寄せているけれど、シェリリア男爵令嬢? 男爵令嬢でいいのか……? 貴族達の間からざわめきが消えない。はっきりいえば12年この国で地道に活動してきた俺より信頼も実績もないぞ、あの子。そんな子を俺の後釜に据えるの、大丈夫?? 俺に勉強を教えてくれていた教授陣もあの子の事を嫌ってるみたいだし、これから短期間で俺が10年以上かけて覚えて来た事を詰め込むのかな? それとも凄く賢い子なんだろうか。
「ホルランドさまぁ~」
「ああ、大丈夫だよ、しゃと……シェリリア……うっ」
ホルランド様が頭を押さえて蹲った。あれ? 最近避けるようにしてたから気が付かなかったけど頭痛がするんだろうか?もしかして体調が悪いのかな……?
「そ、そいつを、そいつを追い出して!!そいつのせいよ!」
シェリリア男爵令嬢は俺を指さして大声で叫んだ。はしたないな……ホント大丈夫かな。でももういいよね、俺と宰相さんと、俺の国の人達は帰る事にした。ものすんごいお高い慰謝料を踏んだくってね。
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