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12 王様の二人目の奥さんの子供
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むにゃ……。
「おはよう、クソ虫君潰していいかね?」
ごめんなさい……もうしません。
「まったくお前のせいで……」
ブツブツ文句を言われてしまった。何があったか寝てたからしらないけれど、ケツの方まで降りていったらボロボロだったからきっとウフンでアハンな事件が起こったんだろう。お尻の冥福を祈るとともに縫っといてあげる、チクチク。ていうか回復魔法を糸みたいにして傷をくっ付けるんだよ。俺、ちっちゃいからそれくらいしかできないんだよ。
「嬉しくありませんね……」
あら? お気に召さなかったみたいだなぁ、じゃあ今度は頭の方に行ってずっこんばっこんしてるときに気持ち良くなるスイッチを押してあげますよ。
「潰しますよ、クソ虫君」
二度目のすいません。俺は微妙にこの宰相さんと仲良くなった。宰相さんはやっぱり超いいひとじゃないから、割と居心地がいいし、俺と喋ってるときは口が悪い。いつもはいい人の仮面をかぶっていいひとっぽく振る舞ってる。笑うーアハハー!
「さて、クソ虫君に重大な任務を授けます」
嫌です働きたくない。
「つぶ」
やらせていだきます。そして俺はなんとこの国の王様の二人目の奥さんとご対面した。すんごくきれいなお嬢さん……いや、もう奥さんなんだからご婦人って言うべきかな??金色のさらさらストレートな髪に紫色の目。色は白くて華奢!
「あら……テリー宰相、一体どうなさったの?」
「ご機嫌伺いです、お腹のお子様の様子はいかがです?」
「……多分、大丈夫よ」
行けって指示されたね。仕方がなく俺はぴょいんと奥さんに飛びついてお邪魔した。お腹の方に降りていく……あ、ありゃ……。よくよく見て、そして宰相の方に戻った。
奥さんの前から礼をして去り、宰相さんが一人で閉じこもる部屋でお話を始める。
「どうでした?」
駄目だった……。俺は悲しい事実を伝えないといけない。あの綺麗な人は事実を知ったら泣くんだろうな。
「お腹の子供は……?」
きっと生まれない……奇形ってやつだと思う。子供に魂は宿ってて、魂が子供の中に入れなくて悲しそうに外でポツンと座ってた。お母さんの顔を見たかったって、ポロポロ涙を溢してた。俺……なんとかしてやりたい。
「どうにかできますか?」
出来るかどうか分からない……でも、やってみたいと思った。俺がとりついて、子供の足りない部分を頑張って作ったり直したりしてみる。魔力とか足りなくなりそうだから、しょっちゅう補給して欲しいな。お腹に手を当てて、流して欲しい。俺、頑張るよ……俺みたいなクソ虫を信じてくれるなら。
「信じます」
次の日から俺は重大任務を持って働き始めた。
(頑張って、クソ虫君)
(クソ虫はやめろー!がきんちょが!)
この奥さんのお腹の中でひたすらひたすら子供を子供の形にしていく。俺とお話し中なのはこの子供に入るはずだった魂。離れきれなくてここに残ってる子供だ。
(もうちょい待ってろよーお前を中に入れる場所つくってやっからよー)
(ありがとう、クソ虫君……じゃなくて、なんてよべばいいの?ボク名前知らないや)
(……ルイだ。佐藤塁。それが俺の前の名前、だからルイさんって呼べ)
(ルイ!)
(さんつけろ!ガキが!)
俺はちっちゃな子供を作っていく。魔力が足りなくなって俺の1センチくらいの体が消えそうになったりしたけれど、宰相さんが良く魔力を送って助かった。しかも宰相だけじゃなくて色んな人がお腹に手を当てて魔力やら神聖力やら……生命力まで送ってくれる人がいる。
あの綺麗な奥さん……この子供のお母さんは本当に本当に一生懸命、力を送り続けてくれている。その力と愛のお陰で子供の魂は守られているみたいだった。
(ガキんちょ、愛されてるな)
(お母さんが愛されてるんだよ)
(いんや違う。お母さんもおめーも愛されてるんだよ。おめーが無事に産まれてきますようにって皆祈ってる)
(……ルイも?)
(そりゃそうだ! そうじゃなきゃこんなことしねえし)
手も足もない糸クズみたいな俺があっちを引っ張り、こっちを引っ張りするのは本当に重労働だった。子供は中々完成しなかったけれど、ちょっとづつちょっとづつ創り上げて、なんとか形になった。
(は、入れる!)
(うん。そのまま入って馴染むんだ。そんでお母さんを助けながら大きくなるんだ。入れたら自分で自分の姿を作っていけ。俺は外側から見てるよ)
(わかった! ルイ、ボク、しっかり生まれる。そしてお母さんに会う! )
(ああ、そうしろ)
子供の魂が入った子供はすぐに成長を始めた。今までの遅れを取り返すように、体が大きくなり、手が出来て足が出来て……。
(ルイ! みてボク足が動く)
(キックだ! 絶対みんな喜ぶからな)
(えいっ!)
子供は元気に足を動かす。自力できちんと動けるようになったな!腹の外側から泣き笑いが聞こえてきた。よしよし、このまま大きくなれ!
「おはよう、クソ虫君潰していいかね?」
ごめんなさい……もうしません。
「まったくお前のせいで……」
ブツブツ文句を言われてしまった。何があったか寝てたからしらないけれど、ケツの方まで降りていったらボロボロだったからきっとウフンでアハンな事件が起こったんだろう。お尻の冥福を祈るとともに縫っといてあげる、チクチク。ていうか回復魔法を糸みたいにして傷をくっ付けるんだよ。俺、ちっちゃいからそれくらいしかできないんだよ。
「嬉しくありませんね……」
あら? お気に召さなかったみたいだなぁ、じゃあ今度は頭の方に行ってずっこんばっこんしてるときに気持ち良くなるスイッチを押してあげますよ。
「潰しますよ、クソ虫君」
二度目のすいません。俺は微妙にこの宰相さんと仲良くなった。宰相さんはやっぱり超いいひとじゃないから、割と居心地がいいし、俺と喋ってるときは口が悪い。いつもはいい人の仮面をかぶっていいひとっぽく振る舞ってる。笑うーアハハー!
「さて、クソ虫君に重大な任務を授けます」
嫌です働きたくない。
「つぶ」
やらせていだきます。そして俺はなんとこの国の王様の二人目の奥さんとご対面した。すんごくきれいなお嬢さん……いや、もう奥さんなんだからご婦人って言うべきかな??金色のさらさらストレートな髪に紫色の目。色は白くて華奢!
「あら……テリー宰相、一体どうなさったの?」
「ご機嫌伺いです、お腹のお子様の様子はいかがです?」
「……多分、大丈夫よ」
行けって指示されたね。仕方がなく俺はぴょいんと奥さんに飛びついてお邪魔した。お腹の方に降りていく……あ、ありゃ……。よくよく見て、そして宰相の方に戻った。
奥さんの前から礼をして去り、宰相さんが一人で閉じこもる部屋でお話を始める。
「どうでした?」
駄目だった……。俺は悲しい事実を伝えないといけない。あの綺麗な人は事実を知ったら泣くんだろうな。
「お腹の子供は……?」
きっと生まれない……奇形ってやつだと思う。子供に魂は宿ってて、魂が子供の中に入れなくて悲しそうに外でポツンと座ってた。お母さんの顔を見たかったって、ポロポロ涙を溢してた。俺……なんとかしてやりたい。
「どうにかできますか?」
出来るかどうか分からない……でも、やってみたいと思った。俺がとりついて、子供の足りない部分を頑張って作ったり直したりしてみる。魔力とか足りなくなりそうだから、しょっちゅう補給して欲しいな。お腹に手を当てて、流して欲しい。俺、頑張るよ……俺みたいなクソ虫を信じてくれるなら。
「信じます」
次の日から俺は重大任務を持って働き始めた。
(頑張って、クソ虫君)
(クソ虫はやめろー!がきんちょが!)
この奥さんのお腹の中でひたすらひたすら子供を子供の形にしていく。俺とお話し中なのはこの子供に入るはずだった魂。離れきれなくてここに残ってる子供だ。
(もうちょい待ってろよーお前を中に入れる場所つくってやっからよー)
(ありがとう、クソ虫君……じゃなくて、なんてよべばいいの?ボク名前知らないや)
(……ルイだ。佐藤塁。それが俺の前の名前、だからルイさんって呼べ)
(ルイ!)
(さんつけろ!ガキが!)
俺はちっちゃな子供を作っていく。魔力が足りなくなって俺の1センチくらいの体が消えそうになったりしたけれど、宰相さんが良く魔力を送って助かった。しかも宰相だけじゃなくて色んな人がお腹に手を当てて魔力やら神聖力やら……生命力まで送ってくれる人がいる。
あの綺麗な奥さん……この子供のお母さんは本当に本当に一生懸命、力を送り続けてくれている。その力と愛のお陰で子供の魂は守られているみたいだった。
(ガキんちょ、愛されてるな)
(お母さんが愛されてるんだよ)
(いんや違う。お母さんもおめーも愛されてるんだよ。おめーが無事に産まれてきますようにって皆祈ってる)
(……ルイも?)
(そりゃそうだ! そうじゃなきゃこんなことしねえし)
手も足もない糸クズみたいな俺があっちを引っ張り、こっちを引っ張りするのは本当に重労働だった。子供は中々完成しなかったけれど、ちょっとづつちょっとづつ創り上げて、なんとか形になった。
(は、入れる!)
(うん。そのまま入って馴染むんだ。そんでお母さんを助けながら大きくなるんだ。入れたら自分で自分の姿を作っていけ。俺は外側から見てるよ)
(わかった! ルイ、ボク、しっかり生まれる。そしてお母さんに会う! )
(ああ、そうしろ)
子供の魂が入った子供はすぐに成長を始めた。今までの遅れを取り返すように、体が大きくなり、手が出来て足が出来て……。
(ルイ! みてボク足が動く)
(キックだ! 絶対みんな喜ぶからな)
(えいっ!)
子供は元気に足を動かす。自力できちんと動けるようになったな!腹の外側から泣き笑いが聞こえてきた。よしよし、このまま大きくなれ!
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