30 / 113
30 誰だ?それは
しおりを挟む
「でねー聞いてよ~カリウス様ったら私と添い遂げられなきゃ、こんなもの要らないって切っちゃったんですって!そして昨日でしょ?ないんですもの!慌ててリーヤを呼んじゃったわよ~ウフフ!でね、切ったのだいぶ昔だから大きさが良く分からないって言うもんで、私の好きな大きさにしてもらっちゃった~」
「やめて母さん。いろんな人の心が削れて行くから……」
朝食を食べて、俺とフローラ傭兵団の全員はカリウス皇帝の前に集められた。集められた、というか集まって貰ったと言うべきだ。
「エル……エルフローラ。その話は後でゆっくり。まず聞きたいことがあるだろうから、答えられる限り答えよう。そして私も色々知りたい事がある」
カリウス皇帝の隣に母さんが座り、その隣に俺が座らされている。高い所から見下ろす感じではなくて、会議室のような場所で皆同じ高さだ。
落ち着いている時のカリウス皇帝の器は大きいと思う。
「何故、戦争を?」
「エルフローラを陥れたヤツは王女だった。王女を断罪すると、王家の矛先は当然私に向いた。それを跳ねのけて続けるといつの間にか皇帝と呼ばれていた……王家が他国の王家に助けを求め……婚姻による血のつながりがそうさせたらしい」
こんな大規模な戦いは結局起点がそこだったんだ。カリウス皇帝怖い。そして確信に迫る質問が飛んできた。
「あなたの腹心、デズモンド・ザサード公爵についてですが」
「誰だ?それは」
「「「「は!?」」」
フローラ傭兵団のほとんどは大きな声を張り上げた。
「あの男がどれほど残忍な事をしているかご存じないのか!」
「あの男と言われても、私の部下にそんな奴はいない」
「皇帝の腹心でしょう!?」
「違うが……」
そこでカリウス皇帝はやっと城の従者を呼び出した。
「お前はデズモンド・ザサードという男を知っているか?」
「ええ……陛下とずいぶん懇意にしておられるかと……」
「私はそのような男に一度もあったことがない。面会記録を出せ」
「は、はい!」
おかしい……。カリウス皇帝の態度を見て、フローラ傭兵団の眼鏡たちの眼鏡がギラリと光った。
「陛下、陛下は我々を信じていただけますか?」
「エルフローラの信を置く者たちであろう。お前たちを信じることはエルフローラを信じる事と変わらない」
眼鏡たちは数人立ち上がり、スッと礼をして部屋を後にした。残った眼鏡は会議を始める。
「腐敗……」「戦争にしか興味を持たない皇帝」「取り入った」「誰が?」「ご存じないとは」「いつからあの男が?」
「まさかとは思うが、あの「切断公爵」の噂も知らないとか?」
脳筋の代表格みたいなやつが声を上げるが、カリウス皇帝は怒る事もせず
「知らんな。手足でも切るのが好きな奴がいるのか?おぞましい」
「ああーーーー……あんたの名を笠に着てやりたい放題のデブがいるぞ」
フローラ傭兵団の人間たちはあるものは天を見上げ、あるものは項垂れ、あるものは怒り……やりきれない思いを抱えていた。
そして皇帝はと言うと、母さんに平手打ちをされている。
「カリウス様がしっかりなさらないから!とんでもない不幸がこの大陸を覆いました!わたくしはとても悲しく、情けないです!」
「ご、ごめん!エルフローラ!まさかそんなことが起こっているなんて知らなくて」
「知らないで済む事ではありません!しっかり責任を取らねばなりませんよ!」
「わ、分かったから、分かったから殴るのはやめてくれ」
「わたくしが殴っても何もなくなりませんわ!皆がどれだけ大変な目にあったか!ちんちんが切られたんですよ……って貴方も切ってましたわね?」
「だってエルと結婚出来ないならこんな物要らないと……」
「お馬鹿さんねぇ!」
うちの父と母がどうもすみません。俺は心の底からみんなに詫びた。治すから!しっかり先っぽまで!何なら一回り大きくしておくからなんとか怒りを収めて欲しい……無理かな……。
「やめて母さん。いろんな人の心が削れて行くから……」
朝食を食べて、俺とフローラ傭兵団の全員はカリウス皇帝の前に集められた。集められた、というか集まって貰ったと言うべきだ。
「エル……エルフローラ。その話は後でゆっくり。まず聞きたいことがあるだろうから、答えられる限り答えよう。そして私も色々知りたい事がある」
カリウス皇帝の隣に母さんが座り、その隣に俺が座らされている。高い所から見下ろす感じではなくて、会議室のような場所で皆同じ高さだ。
落ち着いている時のカリウス皇帝の器は大きいと思う。
「何故、戦争を?」
「エルフローラを陥れたヤツは王女だった。王女を断罪すると、王家の矛先は当然私に向いた。それを跳ねのけて続けるといつの間にか皇帝と呼ばれていた……王家が他国の王家に助けを求め……婚姻による血のつながりがそうさせたらしい」
こんな大規模な戦いは結局起点がそこだったんだ。カリウス皇帝怖い。そして確信に迫る質問が飛んできた。
「あなたの腹心、デズモンド・ザサード公爵についてですが」
「誰だ?それは」
「「「「は!?」」」
フローラ傭兵団のほとんどは大きな声を張り上げた。
「あの男がどれほど残忍な事をしているかご存じないのか!」
「あの男と言われても、私の部下にそんな奴はいない」
「皇帝の腹心でしょう!?」
「違うが……」
そこでカリウス皇帝はやっと城の従者を呼び出した。
「お前はデズモンド・ザサードという男を知っているか?」
「ええ……陛下とずいぶん懇意にしておられるかと……」
「私はそのような男に一度もあったことがない。面会記録を出せ」
「は、はい!」
おかしい……。カリウス皇帝の態度を見て、フローラ傭兵団の眼鏡たちの眼鏡がギラリと光った。
「陛下、陛下は我々を信じていただけますか?」
「エルフローラの信を置く者たちであろう。お前たちを信じることはエルフローラを信じる事と変わらない」
眼鏡たちは数人立ち上がり、スッと礼をして部屋を後にした。残った眼鏡は会議を始める。
「腐敗……」「戦争にしか興味を持たない皇帝」「取り入った」「誰が?」「ご存じないとは」「いつからあの男が?」
「まさかとは思うが、あの「切断公爵」の噂も知らないとか?」
脳筋の代表格みたいなやつが声を上げるが、カリウス皇帝は怒る事もせず
「知らんな。手足でも切るのが好きな奴がいるのか?おぞましい」
「ああーーーー……あんたの名を笠に着てやりたい放題のデブがいるぞ」
フローラ傭兵団の人間たちはあるものは天を見上げ、あるものは項垂れ、あるものは怒り……やりきれない思いを抱えていた。
そして皇帝はと言うと、母さんに平手打ちをされている。
「カリウス様がしっかりなさらないから!とんでもない不幸がこの大陸を覆いました!わたくしはとても悲しく、情けないです!」
「ご、ごめん!エルフローラ!まさかそんなことが起こっているなんて知らなくて」
「知らないで済む事ではありません!しっかり責任を取らねばなりませんよ!」
「わ、分かったから、分かったから殴るのはやめてくれ」
「わたくしが殴っても何もなくなりませんわ!皆がどれだけ大変な目にあったか!ちんちんが切られたんですよ……って貴方も切ってましたわね?」
「だってエルと結婚出来ないならこんな物要らないと……」
「お馬鹿さんねぇ!」
うちの父と母がどうもすみません。俺は心の底からみんなに詫びた。治すから!しっかり先っぽまで!何なら一回り大きくしておくからなんとか怒りを収めて欲しい……無理かな……。
67
お気に入りに追加
3,396
あなたにおすすめの小説
【完結】悪役令息の従者に転職しました
*
BL
暗殺者なのに無様な失敗で死にそうになった俺をたすけてくれたのは、BLゲームで、どのルートでも殺されて悲惨な最期を迎える悪役令息でした。
依頼人には死んだことにして、悪役令息の従者に転職しました。
皆でしあわせになるために、あるじと一緒にがんばるよ!
本編完結しました。
おまけのお話を更新したりします。
やめて抱っこしないで!過保護なメンズに囲まれる!?〜異世界転生した俺は死にそうな最弱プリンスだけど最強冒険者〜
ゆきぶた
BL
異世界転生したからハーレムだ!と、思ったら男のハーレムが出来上がるBLです。主人公総受ですがエロなしのギャグ寄りです。
短編用に登場人物紹介を追加します。
✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎
あらすじ
前世を思い出した第5王子のイルレイン(通称イル)はある日、謎の呪いで倒れてしまう。
20歳までに死ぬと言われたイルは禁呪に手を出し、呪いを解く素材を集めるため、セイと名乗り冒険者になる。
そして気がつけば、最強の冒険者の一人になっていた。
普段は病弱ながらも執事(スライム)に甘やかされ、冒険者として仲間達に甘やかされ、たまに兄達にも甘やかされる。
そして思ったハーレムとは違うハーレムを作りつつも、最強冒険者なのにいつも抱っこされてしまうイルは、自分の呪いを解くことが出来るのか??
✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎
お相手は人外(人型スライム)、冒険者(鍛冶屋)、錬金術師、兄王子達など。なにより皆、過保護です。
前半はギャグ多め、後半は恋愛思考が始まりラストはシリアスになります。
文章能力が低いので読みにくかったらすみません。
※一瞬でもhotランキング10位まで行けたのは皆様のおかげでございます。お気に入り1000嬉しいです。ありがとうございました!
本編は完結しましたが、暫く不定期ですがオマケを更新します!
エロゲ世界のモブに転生したオレの一生のお願い!
たまむし
BL
大学受験に失敗して引きこもりニートになっていた湯島秋央は、二階の自室から転落して死んだ……はずが、直前までプレイしていたR18ゲームの世界に転移してしまった!
せっかくの異世界なのに、アキオは主人公のイケメン騎士でもヒロインでもなく、ゲーム序盤で退場するモブになっていて、いきなり投獄されてしまう。
失意の中、アキオは自分の身体から大事なもの(ち●ちん)がなくなっていることに気付く。
「オレは大事なものを取り戻して、エロゲの世界で女の子とエッチなことをする!」
アキオは固い決意を胸に、獄中で知り合った男と協力して牢を抜け出し、冒険の旅に出る。
でも、なぜかお色気イベントは全部男相手に発生するし、モブのはずが世界の命運を変えるアイテムを手にしてしまう。
ちん●んと世界、男と女、どっちを選ぶ? どうする、アキオ!?
完結済み番外編、連載中続編があります。「ファタリタ物語」でタグ検索していただければ出てきますので、そちらもどうぞ!
※同一内容をムーンライトノベルズにも投稿しています※
pixivリクエストボックスでイメージイラストを依頼して描いていただきました。
https://www.pixiv.net/artworks/105819552
魔界最強に転生した社畜は、イケメン王子に奪い合われることになりました
タタミ
BL
ブラック企業に務める社畜・佐藤流嘉。
クリスマスも残業確定の非リア人生は、トラックの激突により突然終了する。
死後目覚めると、目の前で見目麗しい天使が微笑んでいた。
「ここは天国ではなく魔界です」
天使に会えたと喜んだのもつかの間、そこは天国などではなく魔法が当たり前にある世界・魔界だと知らされる。そして流嘉は、魔界に君臨する最強の支配者『至上様』に転生していたのだった。
「至上様、私に接吻を」
「あっ。ああ、接吻か……って、接吻!?なんだそれ、まさかキスですか!?」
何が起こっているのかわからないうちに、流嘉の前に現れたのは美しい4人の王子。この4王子にキスをして、結婚相手を選ばなければならないと言われて──!?
【完結】白い塔の、小さな世界。〜監禁から自由になったら、溺愛されるなんて聞いてません〜
N2O
BL
溺愛が止まらない騎士団長(虎獣人)×浄化ができる黒髪少年(人間)
ハーレム要素あります。
苦手な方はご注意ください。
※タイトルの ◎ は視点が変わります
※ヒト→獣人、人→人間、で表記してます
※ご都合主義です、あしからず
もふもふ獣人転生
*
BL
白い耳としっぽのもふもふ獣人に生まれ、強制労働で死にそうなところを助けてくれたのは、最愛の推しでした。
ちっちゃなもふもふ獣人と、騎士見習の少年の、両片思い? な、いちゃらぶもふもふなお話です。
巻き込まれ異世界転移者(俺)は、村人Aなので探さないで下さい。
はちのす
BL
異世界転移に巻き込まれた憐れな俺。
騎士団や勇者に見つからないよう、村人Aとしてスローライフを謳歌してやるんだからな!!
***********
異世界からの転移者を血眼になって探す人達と、ヒラリヒラリと躱す村人A(俺)の日常。
イケメン(複数)×平凡?
全年齢対象、すごく健全
BLが蔓延る異世界に転生したので大人しく僕もボーイズラブを楽しみます~愛されチートボーイは冒険者に溺愛される~
はるはう
BL
『童貞のまま死ぬかも』
気が付くと異世界へと転生してしまった大学生、奏人(かなと)。
目を開けるとそこは、男だらけのBL世界だった。
巨根の友人から夜這い未遂の年上医師まで、僕は今日もみんなと元気にS〇Xでこの世の窮地を救います!
果たして奏人は、この世界でなりたかったヒーローになれるのか?
※エロありの話には★マークがついています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる