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友の名は

9 はて?

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「えーと、確かそう!ランスロット!」

「えーと、存じ上げませんね」

「うーん」

 俺は次の日から、俺をここに呼んだ時思われるあいつを探し始めた。確かキャラクター名は、ランスロット。職はナイト。まあ、職と名前はマッチしている。

「しかし、何の手掛かりもないなぁ」

「ナディア。ランスロットってナイト知らない?」

 クランハウスの玄関で会ったナディアに聞いてみたが、彼女も知らなかった。

「何か分かったら教えて」

「あ!」 

 さて、どこに行けば探せるかなぁ?まあうろうろしてみるか。

 俺はお得意のクエストをこなしながら、ランスロットを探すことにした。何せ俺たちは十分強い事が分かったので無理にレベル上げる事もないと気がついたしな!


「あんたが情報を探してるってホント?」

 街の食堂で昼飯を食べていたら、胸を強調した服を着たシーフ系のお姉さんに声をかけられた。

「はあ」

 気のない返事をしてしまう。こういうタイプ苦手なんだ。アタシ肉体凄いんですの肉食系。ついでにいうとぶりっ子系も嫌だ。
 というか性別を前面に押し出されると引いてしまう。

「アタシの情報教えましょうかぁ?」

「いや、遠慮します」

 関わりにならない。1番だ。

「な、何ですってぇ?!」

 もめ事の予感しかしない。食いかけの昼飯は諦めて、席を立つ。お代はもう払ってあるので、出口へ向かう。厄介事が起きるにしても店の中はよろしくない。

 後ろ手に店の扉を閉め、ふっと飛び上がる。通行人がギョッとしたが、まあいいだろう。飛翔系フライの呪文は普通に存在している呪文だからな?

「あいつ!どこ行った!アタシの誘いを断ってタダで済むとおもってんのか!」

 乱暴に扉を開け閉めして、あの女性が出てくる。屋根の上からでも聞こえるくらい粗雑な声だ。

「誘い……雑すぎるだろ」

 あーやだやだ。俺は女性が向かった方角と逆の方に降りた。

「しかし、俺が人探ししてんの広まっちゃった?」

 面倒くさいなー!

「帰ろ」

 少しモンスターを狩って小金を稼いでから帰ろう。泊まってる宿にも金がかかるからね。
 手軽で近くで…何でもいいか。
 
 ふらっと外に出ると

「だ、誰か!誰かーーー!」

 えー……ゲームなら無視した。しかしこの世界、死んだら終わりなのだ。しょうがない。声のする方に走って行く。

「たす、助けて!」

「ひぃいー!」

「あーヒュージビーね」

 大して強いモンスターではない。ただこいつらはリンクする。そう一匹殴れば近くから仲間を呼び寄せ大群で襲いかかってくるのだ。
 まー初心者殺しだな。

「助けて良いんだな?」

 ゲームでは他のプレイヤーが交戦中のモンスターに横から攻撃を仕掛けるのはノーマナーもいい所だ。
 そんな事はしたくないが、一応確認。

「た、た、たすけて!」

「ほい」

 辺りに一瞬氷の嵐が吹き荒れ、ビーが全部地に落ちる。

「え?ま、魔法……?詠唱は……?」

「レベル落としてるし、流石に要らんでしょ?」 

 ヒュージビーを狩ったからふふふ落ちてる落ちてる!はちみつちゃんが!へへへ!ぺろぺろしてやろう!

「あの!ありがとうございました!」

「あー良いよ。俺もはちみつ食べたかったし」

 10個か!ついてる多いぞ!

「モンスターとはいえ蜂だからな?気を付けろよ?」

「普通逆では……」

 蜂とはいえ、モンスターだから危険なんですよね?

「まあ俺、ヒールとかできないし。やばいならポーションくらいはあるけど、要る?」

 初心者らしい2人はぶんぶんと首を振った。

「ポーションなんて買うお金無いですし!」

 あらまぁ、アカデミー飛ばしたクチか。

「そうかーアカデミーなら初心者ポーションいっぱい貰えたろう?あれでも無いよりマシだぞ。戻って貰ってきたら?」

「え、アカデミーって戻れるんですか?」

 なんで戻れないって思ったの……?

「あそこなら泊まるのタダだし……って俺もアカデミーに泊まろうかな!」

 いや、追い出されそうだなー!ぼろぼろの女の子2人と街まで戻った。放置可哀想だもんな?

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