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旧知からの連絡

3 着々と

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「こんなもんだろ」

「はやーい!」

「ホントですね」 

 俺たちはめでたく上位職に上がった。

「帝国に戻って少し上げちゃお」

 夜になる頃、やっと王都の宿屋へ着くことが出来た。

 次の日に宿の一階で朝食を取る。

「本当に上位職なんですね……」

「私達、この間までただの村人だったのよ?」

「ゆっくりやった方だよ」

 装備が揃ってりゃ今頃もっと上だ。
さて、行かなきゃな。

「サラ、ナディア。ギルドに行こう」

「あ、うん」

 2人ともついてくる。上位職の感動に浸っていたいようだが、ここは通過点だ。

 ギルドはゲームで記憶していた場所にあり、賑わっている。受付カウンターがあり、俺は迷わずそこに向かう。

「すいません。冒険者カードってアカデミーので引き続き使えますか?」

「こんにちは、書き換えが必要ですね。少しお待ちいただければ手続き致します」

「お願いします」

 三人分カードを出す。

「あら?アカデミー卒業生の方なんですね?どおりてレベルが高いと……あっ上位職!?あれ?アカデミー卒業の日にちが……あれ?あれ??」

「?」

 何かおかしいのか?

「いえ!おかしいところはないのですが、レベルが物凄く高くていらっしゃるので、驚いていました。新しい冒険者カードになります。依頼はこなされていないので、階級はFになりますが……」

「ああ、済まない。確か食人華の買取あるだろう?」

「あの北の強いモンスターのですよね?強くで誰も狩りに行かないので、高額ですが割にあいませんよ」

「買い取ってくれ」

 どさっと昨日の成果をカウンターに乗せると受付嬢は目を白黒させたが、仕事はしてくれた。
 俺たちの手にはかなりの金額が乗った。

「私達座っていただけなのに、いいのかしら?」

「気にするな」

 金をギルドに預けていると

「お、お前!アカデミーにずっといた奴!なんで上位職に!」

「俺たちがまだ駆け出しなのに!なんでアカデミーの居残りが!」

「おかしい!」

 変なのに絡まれた。知るか。

「……すまないと思うなら、あいつら何とかしてよ、サラ」

「ぷ!いいよ、ファル。ナディアも座ってて!」

「サラ、やりすぎないでね?」

 何せレベルが違うんだからね!
オッケーと親指を立てたがさて、どうなることか。
 近くの椅子に腰を下ろす。

「ファルさん、私達、あの時転職しなくて本当に良かったです。スキル足りなくなるところでした」

「良かったね」
 
 本当はもっと全部取りたいのに、その辺りはゲームと一緒なんだよなー。これがなきゃ全部の魔法使えるのに、不便。
 いや待てよ、もしかしたら?次で試してみよう。

「黙らせてきた!」

「流石!」

 パンパンと手の埃を払う動作。余裕だったのね! 

「ね、次はどうするの?」

 サラがワクワクといった表情で俺に聞いてくる。はいはい。

「砂漠の国で宝石を買って、仙国クエストするよ」

「えっ!狩りじゃないの?」

「うん」

 ここはやっとかないと。


 仙国。異界であり妖精の国。そこへ行くための試練……みたいなものだが、半分お使いだ。ただアカデミーと違って届ける場所は遠いし時間もかかるし、移動も長い。だるいイベントクエストの一つだったが……。

「仙国からの派生クエストをこなさないと」

 宝石をお偉いさんに掴ませたり、馬車や転移門を駆使してやっと3日後に仙国の地を踏んだ。
 
 そこからクエストラッシュである。一流冒険者として王家主宰パーティーに呼ばれたりと大忙し。
 ゲームなら一瞬終わるところも体験すると長い長い。

 がっかりうんざりしながら、1か月ほどかかる。

 あいつから連絡はない。

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