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13 そしたらこうなっちゃった☆

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「レベルが上がりました……」

「あ、はい……」

 そうだ、このお茶っぱ、裏の家庭菜園の生け垣の茶葉だった。

「はぁ~タトのお茶は美味い。甘みもあって、この摘み立ての上品な香りが鼻に抜ける感じ~~」

「いや、今それ良いから。で、どうしてこんな事に……」

 当事者女神様がいるので話は早かった。

「いやあ……能力を限定したら効果が上がっちゃってさ……タトの野菜が滅茶苦茶美味しくなってしまったんだあ」

「はぁ?」

 よくわからない。

「大体だよ?スローライフってなんなのさ!ただの田舎暮らしってわけでもないんでしょう?農民でもないし。農民ならそれこそ一生懸命野菜や作物を育てないとならないから、それってスローライフって言わないんでしょう?」

 え?そう言われてみればそうだね。

「だから、スローライフって言われたら……自分で作ったものを自分で食べてって……じゃあ家庭菜園でいいじゃん。ってなったわけ。で、勇者と同等の力があって……更にせっかくなら美味しい野菜がいいでしょう?」

「あ、うん。勿論。家庭菜園には失敗もつきものだけど、出来るなら成功したいね」

「そしたらこうなっちゃった☆」

「そこ、端折りすぎ」

 多少は分かった。でも分からない事もいっぱいあるぞ!

「で、俺達の能力値がぶっ壊れてるのはなんで?」

 レベルキャップいつから突破してたんだよう……おかしいだろ、俺。

「……たまーに、たまーにさ、七色に光る滅茶苦茶美味しい野菜がとれるでしょう」

「あーうん。アレ美味いよねえ~こないだはトマンだったねえ~なんかよく分からないけど美味いよねえ」

「アレのせいだね」

「……アレかあ……」

 そっか、アレかあ……虹色のふわっとした何かがまとわりついている収穫物。本当にたまにとれてとても美味しい。

「あれ、収穫してすぐ食べないとふわっとしたきれいなやつが消えちゃうんだよねえ」

「そうなのよ~」

「それぇ~~~!俺も食べたいいいいいい!凄く美味いってマジかあああ!?」

 美味しい所に食いついたよ。勇者なんだから強さでも求めなさいよ、コーディ。

「ま、そんなとこ。タトお腹空いたなんか食べたいからとってきてー」

「うわっ!態度でかっ、勝手に住み着いた癖に態度でかっ!」

「タト!俺達にもなんかー!」

 なんかって言ってもそのまま食える野菜なんてそんなにねえよ!それでもしょうがないから庭に出て、赤くなったトマンにマルハッカ大根を数個、キューカンパを5本にあと味噌の実を取ってきた。味噌の実は神ちゃんが食に対する情熱でこの世界の常識をまげて作り出した謎の実のうちの一つだ。
 ピーマの木みたいなのに、でっかいヤシの実みたいのが成る不思議な実で、割と簡単に二つに割れて、中には合わせみそがみっちり詰まっている。これで作る味噌汁は出汁も利いててうまい、狡い。

「はい、これつけてどうぞ?」

「キューリと味噌ーーー笑うーー異世界で笑う~~~~!いただきます!」

「キューカンパとミッソンの実だぞ!」

 ポリポリポリポリポリ。滅茶苦茶いい音で二人は生野菜をかじり

「きたきたきたーーーレベルアップだあああ!」

 まあ、とても元気だ。
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