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7 順調なるスローライフ

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 俺の家庭菜園で取れるキャロは何故かどう見ても人間が走っている姿に見えるんだが何故だろうか?
 そんな疑問を抱きつつ早9年、俺は15歳になり、姉ちゃんは結婚適齢期になる。

「はあ、どっかにいい男落ちてないかしら?」

「そうだなぁー村の野郎どもは皆ポティトォ顔だしなぁ」

「やだやだーお姉ちゃんお嫁にいかないでぇー」

 弟と妹が走って来て姉ちゃんの足にくっついた。俺が家庭菜園士として目覚めてから父さんと母さんがなんか張り切りだして、弟妹が増えてる。

「あらあら、大丈夫よ。何せいい男もいないしねぇ」

 弟妹達は歳が離れているけど、皆素直で良い子ばかりだ。農村あるあるで子供ばっかり増やす両親には困ったもんだ。俺の家庭菜園がなかったらチビどもを食わせていけねー所だったぞ!

「ま、後はコーディの仕送り様様だな」

「そう言えばコーディ、一度戻ってくるらしいわね」

「らしいな。手紙が来てた。もうすぐ着くんじゃねーかな?」

 15になったコーディはとうとう勇者として魔王討伐の旅に出る事になったんだと。今まで王都で修行を積み、立派になったらしいんで、故郷に錦を飾りたい!んじゃないんだ。

「タト!頼むから保存できる野菜!お願い!タト様!!タト様の野菜を我に恵み給えーーー!」

 でっかく手紙に書いてあったもんな。

「コーディ、立派になったかなぁ?」

「変わんねぇ気がする……」

 絶対変わってないと思う……。まあそれでも俺も一生懸命干しトマンとか干しリンピとか作ってやってる……。
 何せ魔王なんてこられたら俺のスローライフがめちゃくちゃになっちゃうからなー。コーディには頑張って魔王とかを倒して平和な世の中を作って欲しいもんである。
 俺がザルの中に乾燥野菜を並べていると、雑な垣根の向こうから村の奴らが顔を出した。

「タトー!熊が出た!応援頼む」

「おー」

 この辺もちょいちょい獣が村の畑を荒らしに出て来ている。山の獣が魔獣なんかに追われて里まで降りて来てしまうんだ。

「タト兄、気をつけてね」

「うん。上手く行けば今日はお肉が食べられるな!」

「うん!兄ちゃんの野菜も美味しいけど、肉も好きー」

「育ち盛りだもんな!姉ちゃんはチビどもと家に居てくれよ」

「わかってるわー」

 俺は手作りの弓を持つ。小さいけれどこれでも戦力にはなる。

「じゃ、行ってきます」

 俺はスローライフ派だから、武器の類は上手く扱えないが、害獣を狩るのもスローライフだもんな。

「タト、西の山だ」

「うん、急ごう」

 畑が荒らされるのを指を咥えて見ている農家はいないんだぞ!!


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