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2 すぐさまお母様に報告です

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 私は寮の自室で思い出す限り小説の内容を書き出す。

「断罪は卒業パーティー。でも王子とエラは2年生なんだよな。待てなかったのか?」

 まあ、その辺はどうでも良い。今、エラは一生懸命にランシア公爵令嬢を貶める為に下らない工作をしている。学用品を捨てたり、水を自分で被ったり、実に下らない。
 この記憶を取り戻すまで、エラの存在はできる限り無視してきたが、思えば一年下の私のクラスまでエラの酷さは伝わって来ていたのだ。

「あれが令嬢のする事か?」

 大声で笑う、廊下は走る。成績は悪い、なのに落第はしない……教師を籠絡したとまことしやかに囁かれているが、ほれは多分事実だ。小説ではそうだったから。
 事あるごとにランシア様にぶつかって行き

「酷いですぅ~!」

 気持ち悪い。媚びた喋り方がさらに気持ち悪い。そしてもうあちこちの令息と体の関係を持ち、修正出来る次元じゃなくなっている。

「……お母様にお会いしなくては」

 正直、エラとお父様がどうなろうと仕方がない。しかし私達が巻き込まれるのは回避したい。特に小説での私のその後が酷すぎる。
 それにはお母様のお力がいる。次の日、どうしても外せない用事があると、授業も休み、タウンハウスにいるお母様の元に馬車を走らせた。

「何かやらかすだろうと思っていましたが、まさかそこまで……王家、いえ、ヴェルクレー公爵家を敵に回してしまうとは……良く伝えてくれました、ノイシュ。これからどこまで被害を減らせるか分かりませんが、早急に手を打ちます」

「お願いします、お母様。私も出来る限りの事をさせて下さい……リーシュアにはセレイン様にきちんと嫁いて貰いたいし、お兄様にはリハルト家を継いでもらいたい……」

 妹にもお兄様にもきちんとした婚約者がいる。リハルト子爵家には勿体ないような伯爵家の令嬢と侯爵家の子息だ。
 私にはいない。でもそれで良い。私はお兄様のスペアだ、分かっている。お兄様が家を継ぐか、息子ができるかどちらかのタイミングで平民になるか、旅に出るか……どこかの未亡人にもらわれていくか。
 私達は仲の良い兄妹だ。それで構わないと思っている。

「ノイシュ……ありがとう。強く賢い貴方がいてくれて私も心強いわ」

 お母様がぎゅっと抱きしめてくれた。その目に涙が光っている……何か、泣きたくなるような事をしなければならなくなりそうだが、私がやらねば。

 家族の為に身を売る覚悟も出来た。四人で堕ちるより、一人堕ちる方がまだマシだと言うことだ。

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