【完結】わたくしは悪役令嬢？転生メイドがざまぁして幸せになります！

いいえ、メイドです

32 約束された勝利？

「兄上ぇえええお願いです！あにうええええええ！」

「あああああああアルカンジェルお姉様あああああ！お願いです！わ、私！私いい子になりますから！お願いいいいい！」

　ん？何でしょうか？一瞬ユーシス様とユーノ様の叫び声が聞こえたような気がしました。

「ユーシス様？ユーノ様？いかがなされましたか？」

「ナ、ナンデモアリマセン」

「ワタクシ、トテモタノシミデスワ」

　お二人とも心なしか片言で、しかも動きもぎこちないですわね……？緊張していらっしゃるのかしら。

「レミ、レラ。ユーシス様もユーノ様もナイトレイ殿下の大切な弟妹。お願いしますわよ」

「お任せくださいお嬢様」

「きちんと御世話させていただきますわ」

　これでお二人の旅は快適以外の何物でもありませんわね。

「ナイトレイ様もご安心くださいね」

　振り返るとレイ様が少し青ざめた顔をしていらっしゃいます。近頃、決裁の書類が多かったのでお疲れなのでしょうか。

「あ、ああ……大船……いや、戦艦？まあ何かに乗った気分だよ」

「？」

　よくわからないわ。私達はシーランの軍港にお見送りに来ているのです。

「お任せください！殿下！アルカンジェル様！このジョルジュ！一命を持ちましてもォ！」

　副提督のジョルジュ・ノイマンは以前に見た時と体つきが全然違って、わたくしは驚いてしまいました。ムッキムキ、というのでしょうか。我が家の使用人達もムッキムキになった時期がありますから、男性はそういう時期を通過なさるものなのでしょうね。
　海兵たちもムッキムキでどの方も頼りがいがありまそうです……でもレイ様にはああなって貰いたくないな、なんて思ってしまうのはわたくしの我がままでしょうか……。お優しいレイさまが……す、好きなので……。

「い、嫌だわ、わたくしったら」

「アルカ？」

　これから旅に出るみんなの前で浮ついたことを考えてしまうとは、わたくしはなんて恥知らずなんでしょう！レミとレラがにこにこ笑っているので、考えていたことがバレたんですわね！恥ずかしいわ……。

「この旅は……勝利の予感しかしない！レミレラさんの機嫌がマックス最高だぜ……」

　副提督のジョルジュが何か言って皆を鼓舞しています。最初はどうなることかと思いましたが、立派に海軍をまとめ上げ、海兵達も彼を慕っています。
　この作戦が終わったら、彼を提督へ任命し、父親の方は顧問という形を取る事が決まっています。
　そうでなくてもシーランに人材が少ないのです。遊ばせておく訳にも行きませんからね。

「では、お任せ下さいー！ささっと片付けてまいりますね～！」

「二人とも気を付けてくださいね」

「はい！お嬢様～！吉報をお待ちくださいませ！」

　元気に手を振り返してくれるレミとレラですが、二人揃って行くという事は、やはり手ごわいのでしょう。無事に帰ってきて欲しいと心から願うのでした。










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　え、魔王をメイドにしたいですか……？！