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いいえ、メイドです
5 双子は似るとは言いますが
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「ひ、酷い……!」
青ざめて倒れかけたのは王妃様。
「申し訳……申し訳ございません!!アルカンジェル様っ」
流石のわたくしもため息が出ます。メアリーさんが床に手をついて頭を床にこすりつけていますが、どうしてこんなことになっているのでしょう?
「メアリーさんもいたので、少し油断しました。申し訳ございません」
レラが少し青い顔で頭を下げますが、こんなことをしでかすとは誰も思いませんものね。わたくしが持ってきたドレスがボロボロに切り裂かれたり、インクをかけられたりしてどれも使い物にならなくなっていたのです。
「犯人はユーシス様ね?」
王妃様はとうとう気を失い、メアリーさんは泣きながら「申し訳ございません」を繰り返すだけ。本当に何をしたいのか……まさか、わたくしの着る服が無くなれば、仕事ができない……わたくしを困らせる為だけにこんなことをしたのでしょうか?
「本当に大切なドレスは別の部屋にしまっておいて正解でした」
「まさか、とは思いましたが……このドレスもそこそこお値段の張るものですのに」
実家に置いておいても仕方がないので、こちらの国の教会のバザーや侍女、メイドへ払い下げようと持ってきたものが大半です。レースやフリルなどを外して売るだけでかなりいいお値段になるものばかりなのですが、こうなってしまっては価値が下がってしまいますね。
人を呼び、王妃様をお部屋へ運んでいただき、まだ床に這いつくばるメアリーさんに声を掛けます。
「ここはわたくしが私用で使っている部屋なのですが、何故男性であるユーシス様をここに入られたのです?」
「すみませんすみません!」
「理由を聞いております」
「ユーシス坊っちゃまが、アルカンジェル様のお召し物に興味があるとおっしゃられて……まさか、まさかこのような事をなさるとは」
流石にそんな理由では納得できませんわ。
「興味があれば、王太子の婚約者の部屋へ男性を招いてもよい物なのですか?」
「め!滅相もございません!」
しかも部屋の鍵もメアリーさんが予備を持っていたなど、とんでもない事です。
「この国、この城に長く仕えてくれていた貴女には敬意を評し、きつくは言いませんでしたが、流石にこれは容赦の範囲を超えております」
「こ、この弁償は必ず私が働いてお返しします!」
はあ、わたくしはため息を吐くしかありません。揃っているレミとレラにお願いしましょう。目配せをすると、二人とも小さく頷いてくれます。
「メアリーさん、流石にこの量のドレス。あなたが死ぬまで働いて返せる額ではありません。しかしあなたは勘違いしています、そこは大したことではないんですよ」
「これから富んでいくシーランの事を考えればドレスなんていくらでも作れるのです。問題はあなたがお嬢様のお部屋の鍵を持ち、それを使って義理の弟をお嬢様のお部屋に招き入れた事が問題なのです。
ナイトレイ殿下に弟の首を刎ねさせるおつもりですか?」
「しかも、ドレスを痛めつけて居る間、あなたは何をしていたのですか?ユーシス様を女性の部屋に一人で放置したのですか?10歳は立派な男性ですよ、子供ではないのです」
「あなたがそれを失念しているのが一番の問題なのです」
「うう、その、その通りです……申し訳……申し訳ございませんでした……」
わたくしもあまり厳しい事を言いたい訳ではございません。しかし、これはマナー以前の問題です。メアリーさんの中でユーシス様はいつまでも子供だったのでしょうが、もう違うのですから。
わたくしとて、ナイトレイ様と結ばれる為にこちらに来たのですし……。
青ざめて倒れかけたのは王妃様。
「申し訳……申し訳ございません!!アルカンジェル様っ」
流石のわたくしもため息が出ます。メアリーさんが床に手をついて頭を床にこすりつけていますが、どうしてこんなことになっているのでしょう?
「メアリーさんもいたので、少し油断しました。申し訳ございません」
レラが少し青い顔で頭を下げますが、こんなことをしでかすとは誰も思いませんものね。わたくしが持ってきたドレスがボロボロに切り裂かれたり、インクをかけられたりしてどれも使い物にならなくなっていたのです。
「犯人はユーシス様ね?」
王妃様はとうとう気を失い、メアリーさんは泣きながら「申し訳ございません」を繰り返すだけ。本当に何をしたいのか……まさか、わたくしの着る服が無くなれば、仕事ができない……わたくしを困らせる為だけにこんなことをしたのでしょうか?
「本当に大切なドレスは別の部屋にしまっておいて正解でした」
「まさか、とは思いましたが……このドレスもそこそこお値段の張るものですのに」
実家に置いておいても仕方がないので、こちらの国の教会のバザーや侍女、メイドへ払い下げようと持ってきたものが大半です。レースやフリルなどを外して売るだけでかなりいいお値段になるものばかりなのですが、こうなってしまっては価値が下がってしまいますね。
人を呼び、王妃様をお部屋へ運んでいただき、まだ床に這いつくばるメアリーさんに声を掛けます。
「ここはわたくしが私用で使っている部屋なのですが、何故男性であるユーシス様をここに入られたのです?」
「すみませんすみません!」
「理由を聞いております」
「ユーシス坊っちゃまが、アルカンジェル様のお召し物に興味があるとおっしゃられて……まさか、まさかこのような事をなさるとは」
流石にそんな理由では納得できませんわ。
「興味があれば、王太子の婚約者の部屋へ男性を招いてもよい物なのですか?」
「め!滅相もございません!」
しかも部屋の鍵もメアリーさんが予備を持っていたなど、とんでもない事です。
「この国、この城に長く仕えてくれていた貴女には敬意を評し、きつくは言いませんでしたが、流石にこれは容赦の範囲を超えております」
「こ、この弁償は必ず私が働いてお返しします!」
はあ、わたくしはため息を吐くしかありません。揃っているレミとレラにお願いしましょう。目配せをすると、二人とも小さく頷いてくれます。
「メアリーさん、流石にこの量のドレス。あなたが死ぬまで働いて返せる額ではありません。しかしあなたは勘違いしています、そこは大したことではないんですよ」
「これから富んでいくシーランの事を考えればドレスなんていくらでも作れるのです。問題はあなたがお嬢様のお部屋の鍵を持ち、それを使って義理の弟をお嬢様のお部屋に招き入れた事が問題なのです。
ナイトレイ殿下に弟の首を刎ねさせるおつもりですか?」
「しかも、ドレスを痛めつけて居る間、あなたは何をしていたのですか?ユーシス様を女性の部屋に一人で放置したのですか?10歳は立派な男性ですよ、子供ではないのです」
「あなたがそれを失念しているのが一番の問題なのです」
「うう、その、その通りです……申し訳……申し訳ございませんでした……」
わたくしもあまり厳しい事を言いたい訳ではございません。しかし、これはマナー以前の問題です。メアリーさんの中でユーシス様はいつまでも子供だったのでしょうが、もう違うのですから。
わたくしとて、ナイトレイ様と結ばれる為にこちらに来たのですし……。
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