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29 ある意味言う通りになってしまいました
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目を覚ますとすぐ側にナイトレイ殿下とお兄様がいました。
「目が覚めたかい?アルカンジェル」
「お兄様、殿下……ご迷惑をおかけしました」
慌ててベッドから起きようとすると、近くにおられたナイトレイ殿下が手を貸して下さいます。
「アルカ、アルカンジェル嬢、聞いて欲しい。私は貴女がこの学園を卒業するまで待つつもりでした。でも、私はこの学園に貴女を置いてはおけない。急ですまないが、私と私の国へ来てくれないだろうか。絶対に貴女を大切にする。裏切ったりしない!」
「え……」
真剣な眼差しに、わたくしは戸惑ってしまいます。
「アルカンジェル。私もナイトレイ殿下に賛成だ……。君はこの学園にいても幸せにはなれない。殿下について行きなさい」
「お兄様……」
「今のリース様は何をしでかすか分かったものではない。近づかないに越した事はないが、学園ではどうして避けられない事が多い。ならいっそ、殿下と共にここを離れた方が良い」
その日の残りの授業は受けずに、迎えに来てくれたレミと一緒に家に帰る事になりました。
「私も学園に行くのは危険だと思います。学園では色々と行動も制限されますし」
「……そうね、お父様に相談してみましょう。所でレラは?」
ふと気になってレミに聞いてみました。
「レラは仕込みに」
お夕飯の手伝いかしら?忙しいのね。
「お嬢様、お嬢様がシーランに行かれる時は是非私達も連れて行って貰いたいのですが、良いでしょうか!」
「まあ、嬉しいわ。シーランはわたくしは行った事がない国。レミとレラが一緒に来てくれるならとても……心強いわ」
「やったぁ!私達もっと頑張りますね!」
あらあら、二人ともいつも頑張っているのにこれ以上頑張ったらどうなっちゃうのかしら?
リース様の事、シーランへ行く事……沢山の不安もありますが、レミとレラが一緒なら、何でも上手く行きそうな気がします。
「ありがとう、レミ。頼りにしていますわ」
結局、わたくしはそのまま学園を去る事となりました。ある意味、以前にマリリーさんが仰っていた通り、リース様に婚約破棄されて学園を辞める事となりました。
しかし、失意に打ちのめされた訳でも、我がヴェルデ家の失墜でもありません。
ナイトレイ殿下も国へ帰る準備、わたくしの受け入れなどの忙しい合間を縫って訪れてくださいますし、ミカエラ様ラファエラ様を初めとして、令嬢達が会いに来たり別れを惜しんだりしてくれました。
「正直、リース殿下にはがっかりですわ」
「あれでは王太子は務まりませんものね……」
「近頃のマリリーさん、見ました?」
「ええ、たまにしか学園に来ないようですが……制服のボタンが吹き飛んでおいでで……」
「まあ……」
よっぽど王宮のお料理がお気に召したのか、マリリーさんはかなり……いえ、大層重量感が増したのだとか。
「気がついたらお菓子を食べてるんです!誰かが勝手に口にして入れているんです!」
と、いう主張を繰り返しているそうで、メイドや侍女からも呆れられているとか。
「余程空腹だったのでしょうか……自分で食べた事も忘れるくらいに……?」
「山猿から猿の置物に代わっているそうですわ。自分で動くのも億劫そうだとか……」
まあ……なんと言っても良いのか……しかも再三の神殿からの呼び出しも無視しているせいで、聖女の資格まで失効中だとか。
神殿に出向き、神聖力を披露出来れば戻して貰えるらしいですが、マリリーさんは拒否していらっしゃるとか。
なぜなのか、わたくしには分かりかねますね。
「目が覚めたかい?アルカンジェル」
「お兄様、殿下……ご迷惑をおかけしました」
慌ててベッドから起きようとすると、近くにおられたナイトレイ殿下が手を貸して下さいます。
「アルカ、アルカンジェル嬢、聞いて欲しい。私は貴女がこの学園を卒業するまで待つつもりでした。でも、私はこの学園に貴女を置いてはおけない。急ですまないが、私と私の国へ来てくれないだろうか。絶対に貴女を大切にする。裏切ったりしない!」
「え……」
真剣な眼差しに、わたくしは戸惑ってしまいます。
「アルカンジェル。私もナイトレイ殿下に賛成だ……。君はこの学園にいても幸せにはなれない。殿下について行きなさい」
「お兄様……」
「今のリース様は何をしでかすか分かったものではない。近づかないに越した事はないが、学園ではどうして避けられない事が多い。ならいっそ、殿下と共にここを離れた方が良い」
その日の残りの授業は受けずに、迎えに来てくれたレミと一緒に家に帰る事になりました。
「私も学園に行くのは危険だと思います。学園では色々と行動も制限されますし」
「……そうね、お父様に相談してみましょう。所でレラは?」
ふと気になってレミに聞いてみました。
「レラは仕込みに」
お夕飯の手伝いかしら?忙しいのね。
「お嬢様、お嬢様がシーランに行かれる時は是非私達も連れて行って貰いたいのですが、良いでしょうか!」
「まあ、嬉しいわ。シーランはわたくしは行った事がない国。レミとレラが一緒に来てくれるならとても……心強いわ」
「やったぁ!私達もっと頑張りますね!」
あらあら、二人ともいつも頑張っているのにこれ以上頑張ったらどうなっちゃうのかしら?
リース様の事、シーランへ行く事……沢山の不安もありますが、レミとレラが一緒なら、何でも上手く行きそうな気がします。
「ありがとう、レミ。頼りにしていますわ」
結局、わたくしはそのまま学園を去る事となりました。ある意味、以前にマリリーさんが仰っていた通り、リース様に婚約破棄されて学園を辞める事となりました。
しかし、失意に打ちのめされた訳でも、我がヴェルデ家の失墜でもありません。
ナイトレイ殿下も国へ帰る準備、わたくしの受け入れなどの忙しい合間を縫って訪れてくださいますし、ミカエラ様ラファエラ様を初めとして、令嬢達が会いに来たり別れを惜しんだりしてくれました。
「正直、リース殿下にはがっかりですわ」
「あれでは王太子は務まりませんものね……」
「近頃のマリリーさん、見ました?」
「ええ、たまにしか学園に来ないようですが……制服のボタンが吹き飛んでおいでで……」
「まあ……」
よっぽど王宮のお料理がお気に召したのか、マリリーさんはかなり……いえ、大層重量感が増したのだとか。
「気がついたらお菓子を食べてるんです!誰かが勝手に口にして入れているんです!」
と、いう主張を繰り返しているそうで、メイドや侍女からも呆れられているとか。
「余程空腹だったのでしょうか……自分で食べた事も忘れるくらいに……?」
「山猿から猿の置物に代わっているそうですわ。自分で動くのも億劫そうだとか……」
まあ……なんと言っても良いのか……しかも再三の神殿からの呼び出しも無視しているせいで、聖女の資格まで失効中だとか。
神殿に出向き、神聖力を披露出来れば戻して貰えるらしいですが、マリリーさんは拒否していらっしゃるとか。
なぜなのか、わたくしには分かりかねますね。
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