5 / 78
5 銀天使
しおりを挟む
「アルカ!お前はまたマリリーに酷い事を言ったそうだな!」
「……おはようございます、リース殿下」
朝の挨拶もなしに何言ってるのかしらあのバカ王子は。何も言うわけないじゃない。お嬢様は私達が目を覚まさないのは自分のせいだと思い詰めて、食事も喉を通らず学園も休んでたわよ。馬鹿じゃないの?さて、私は録音録画石を用意します。
乙女ゲームの世界なので、そういう便利アイテムがあるんですよ。凄いでしょう?
「昨日はマリリーに何をした!?」
「リース様、お言葉ですが。わたくし、昨日は学園をお休みいたしました」
あれ?と馬鹿王子は隣にくっ付いている女の顔を見ます。こいつがマリリーみたいですね。ブスです……いえ、ユニークな顔立ちです。ゲームの主人公の聖女ならもっと可愛いのですが、こいつは……胸が大きいだけです、似ても似つきませんね。
「あ、あら?一昨日だったかしら??マリリー勘違いしちゃったわ!」
「一昨日のことだ!」
「リース様、わたくしは一昨日も学園はお休み致しました」
だからお嬢様は一週間休んだのに。そんなお嬢様がその女に会うはずがないのだけれども、リース王子はお嬢様が学園に登校していない事も気づいていなかったようです。
「えーと、その前の日だったかもぉ~」
「その前の日だ!」
馬鹿王子、マリリーの言葉を繰りかえすだけ。オウムより頭が悪そうね。
「ですから、その日もわたくしはお休みをしております」
「あ、あれぇ……?」
マリリーという聖女(?)は本当に頭が悪そうで、ある意味馬鹿王子とは似合いのカップルになれそうだわ。
「ぷ」
耐えきれなくなった淑女が一人歩み出てきました。綺麗な銀髪に、真っ青な瞳。わたくしたちのアルカンジェルお嬢様は金のエンジェルならこちらは銀のエンジェル。ミカエラ・サウラス公爵令嬢です。ああ、美女!美女って感じです!
「おはようございます、リース殿下。このような朝の往来で、自らの婚約者に大声を上げるのはいかがなものかと存じますわ。紳士の風上にも置けませんわね?」
ミカエラ様はとても胸のすくことを言ってくださいました。隠れて見守っている私もスッキリいたしますね。
「さ、行きましょう?アルカンジェル様」
「ありがとう存じますわ。ミカエラ様」
「ふふ、宜しければミカと呼んで頂けませんか?わたくし、アルカンジェル様みたいな妹が居ればなと常々思っていましたのよ?」
「まあ!とても嬉しいです!ではわたくしのことは、アルカと……あの、ミカ……お姉様……」
「まあ!嬉しいわ!アルカ様!」
「そ、そこは、呼び捨てにしてくださいませ。その方が……し、姉妹っぽいですから……わたくし、お姉様がいないので、あ、憧れて……あっ!すみませんっ」
「まあ!まあ!まあ!嬉しいわ!アルカ……!」
まあ!アルカンジェルお嬢様に素敵なお姉様が出来ました。ミカエラ・サウラス公爵令嬢は素晴らしい令嬢です。お嬢様に良い影響を与えてくださるでしょう。ぽかんと口を開けているリース王子、マリリーさんを置いて、楽し気に歩いてゆくお嬢様をほっと見送るのでした。
「……おはようございます、リース殿下」
朝の挨拶もなしに何言ってるのかしらあのバカ王子は。何も言うわけないじゃない。お嬢様は私達が目を覚まさないのは自分のせいだと思い詰めて、食事も喉を通らず学園も休んでたわよ。馬鹿じゃないの?さて、私は録音録画石を用意します。
乙女ゲームの世界なので、そういう便利アイテムがあるんですよ。凄いでしょう?
「昨日はマリリーに何をした!?」
「リース様、お言葉ですが。わたくし、昨日は学園をお休みいたしました」
あれ?と馬鹿王子は隣にくっ付いている女の顔を見ます。こいつがマリリーみたいですね。ブスです……いえ、ユニークな顔立ちです。ゲームの主人公の聖女ならもっと可愛いのですが、こいつは……胸が大きいだけです、似ても似つきませんね。
「あ、あら?一昨日だったかしら??マリリー勘違いしちゃったわ!」
「一昨日のことだ!」
「リース様、わたくしは一昨日も学園はお休み致しました」
だからお嬢様は一週間休んだのに。そんなお嬢様がその女に会うはずがないのだけれども、リース王子はお嬢様が学園に登校していない事も気づいていなかったようです。
「えーと、その前の日だったかもぉ~」
「その前の日だ!」
馬鹿王子、マリリーの言葉を繰りかえすだけ。オウムより頭が悪そうね。
「ですから、その日もわたくしはお休みをしております」
「あ、あれぇ……?」
マリリーという聖女(?)は本当に頭が悪そうで、ある意味馬鹿王子とは似合いのカップルになれそうだわ。
「ぷ」
耐えきれなくなった淑女が一人歩み出てきました。綺麗な銀髪に、真っ青な瞳。わたくしたちのアルカンジェルお嬢様は金のエンジェルならこちらは銀のエンジェル。ミカエラ・サウラス公爵令嬢です。ああ、美女!美女って感じです!
「おはようございます、リース殿下。このような朝の往来で、自らの婚約者に大声を上げるのはいかがなものかと存じますわ。紳士の風上にも置けませんわね?」
ミカエラ様はとても胸のすくことを言ってくださいました。隠れて見守っている私もスッキリいたしますね。
「さ、行きましょう?アルカンジェル様」
「ありがとう存じますわ。ミカエラ様」
「ふふ、宜しければミカと呼んで頂けませんか?わたくし、アルカンジェル様みたいな妹が居ればなと常々思っていましたのよ?」
「まあ!とても嬉しいです!ではわたくしのことは、アルカと……あの、ミカ……お姉様……」
「まあ!嬉しいわ!アルカ様!」
「そ、そこは、呼び捨てにしてくださいませ。その方が……し、姉妹っぽいですから……わたくし、お姉様がいないので、あ、憧れて……あっ!すみませんっ」
「まあ!まあ!まあ!嬉しいわ!アルカ……!」
まあ!アルカンジェルお嬢様に素敵なお姉様が出来ました。ミカエラ・サウラス公爵令嬢は素晴らしい令嬢です。お嬢様に良い影響を与えてくださるでしょう。ぽかんと口を開けているリース王子、マリリーさんを置いて、楽し気に歩いてゆくお嬢様をほっと見送るのでした。
34
お気に入りに追加
3,969
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢、猛省中!!
***あかしえ
恋愛
「君との婚約は破棄させてもらう!」
――この国の王妃となるべく、幼少の頃から悪事に悪事を重ねてきた公爵令嬢ミーシャは、狂おしいまでに愛していた己の婚約者である第二王子に、全ての罪を暴かれ断頭台へと送られてしまう。
処刑される寸前――己の前世とこの世界が少女漫画の世界であることを思い出すが、全ては遅すぎた。
今度生まれ変わるなら、ミーシャ以外のなにかがいい……と思っていたのに、気付いたら幼少期へと時間が巻き戻っていた!?
己の罪を悔い、今度こそ善行を積み、彼らとは関わらず静かにひっそりと生きていこうと決意を新たにしていた彼女の下に現れたのは……?!
襲い来るかもしれないシナリオの強制力、叶わない恋、
誰からも愛されるあの子に対する狂い出しそうな程の憎しみへの恐怖、
誰にもきっと分からない……でも、これの全ては自業自得。
今度こそ、私は私が傷つけてきた全ての人々を…………救うために頑張ります!
婚約破棄された侯爵令嬢は、元婚約者の側妃にされる前に悪役令嬢推しの美形従者に隣国へ連れ去られます
葵 遥菜
恋愛
アナベル・ハワード侯爵令嬢は婚約者のイーサン王太子殿下を心から慕い、彼の伴侶になるための勉強にできる限りの時間を費やしていた。二人の仲は順調で、結婚の日取りも決まっていた。
しかし、王立学園に入学したのち、イーサン王太子は真実の愛を見つけたようだった。
お相手はエリーナ・カートレット男爵令嬢。
二人は相思相愛のようなので、アナベルは将来王妃となったのち、彼女が側妃として召し上げられることになるだろうと覚悟した。
「悪役令嬢、アナベル・ハワード! あなたにイーサン様は渡さない――!」
アナベルはエリーナから「悪」だと断じられたことで、自分の存在が二人の邪魔であることを再認識し、エリーナが王妃になる道はないのかと探り始める――。
「エリーナ様を王妃に据えるにはどうしたらいいのかしらね、エリオット?」
「一つだけ方法がございます。それをお教えする代わりに、私と約束をしてください」
「どんな約束でも守るわ」
「もし……万が一、王太子殿下がアナベル様との『婚約を破棄する』とおっしゃったら、私と一緒に隣国ガルディニアへ逃げてください」
これは、悪役令嬢を溺愛する従者が合法的に推しを手に入れる物語である。
※タイトル通りのご都合主義なお話です。
※他サイトにも投稿しています。
転生した元悪役令嬢は地味な人生を望んでいる
花見 有
恋愛
前世、悪役令嬢だったカーラはその罪を償う為、処刑され人生を終えた。転生して中流貴族家の令嬢として生まれ変わったカーラは、今度は地味で穏やかな人生を過ごそうと思っているのに、そんなカーラの元に自国の王子、アーロンのお妃候補の話が来てしまった。
悪役令嬢より取り巻き令嬢の方が問題あると思います
蓮
恋愛
両親と死別し、孤児院暮らしの平民だったシャーリーはクリフォード男爵家の養女として引き取られた。丁度その頃市井では男爵家など貴族に引き取られた少女が王子や公爵令息など、高貴な身分の男性と恋に落ちて幸せになる小説が流行っていた。シャーリーは自分もそうなるのではないかとつい夢見てしまう。しかし、夜会でコンプトン侯爵令嬢ベアトリスと出会う。シャーリーはベアトリスにマナーや所作など色々と注意されてしまう。シャーリーは彼女を小説に出て来る悪役令嬢みたいだと思った。しかし、それが違うということにシャーリーはすぐに気付く。ベアトリスはシャーリーが嘲笑の的にならないようマナーや所作を教えてくれていたのだ。
(あれ? ベアトリス様って実はもしかして良い人?)
シャーリーはそう思い、ベアトリスと交流を深めることにしてみた。
しかしそんな中、シャーリーはあるベアトリスの取り巻きであるチェスター伯爵令嬢カレンからネチネチと嫌味を言われるようになる。カレンは平民だったシャーリーを気に入らないらしい。更に、他の令嬢への嫌がらせの罪をベアトリスに着せて彼女を社交界から追放しようともしていた。彼女はベアトリスも気に入らないらしい。それに気付いたシャーリーは怒り狂う。
「私に色々良くしてくださったベアトリス様に冤罪をかけようとするなんて許せない!」
シャーリーは仲良くなったテヴァルー子爵令息ヴィンセント、ベアトリスの婚約者であるモールバラ公爵令息アイザック、ベアトリスの弟であるキースと共に、ベアトリスを救う計画を立て始めた。
小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。
ジャンルは恋愛メインではありませんが、アルファポリスでは当てはまるジャンルが恋愛しかありませんでした。
断罪されて婚約破棄される予定のラスボス公爵令嬢ですけど、先手必勝で目にもの見せて差し上げましょう!
ありあんと
恋愛
ベアトリクスは突然自分が前世は日本人で、もうすぐ婚約破棄されて断罪される予定の悪役令嬢に生まれ変わっていることに気がついた。
気がついてしまったからには、自分の敵になる奴全部酷い目に合わせてやるしか無いでしょう。
大切なあのひとを失ったこと絶対許しません
にいるず
恋愛
公爵令嬢キャスリン・ダイモックは、王太子の思い人の命を脅かした罪状で、毒杯を飲んで死んだ。
はずだった。
目を開けると、いつものベッド。ここは天国?違う?
あれっ、私生きかえったの?しかも若返ってる?
でもどうしてこの世界にあの人はいないの?どうしてみんなあの人の事を覚えていないの?
私だけは、自分を犠牲にして助けてくれたあの人の事を忘れない。絶対に許すものか。こんな原因を作った人たちを。
転生者はチートな悪役令嬢になりました〜私を死なせた貴方を許しません〜
みおな
恋愛
私が転生したのは、乙女ゲームの世界でした。何ですか?このライトノベル的な展開は。
しかも、転生先の悪役令嬢は公爵家の婚約者に冤罪をかけられて、処刑されてるじゃないですか。
冗談は顔だけにして下さい。元々、好きでもなかった婚約者に、何で殺されなきゃならないんですか!
わかりました。私が転生したのは、この悪役令嬢を「救う」ためなんですね?
それなら、ついでに公爵家との婚約も回避しましょう。おまけで貴方にも仕返しさせていただきますね?
どうして私が我慢しなきゃいけないの?!~悪役令嬢のとりまきの母でした~
涼暮 月
恋愛
目を覚ますと別人になっていたわたし。なんだか冴えない異国の女の子ね。あれ、これってもしかして異世界転生?と思ったら、乙女ゲームの悪役令嬢のとりまきのうちの一人の母…かもしれないです。とりあえず婚約者が最悪なので、婚約回避のために頑張ります!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる