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1 わたくしは公爵令嬢です

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「何よ!あの女っ!わたくしの殿下に馴れ馴れしく!もう許しませんわ!」

「お嬢様、落ち着いてください!」

「お嬢様!」

「うるさい!お下がりっ!」

「あっ?!」「きゃっ?!」

 今日の学園での事を思い出し、自分の部屋で激昂したわたくしが手を振り払うと、メイドのレミとレラが二人まとめて倒れてしまいました。
 ゴツっと大きな音がして、二人は頭を打ちつけてしまったみたいで立ち上がってきません。流石の私も悲鳴をあげてしまいました。

「きゃーーーー!」

 家人が飛んできてレミとレラを連れて行ってくれました。わたくしはドキドキして倒れそうです。一日経っても二日経ってもレミとレラは中々姿を見せてくれません。

「も、もしかして、わたくし、レミとレラを、こ、殺して……?!」

「大丈夫ですよ、お嬢様。生きてはいます。しかし二人とも高熱が出て中々下がらないだけです」

 ポロポロとわたくしの目から涙が溢れてしまいました。

「わ、わたくし、わたくし!いつも一緒にいてくれたレミとレラをこ、殺してしまいましたのね……!こんなわがままで可愛らしくもないわたくしにいつも嫌がらず一緒にいてくれたレミとレラを!わ、わたくし!わたくし!修道院に行き、この身を神に捧げます!」

「だ!大丈夫ですから!お嬢様!」

 執事のセバスチャンはそう言ってくれますが、やはり罪は償わねばなりません。
 良いのです。わたくしの婚約者のリース王子も近頃は子爵令嬢のマリリーさんと仲がよろしいですし。
 わたくしにはない豊満なお身体を密着させていらっしゃいますもの。

「マリリーさん?少しお考えになってはいかがです?!」

「リースさまぁ!アルカンジェル様が怖いですわぁ~!」

「アルカ!お前はまたマリリーを目の敵に!」

「わたくしは目の敵になどしておりません。マリリーさんに婚約者のいる殿方にそのように接してはと……」

「はっ?!どうだか」

 行こう、マリリー。そう言ってリース様は睨んで行ってしまわれます。リース様、リース様はわたくしの婚約者なのでしょう?王家と我が家の結びつきのために幼い頃より結ばれた婚約でしたが、わたくしは王子妃教育も頑張りました。
 わたくし達は仲良くすごしてきましたわよね?

 それが一つ上のリース様とやっと一緒の学園に通えると思ったら、リース様の隣にはあのマリリーさんがいつも居るのです。
 わたくしは目の前が真っ暗になりました。



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