【完結】義家族に婚約者も、家も奪われたけれど幸せになります〜義妹達は華麗に笑う

表 4

「そういえば、ベアトリス様がハロルド様と婚約解消なされたらしいわね」

「ふふ、聞きましたわ。しかもハロルド様は妹のフローラ様と婚約を結びなおしたとか」

「確かにつり合いの取れないお二人でしたものね」

「ハロルド様とフローラ様なら美男美女で素敵ですわね」

　そんな噂話が耳に痛い。でも、私は勉強を頑張ると決めたの。もっと領地の事、家の事を学ばなければいけないわ。今まではハロルド様の妻になるのだから、そういうことは夫になる方にお任せすればよいと思っていたけれど。それじゃいけないという事にやっと気が付いたの。

「ベアトリス、大丈夫？」

「アリス……ありがとう、大丈夫よ！」

「ふふ、何かいい事あったのかしら？」

「それがね、カル兄様が……」

「あら、ヴィンター侯爵令息？お帰りになったのね？」

「ええ！そうなの」

　私にだって心ある友達は数人はいる。その中でも一番仲がいいのがアリス・ジェイム伯爵令嬢よ。彼女は私の事を見下したりしないし、いつも仲良くしてくれる。彼女のお陰で私の学園生活はかなり楽しい物になっている。

「しかも最近お肌の調子良さそうね。前までは悩んでたのに」

「そうなの。アンナがお手入れしてくれるかしらね？」

「嫌な婚約者を捨てたから？」

「やだわ、アリスったら。そんなじゃないわよ」

「ふふふ！」

　ニコニコと笑いあっている私達を、ハロルド様が不機嫌そうに見ていたことなど私は気が付かなかった。




「ふん、なんだベアトリスのヤツ！もっと暗く沈んで小さくなってりゃいいのに！」

「何言ってるの？ハロルド様ったら、いいじゃないですか姉様の事なんて。ハロルド様が気になさるほどの女じゃないのですから」

「そ、そう言われてみればそうか」

　ハロルド様はフローラと何か話しながら行ってしまったみたい。見せつけているのかしら……なんだかもやもやしたものが残るけれど、私は私のやるべきことをするまでだわ。

　カル兄様、私頑張りますね。