17 / 27
17 強いぞ、お父様
しおりを挟む
前の人生と違って私は幸せに生きて20歳になった。可愛い息子は2歳に、お父様は風邪も引かず元気いっぱい。
「ディルフィルが成人するまでわしが目を光らせてやるぞ!」
「まあ、頼もしいわ。お父様」
「おじいちゃま、しゅごい!」
「わっはっは! そうであろうそうであろう!」
我が家の資産はどんどん増えている……トッドリア侯爵が静かで色々邪魔をしてこないのが功を奏していて、前の人生では裏に表に色々邪魔をされていたんだと驚くほどだった。そんなトッドリア侯爵は我が家がどうしても断れない夜会に現れて、私達を貶めるのに余念がない。
「おっとこれはこれは、天下の公爵家にとんだ阿婆擦れが……」
聞こえるように言われても私もお父様も軽く無視。周りの貴族も笑っていたり軽く同調するだけ。そう、飽きたのよ。同じ話題で2年も引っ張れば皆飽きるわ。
そしてお父様のコレもね。
「我が孫は本当に可愛いし、賢い! それに可愛い娘を他の男にくれてやらなくて良いのに跡取りがいるなんて、なんと男親としては嬉しいことだろうか!」
「あは……ははは、流石ですな」
周りの貴族にも引かれる孫大好きっぷりでトッドリア侯爵の攻撃は何のダメージもない。分かりやすい汚点を突きまくってトッドリア侯爵も他の罠を仕掛けようともしないし、我が家にも大して害はない。
それよりもトッドリア侯爵は取り組むべき大きな難題があるしね。
「王太子殿下は体調が優れぬらしい。今日もアイビー嬢はお一人だ」
「これでは御子は……」
トッドリア侯爵の娘、アイビー・トッドリアは王太子妃になっていた。私がナルクと別れようと色々画策していたころ、並み居る王太子妃候補を打ち倒し、彼女が婚約者の座を射止めたのだ。そして短い婚約期間の後、すぐに結婚した。
しかしその頃から王太子殿下は体調を崩されるようになって寝込むことが増えた……なのでご懐妊の吉報は未だ聴こえない。トッドリア侯爵はその辺りに気を揉んでいて、我が家のことは二の次になっている。
その辺りはお父様の溜飲を下げる所でもある。
「うちにはこぉーーんなにかっわいいー!孫がいるしなぁ?!」
「そ、そんなどこの馬の骨の種か分からん孫など」
「かぁわいーなー! がははは!」
「くうっ」
お父様も大人気ないと思う。それにしても前の人生で王太子殿下の御子は産まれていたんだっけな、と思い出そうとしても思い出せなかった。その頃はもう傾きかけた家をなんとかするのに手いっぱいで周りを見る余裕なんて一欠片もなかった。来る日も来る日も借金に追われて……思い出しただけでもぞっとする日々だった。
良かった、本当に良かった。ナルクときっぱり別れられて。あの時はこれしかないととんでもない手段に出たけれど、結果的に良い方向へ進んだ……顔ももう朧げな一夜の相手をしてくれた騎士には感謝しかない。
「ディルフィルが成人するまでわしが目を光らせてやるぞ!」
「まあ、頼もしいわ。お父様」
「おじいちゃま、しゅごい!」
「わっはっは! そうであろうそうであろう!」
我が家の資産はどんどん増えている……トッドリア侯爵が静かで色々邪魔をしてこないのが功を奏していて、前の人生では裏に表に色々邪魔をされていたんだと驚くほどだった。そんなトッドリア侯爵は我が家がどうしても断れない夜会に現れて、私達を貶めるのに余念がない。
「おっとこれはこれは、天下の公爵家にとんだ阿婆擦れが……」
聞こえるように言われても私もお父様も軽く無視。周りの貴族も笑っていたり軽く同調するだけ。そう、飽きたのよ。同じ話題で2年も引っ張れば皆飽きるわ。
そしてお父様のコレもね。
「我が孫は本当に可愛いし、賢い! それに可愛い娘を他の男にくれてやらなくて良いのに跡取りがいるなんて、なんと男親としては嬉しいことだろうか!」
「あは……ははは、流石ですな」
周りの貴族にも引かれる孫大好きっぷりでトッドリア侯爵の攻撃は何のダメージもない。分かりやすい汚点を突きまくってトッドリア侯爵も他の罠を仕掛けようともしないし、我が家にも大して害はない。
それよりもトッドリア侯爵は取り組むべき大きな難題があるしね。
「王太子殿下は体調が優れぬらしい。今日もアイビー嬢はお一人だ」
「これでは御子は……」
トッドリア侯爵の娘、アイビー・トッドリアは王太子妃になっていた。私がナルクと別れようと色々画策していたころ、並み居る王太子妃候補を打ち倒し、彼女が婚約者の座を射止めたのだ。そして短い婚約期間の後、すぐに結婚した。
しかしその頃から王太子殿下は体調を崩されるようになって寝込むことが増えた……なのでご懐妊の吉報は未だ聴こえない。トッドリア侯爵はその辺りに気を揉んでいて、我が家のことは二の次になっている。
その辺りはお父様の溜飲を下げる所でもある。
「うちにはこぉーーんなにかっわいいー!孫がいるしなぁ?!」
「そ、そんなどこの馬の骨の種か分からん孫など」
「かぁわいーなー! がははは!」
「くうっ」
お父様も大人気ないと思う。それにしても前の人生で王太子殿下の御子は産まれていたんだっけな、と思い出そうとしても思い出せなかった。その頃はもう傾きかけた家をなんとかするのに手いっぱいで周りを見る余裕なんて一欠片もなかった。来る日も来る日も借金に追われて……思い出しただけでもぞっとする日々だった。
良かった、本当に良かった。ナルクときっぱり別れられて。あの時はこれしかないととんでもない手段に出たけれど、結果的に良い方向へ進んだ……顔ももう朧げな一夜の相手をしてくれた騎士には感謝しかない。
483
お気に入りに追加
4,294
あなたにおすすめの小説
【完結】父が再婚。義母には連れ子がいて一つ下の妹になるそうですが……ちょうだい癖のある義妹に寮生活は無理なのでは?
つくも茄子
ファンタジー
父が再婚をしました。お相手は男爵夫人。
平民の我が家でいいのですか?
疑問に思うものの、よくよく聞けば、相手も再婚で、娘が一人いるとのこと。
義妹はそれは美しい少女でした。義母に似たのでしょう。父も実娘をそっちのけで義妹にメロメロです。ですが、この新しい義妹には悪癖があるようで、人の物を欲しがるのです。「お義姉様、ちょうだい!」が口癖。あまりに煩いので快く渡しています。何故かって?もうすぐ、学園での寮生活に入るからです。少しの間だけ我慢すれば済むこと。
学園では煩い家族がいない分、のびのびと過ごせていたのですが、義妹が入学してきました。
必ずしも入学しなければならない、というわけではありません。
勉強嫌いの義妹。
この学園は成績順だということを知らないのでは?思った通り、最下位クラスにいってしまった義妹。
両親に駄々をこねているようです。
私のところにも手紙を送ってくるのですから、相当です。
しかも、寮やクラスで揉め事を起こしては顰蹙を買っています。入学早々に学園中の女子を敵にまわしたのです!やりたい放題の義妹に、とうとう、ある処置を施され・・・。
なろう、カクヨム、にも公開中。
行き場を失った恋の終わらせ方
当麻月菜
恋愛
「君との婚約を白紙に戻してほしい」
自分の全てだったアイザックから別れを切り出されたエステルは、どうしてもこの恋を終わらすことができなかった。
避け続ける彼を求めて、復縁を願って、あの日聞けなかった答えを得るために、エステルは王城の夜会に出席する。
しかしやっと再会できた、そこには見たくない現実が待っていて……
恋の終わりを見届ける貴族青年と、行き場を失った恋の中をさ迷う令嬢の終わりと始まりの物語。
※他のサイトにも重複投稿しています。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
【完結】婚姻無効になったので新しい人生始めます~前世の記憶を思い出して家を出たら、愛も仕事も手に入れて幸せになりました~
Na20
恋愛
セレーナは嫁いで三年が経ってもいまだに旦那様と使用人達に受け入れられないでいた。
そんな時頭をぶつけたことで前世の記憶を思い出し、家を出ていくことを決意する。
「…そうだ、この結婚はなかったことにしよう」
※ご都合主義、ふんわり設定です
※小説家になろう様にも掲載しています
王侯貴族、結婚相手の条件知ってますか?
時見 靜
恋愛
病弱な妹を虐げる悪女プリシア・セノン・リューゲルト、リューゲルト公爵家の至宝マリーアン・セノン・リューゲルト姉妹の評価は真っ二つに別れていたけど、王太子の婚約者に選ばれたのは姉だった。
どうして悪評に塗れた姉が選ばれたのか、、、
その理由は今夜の夜会にて
3歳児にも劣る淑女(笑)
章槻雅希
恋愛
公爵令嬢は、第一王子から理不尽な言いがかりをつけられていた。
男爵家の庶子と懇ろになった王子はその醜態を学園内に晒し続けている。
その状況を打破したのは、僅か3歳の王女殿下だった。
カテゴリーは悩みましたが、一応5歳児と3歳児のほのぼのカップルがいるので恋愛ということで(;^ω^)
ほんの思い付きの1場面的な小噺。
王女以外の固有名詞を無くしました。
元ネタをご存じの方にはご不快な思いをさせてしまい申し訳ありません。
創作SNSでの、ジャンル外での配慮に欠けておりました。
私のことが大嫌いらしい婚約者に婚約破棄を告げてみた結果。
夢風 月
恋愛
カルディア王国公爵家令嬢シャルロットには7歳の時から婚約者がいたが、何故かその相手である第二王子から酷く嫌われていた。
顔を合わせれば睨まれ、嫌味を言われ、周囲の貴族達からは哀れみの目を向けられる日々。
我慢の限界を迎えたシャルロットは、両親と国王を脅……説得して、自分たちの婚約を解消させた。
そしてパーティーにて、いつものように冷たい態度をとる婚約者にこう言い放つ。
「私と殿下の婚約は解消されました。今までありがとうございました!」
そうして笑顔でパーティー会場を後にしたシャルロットだったが……次の日から何故か婚約を解消したはずのキースが家に押しかけてくるようになった。
「なんで今更元婚約者の私に会いに来るんですか!?」
「……好きだからだ」
「……はい?」
いろんな意味でたくましい公爵令嬢と、不器用すぎる王子との恋物語──。
※タグをよくご確認ください※
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる