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半魔神の残念聖女
19 庶民は街にも行きたい
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「きき緊張したぁ!」
「全くだな!」
こくり
私達3人はこの街にある半魔神様の教会を目指していた。
「是非、屋敷でおくつろぎ下さい」
そう言う公爵様や、執事さんを丁寧に断って庶民は庶民らしく街で泊まることにした。
ミラージの街にも、半魔神様の教会はあってやはり誰も常駐していないとの事。ならばやはり私が行くしかないでしょう!いいえ!行かせて頂きます!
馬車で送ってもらい、鍵を近所のひとから受け取り……やっと落ち着いた。
「偉い人の屋敷って緊張しますね!」
「もう勘弁してくれって気分だったよ!ケビンは残って欲しそうにしてたがなぁ」
こくり
「でも、私、限界でしたーー!あー!憧れのお金持ちの大きいお家だったのに!この埃の被ったちっちゃな教会の方が落ち着くなんて、私ったら根っからの庶民なんですねぇ!」
「俺もだー!」
どさり、リードさんが肩から荷物を置くと、埃がばふっと舞い上がる。無口な狩人さんも顔を背けた。あはは!
「ちょっと待ってくださいね。それ!きれいになーれ!埃、飛んでっちゃえー!」
バン!バン!二ヶ所窓が開いて、ひゅーん!と風が駆け抜ける。何日溜まっていたか分からない埃がきれいさっぱりなくなった。
「今日は魔法でぱぱっとな気分!」
「は、はは!凄いな、やっぱり!」
いつもリードさんは私の事を凄いって言う。今日は無口な狩人さんもこくこくと頷く。
「いつも思うんですが、凄くないですよ。村じゃ皆んなの家を回りますから」
早くしないと全部回り終わらないからね。
「アリアさん!それだよ、いつも俺らがおかしいって思ってるやつ!何で半魔神の聖女のあんたが村の人の家の掃除をするの?そんなに多額の寄付して貰ってんの?ないよね?!アリアさんの服を見ただけで分かるよ?あんた直して直して着てるだろ?きれいに直してるけど、かなりくたびれてるよな?旅の資金も足りないって言ってるくらいだもんな?」
リードさんの早口にびっくりしつつ
「えっ!だってこれが常識なんじゃ……」
最後はもごもごとはっきり言えなかったが
「そんな常識ないぞ。聖女様が何で村人の家の掃除をするんだ?普通逆だぞ」
狩人さんまで言うので、私は大混乱した。あれ?私の常識、変ですか???
まずは3人分の部屋を掃除する。
「俺らは自分でするから!アリアさんに教えて貰ったクリーン、試したいしな」
こくり
「あ、はい……」
自分の寝る部屋の掃除は終わり、台所へ降りて来る。2人は
「クリーン!おお、すげぇ!」
「……良い……」
と、扉の外まで聞こえる声で掃除をしていたので問題なさそうだった。
手持ち無沙汰なのと、緊張が抜けたらお腹が空いたので、ご飯を作ろう。
公爵様のお屋敷でご馳走になれば美味しいお肉とか食べられたかも知れないが、緊張のあまり味が分からないかもしれないもんね。
「なら、教会の方が美味しく食べられるよねー」
アイテムボックスから、タレに浸した鳥肉を出して、フライパンに乗せる。面倒くさいのは無しでそのままじゅうじゅう。
またもや簡単なスープを作って……疲れたので、ハーブをパラパラ。
「美味しくなーれ。疲れが取れますように」
今日は豆を食べたい気分なので、煮て柔らかくしてあったお豆も入れる。ホント、時間が止まるって凄いよね!
何せ新鮮なリンゴも出てきちゃう!
半魔神様って神かな!神様だった!ありがとうございます!
「お2人ともーご飯出来ましたよー」
確認せずに作ってしまったが、3人分あるので声をかける。
すぐにリードさんが
「アリアさん!そう言うところだぞ!」
と、何故か責められた。えーー酷い!
「全くだな!」
こくり
私達3人はこの街にある半魔神様の教会を目指していた。
「是非、屋敷でおくつろぎ下さい」
そう言う公爵様や、執事さんを丁寧に断って庶民は庶民らしく街で泊まることにした。
ミラージの街にも、半魔神様の教会はあってやはり誰も常駐していないとの事。ならばやはり私が行くしかないでしょう!いいえ!行かせて頂きます!
馬車で送ってもらい、鍵を近所のひとから受け取り……やっと落ち着いた。
「偉い人の屋敷って緊張しますね!」
「もう勘弁してくれって気分だったよ!ケビンは残って欲しそうにしてたがなぁ」
こくり
「でも、私、限界でしたーー!あー!憧れのお金持ちの大きいお家だったのに!この埃の被ったちっちゃな教会の方が落ち着くなんて、私ったら根っからの庶民なんですねぇ!」
「俺もだー!」
どさり、リードさんが肩から荷物を置くと、埃がばふっと舞い上がる。無口な狩人さんも顔を背けた。あはは!
「ちょっと待ってくださいね。それ!きれいになーれ!埃、飛んでっちゃえー!」
バン!バン!二ヶ所窓が開いて、ひゅーん!と風が駆け抜ける。何日溜まっていたか分からない埃がきれいさっぱりなくなった。
「今日は魔法でぱぱっとな気分!」
「は、はは!凄いな、やっぱり!」
いつもリードさんは私の事を凄いって言う。今日は無口な狩人さんもこくこくと頷く。
「いつも思うんですが、凄くないですよ。村じゃ皆んなの家を回りますから」
早くしないと全部回り終わらないからね。
「アリアさん!それだよ、いつも俺らがおかしいって思ってるやつ!何で半魔神の聖女のあんたが村の人の家の掃除をするの?そんなに多額の寄付して貰ってんの?ないよね?!アリアさんの服を見ただけで分かるよ?あんた直して直して着てるだろ?きれいに直してるけど、かなりくたびれてるよな?旅の資金も足りないって言ってるくらいだもんな?」
リードさんの早口にびっくりしつつ
「えっ!だってこれが常識なんじゃ……」
最後はもごもごとはっきり言えなかったが
「そんな常識ないぞ。聖女様が何で村人の家の掃除をするんだ?普通逆だぞ」
狩人さんまで言うので、私は大混乱した。あれ?私の常識、変ですか???
まずは3人分の部屋を掃除する。
「俺らは自分でするから!アリアさんに教えて貰ったクリーン、試したいしな」
こくり
「あ、はい……」
自分の寝る部屋の掃除は終わり、台所へ降りて来る。2人は
「クリーン!おお、すげぇ!」
「……良い……」
と、扉の外まで聞こえる声で掃除をしていたので問題なさそうだった。
手持ち無沙汰なのと、緊張が抜けたらお腹が空いたので、ご飯を作ろう。
公爵様のお屋敷でご馳走になれば美味しいお肉とか食べられたかも知れないが、緊張のあまり味が分からないかもしれないもんね。
「なら、教会の方が美味しく食べられるよねー」
アイテムボックスから、タレに浸した鳥肉を出して、フライパンに乗せる。面倒くさいのは無しでそのままじゅうじゅう。
またもや簡単なスープを作って……疲れたので、ハーブをパラパラ。
「美味しくなーれ。疲れが取れますように」
今日は豆を食べたい気分なので、煮て柔らかくしてあったお豆も入れる。ホント、時間が止まるって凄いよね!
何せ新鮮なリンゴも出てきちゃう!
半魔神様って神かな!神様だった!ありがとうございます!
「お2人ともーご飯出来ましたよー」
確認せずに作ってしまったが、3人分あるので声をかける。
すぐにリードさんが
「アリアさん!そう言うところだぞ!」
と、何故か責められた。えーー酷い!
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