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召喚勇者
15 人参より簡単
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「1人で行くだって?!駄目に決まってるだろ!ジュンヤ!」
フリックが帰った後、すぐにジュンヤはハーヴィに「歪みの壺」の中に行く事を相談した。中心にタカシがいる可能性があることも。
「駄目そうならすぐに逃げてくるから!僕は行くよ、タカシが居るなら早く助けて上げなくち。」
「ジュンヤ……」
ハーヴィも騎士団員も全員知っている。あの「歪みの壺」の中心に行ける者は銀の勇者であるジュンヤ1人だけだと言う事を。
他は皆、足手まといになる事を。今、討伐を行なっていても、敵を斬り伏せるのはほとんどがジュンヤだ。他は周りを警戒したり、荷物を運んだりと雑用に近い事が多い。
みんなが居てくれるから、心強いよ。金の勇者もいなくて、僕は寂しいんだ。
そう辛そうに呟くジュンヤに騎士団は心酔している。あとはーーー
「大丈夫…だって、たっぷり力があるもんね…?使ってもまた、くれるでしょ?」
自分の腹の上に手を置いて、上目遣いで見上げるジュンヤに、誰とは言わずゴクリと喉がなる。ジュンヤの紫の瞳が見ているのは、誰なのか。誰を求めるのか。
「分かった……くれぐれも無理はしないでくれ。君に何かあったら……皆、悲しむ」
「ありがとう!ハーヴィ!」
無邪気を装って、首にギュッと抱きつく。
「帰ったら、1番に、ね?」
「光栄ですよ、お姫様」
他に聞こえない小声で約束を交わす。さあ、さっさと行って来なくちゃ。本当はタカシなど、どうでも良いのだ。レベルアップのついでに、みんなが大好きな勇者様を気取ってみただけなんだから。
騎士団に見送られ、ジュンヤは歪みの壺のへ入っていった。
手の甲を上に、少し集中すると白銀に輝く長剣が現れる。勇者の証である聖剣だ。ジュンヤの銀月の剣も、最初の頃はただの銀の短剣だった。ジュンヤ自身が剣を振るい、レベルが上がるたびに輝きと威力が上がった。
短剣が長剣に成長し、神気を帯び美しい装飾が現れた。400レベル近いジュンヤの剣は白い蛍火をまとう。見ているだけで心が浄化されるようだ。
左右前後から襲いかかる歪み達を、人参を切るより簡単になぎ払って行く。
「サクサク倒せる上にー経験値美味いとか、マジ神フィールドだよねぇ」
ジュンヤは鼻歌混じりだ。しかも、彼の他にまともなものは誰もいない。どんなに素が出ても安心だった。
「あー♡こんなトコ誰にもみせらんなーい!100年の恋も覚めちゃうー」
適当に振り回しているだけでも、歪みは細切れになり、レベルが上がる。
「マジぬるゲー。でも女神さまーありがと~♪毎日イケメンから搾り取れるって最高だよぉー!」
ジュンヤはハーヴィ達騎士団と行動していた時とは格段に早いスピードで進んで行く。そう手を抜いていたのだ、可愛がられたいから!
「ああ……やっぱり」
ほどなくジュンヤは歪みの中心にたどり着いた。やはり、そこにタカシはいた。
フリックが帰った後、すぐにジュンヤはハーヴィに「歪みの壺」の中に行く事を相談した。中心にタカシがいる可能性があることも。
「駄目そうならすぐに逃げてくるから!僕は行くよ、タカシが居るなら早く助けて上げなくち。」
「ジュンヤ……」
ハーヴィも騎士団員も全員知っている。あの「歪みの壺」の中心に行ける者は銀の勇者であるジュンヤ1人だけだと言う事を。
他は皆、足手まといになる事を。今、討伐を行なっていても、敵を斬り伏せるのはほとんどがジュンヤだ。他は周りを警戒したり、荷物を運んだりと雑用に近い事が多い。
みんなが居てくれるから、心強いよ。金の勇者もいなくて、僕は寂しいんだ。
そう辛そうに呟くジュンヤに騎士団は心酔している。あとはーーー
「大丈夫…だって、たっぷり力があるもんね…?使ってもまた、くれるでしょ?」
自分の腹の上に手を置いて、上目遣いで見上げるジュンヤに、誰とは言わずゴクリと喉がなる。ジュンヤの紫の瞳が見ているのは、誰なのか。誰を求めるのか。
「分かった……くれぐれも無理はしないでくれ。君に何かあったら……皆、悲しむ」
「ありがとう!ハーヴィ!」
無邪気を装って、首にギュッと抱きつく。
「帰ったら、1番に、ね?」
「光栄ですよ、お姫様」
他に聞こえない小声で約束を交わす。さあ、さっさと行って来なくちゃ。本当はタカシなど、どうでも良いのだ。レベルアップのついでに、みんなが大好きな勇者様を気取ってみただけなんだから。
騎士団に見送られ、ジュンヤは歪みの壺のへ入っていった。
手の甲を上に、少し集中すると白銀に輝く長剣が現れる。勇者の証である聖剣だ。ジュンヤの銀月の剣も、最初の頃はただの銀の短剣だった。ジュンヤ自身が剣を振るい、レベルが上がるたびに輝きと威力が上がった。
短剣が長剣に成長し、神気を帯び美しい装飾が現れた。400レベル近いジュンヤの剣は白い蛍火をまとう。見ているだけで心が浄化されるようだ。
左右前後から襲いかかる歪み達を、人参を切るより簡単になぎ払って行く。
「サクサク倒せる上にー経験値美味いとか、マジ神フィールドだよねぇ」
ジュンヤは鼻歌混じりだ。しかも、彼の他にまともなものは誰もいない。どんなに素が出ても安心だった。
「あー♡こんなトコ誰にもみせらんなーい!100年の恋も覚めちゃうー」
適当に振り回しているだけでも、歪みは細切れになり、レベルが上がる。
「マジぬるゲー。でも女神さまーありがと~♪毎日イケメンから搾り取れるって最高だよぉー!」
ジュンヤはハーヴィ達騎士団と行動していた時とは格段に早いスピードで進んで行く。そう手を抜いていたのだ、可愛がられたいから!
「ああ……やっぱり」
ほどなくジュンヤは歪みの中心にたどり着いた。やはり、そこにタカシはいた。
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