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12 気配がビシバシ! ビンビン!
しおりを挟む「あ、あのう……物凄く申し訳ないんですが」
「どうかしました? レンさん」
森で休憩中にどうしても耐えられなくなって俺は手を上げて申請した。
「急いでる旅だってことも重々承知なんですが、あの……この辺りに良い鉱石が取れそうな予感がビシバシしまして……」
「すみません、俺もこの辺で良い薬草が取れそうな予感がビンビンで……」
「食料調達も兼ねて、少し採取したいんですが、時間を取ってもいいですかぁ……」
凄く申し訳なかったけれど、お願いしてみた。
何せ俺達が住んでた村から物凄く離れた場所まで来たんだ。取れる鉱石も違えば取れる薬草も違う。それに気がついちゃって俺達兄弟は2.3日前からずっとソワソワしてたんだよ……気になっちゃって気になっちゃって!
「ああ、そういうことだったんですか。構いませんよ、1日くらいこの辺りで時間を取りましょう」
「わあっ! ありがとうございます、殿下! やったぜ、リン!」
「ありがとうございます、殿下! じゃあ早速始めよう、兄ちゃん」
「うん! 時間は有効活用だ。リン、中和剤を撒いて魔物避けの効果を切ってくれ」
「オッケー!」
「ど、どうして魔物避けの効果を切るんですか?!」
「へ?」
それに答える前に、リンは中和剤の瓶の蓋を開けた。少しだけ甘い匂いが辺りに広がって、魔物避けの効果が消えて行く。
がさ……がさり
すぐに森の中から何かが這いずる音が聞こえ出す。うんうん、気配はあったんだよなぁ! 俺達はそれをビシバシ、ビンビン感じてたんだ。魔物避けのポーションが嫌で一定の間隔を空けて付いてきてた奴もいっぱいいたしね。
俺とリンが見つめる木々の中から木が一本、のそりのそりとこちらへ向かって歩いて来る。こいつら待ち伏せ型の魔物なのに歩いてるし、活がいいぞ、これは!
「おい……見ろ、トレントだ! 木の魔物……しかも、で、でかいっ普通の3倍はあるぞ……」
騎士さん達の顔色が悪くなる。
「しかも何か様子が違う……色が濃い……変異種か?!」
俺は知ってるぞ、こいつゲームにいたもん。魔王城の近くになると出てくるダークエルダートレントだ。普通のトレントより何倍も強い……というか。
「兄ちゃん、あれ!」
「おう! 確かドロップは虹の薬草だよな!」
「それそれ!」
ゲーム通りならね!
俺達の前に殿下と騎士さんが壁を作った。
「まずいです、あんな凶暴な魔物、私達で倒せるかどうか」
「レンさんとリンさんはこの場を動かないで! 何とか隙をみて逃げて下さいっ」
すらり、と剣を抜く……しかも騎士さん達震えてる……あ、あいつは凄く強い……っけ?
「待ってください、あいつは木です。木なら武器は斧に決まってますよ!」
俺は愛用のかまどの薪割り用の斧をでん、と構えた。
「レンさん、危ないので下がって!」
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