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そして入学へ

84 残り少ない生推し活を楽しもう

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 そして一年なんてあっという間にイベント、イベント、イベントで過ぎ去っていったわ。

「忙しかった……」

 ふと気が付くともう卒業シーズン。クラスメイトの中にはもう結婚して輿入れを済ませ、学園を早期卒業した令嬢も多くなってきてるの。中退じゃなくて、早期卒業になる所が、この世界らしい所ね、何せ結婚が早いんですもんね。

「私は卒業したらクラブ家で過ごす事になっている。よろしくな、マリエル」

「ええ、お兄様をよろしくね、アリア」

 ヴィンセントお兄様の婚約者はやっぱりアリアネットに決まり、卒業後はクラブ家に入ってくれることになっている。

「良いな~でもリズだって遊びに来ちゃうもんね~」

「いつでも来てちょうだい」

 ローズリットは隣の国の大公様と婚約中で卒業と共に隣国へ渡る。ハートエースの叔父様が

「と、隣の国ならぁ~~~」

 と、涙を飲んで了承したらしい。

「まあ、私とは中々会えなくなるけれど、上手くやってやるわ」

 なんと一番遠くへ嫁ぐことが決まったのがケイトリンでダイワ国の王太子妃になる事になったの。振袖を着たケイトリンに王太子様が一目惚れして、わざわざ結婚の申し込みにやってきたのよね。

「がっつり儲けさせてもらうわ!交易しましょう!」

「するわ!」

 ケイトリンと固い握手を交わしたわよね。

「マリーはルドルフ様といつ結婚式を挙げるの?」

「え……と……」

 多分、それはないわよ。きっと私は卒業式で婚約破棄されるわ……。でも大丈夫、推し活預金はちゃんとあるし、クラブ家の地下深くに作った「マリエル秘密の資料部屋」は温度湿度共に完璧よ。婚約破棄された私が飛ばされる場所が決まったらそっちに丸ごと移そうと計画してるわ。
 大丈夫、一生楽しめるだけの物資は手に入れたわ……。ナマとは触れなあえなくなっても楽しく過ごせるはず。元々ゲームだったんだもん、それと同じ感覚で行けるし……なんならゲーム版「トランプる!」を再現したっていいわ!ああ、そうしましょう、きっと王都から離れたら暇だもんね、そうしようそしよう……でも……。

「寂しく……なるわね」

 推し達の生笑顔の神々しい光を浴びることが出来なくなるなんて……。

「マリー……離れていても私達の友情は変わりませんわ」

「そうよ、私達は4大スート家のクイーン、悲しい顔なんて似合わないわ。咲き誇る薔薇のように優美に笑ってみせましょう?」

「アリア……ケイト……リズ……そうね、ありがとう。私ったら弱気になっちゃって嫌ね」

 残り少ない生推し活、頑張ろう!!あとは遠くから遠隔推し活に力を入れなくちゃね!

「ふふ、マリーは今週末はルドルフ様とデートでしょう?婚前のデートを楽しんできてね」

「え、ええ……そうね、目いっぱい楽しむわ」

 生ルドルフ様を間近で見られる最後の機会ですもの、ゆっくりたっぷりねっぷり堪能させてもらいますわ!

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