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そして入学へ

76 こんな簡単に美麗スチルが?!

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 結果から言えば死ぬほどスチルが撮れたわ。控えめに言って最高だったわ……。

 私が開催できないと知って、アリアネットとケイトリンが二人で企画してくれたのよ!次の夏のイベントの事を考えてるだけでミニコンサートイベントに誘われるってどれだけ楽ちんなの?!
 空いた時間で寒天を作れたわ!夏に食べるわよ!

「リズはぁ、今回ぜーったい後ろにいます!休憩でぇす!」

「そ、そう?」

「マリーのせいで大陸の端っこの王様からも釣書が届いたのよ、どうしてくれるの?!」

 えっ?!そんな遠くから??なんだか悪い事したかしら……でも安心して欲しいわ、アリアでもケイトでも同じようなの作るからね!一人じゃないわよ!大丈夫よ!

「にゃんにゃこ雨ガッパはリズのお店で売るし……」

 お呼びする予定では無かった王女様達もやってくると事前に聞いていたので、猫の耳付きの子供用雨ガッパを用意しておいたのだ。子供では音楽祭は飽きるだろうし、絶対静かになんかできないなら何か夢中になる事を用意しておくしかない。

「おーし!リズお姉ちゃんと探検しよー!こっちにゃー!」

「にゃー!」

 猫耳付きの雨ガッパ女性用を完璧に着こなしたローズリットと、子猫のルリィ様とリリィ様がチリチリと鈴を鳴らしながらお散歩をして行ったわ。完璧に可愛いわ、勿論残さず●recだわ!

「皆、集まってくれてありがとう。今日は私とケイトリン主催のレイニーコンサートだ。しっとりと過ごそうじゃないか」

 歓声はなく静かな拍手のみ。わあわあ騒ぐイベントじゃないからね。しっとりと始まったわ……素敵。
 アリアとケイトの凄いところは貴族だけじゃなく平民の子も呼んだり、神殿関係の子も呼んだり満遍なく人を集めた所ね。私も今度は真似しようかな……推しさえいればいいってもんでもないものね。

「卒業した私達も来て良かったのかな?」

「学園生だけのコンサートではありませんから。キング達が来てくださればジャック達も喜ぶでしょう?」

 小さいイベントなのに来る人達が豪華過ぎてどうしたらいいか分からないわ!人任せのイベントって言うのも悪くないものね。結果的には大成功だったらしいけど

「自分で何かを企画するというのは中々骨の折れる事なんだな」

「毎回企画から運営まで自分でやってるマリーって凄いわ」

 と、アリアとケイトに感心されてしまったけれど、だってやらなきゃあの素敵スチルをコンプすることなんて不可能なのよ!?フルコンプへの道は遠くってよ!!

 次のイベントは夏の浴衣ね、と意気込んでいる私の知らない所で、何やら相談が行われていたのに気が付かなかったのよ……。




「いべんと、だ」

「ええ、あと「すちる」とか言うものを回収するそうで」

 キングだけでなくクイーンも参加しての秘密会議である。マリエルを覗く8人、キング4名、クイーン3名と王太子ルドルフで彼らにとってとても大切な会議が開かれていた。

「マリエルは「いべんと」を開催して「すちる」を回収するのが目的らしい」

「ええ、そうらしいですわ」

「では、マリエルが次の「いべんと」をどのようなものにするか分かり次第協力をする事と……」

 ルドルフは親友であり、部下である皆に頭を下げて願い出る。

「マリエルの好みがわかり次第教えて欲しい……」

 なんとも情けない願いだが、全員快諾した。

「マリーってば私達の事ばかりで自分の事を何も言わないから……」

「本当だな、マリエルは欲しいものが何かあるか?と聞けば「あなたの笑顔です!」だし……どんな聖女だよ」

「マリーに何か上げたくても自分で作っちゃうし……」

 はあ、と全員でため息をつく。

「私は仮にもマリエルの婚約者なのに、婚約者らしい事を一つもさせてもらえないんだ……自信を失いそうだよ」

「マリーの出来ない事と言えば歌と毛虫を触る事くらいですからね」

「あ、でもダンスは不得意ですよ。今まで足のせいで練習があまりできませんでしたから。」

 ルドルフとデュカス、ケーニッヒはお互いに顔を合わせて苦笑いする。

「その件はユウキに感謝だな……」

「本当だよ。子供の頃とはいえ私達のせいだからな」

「うん……なんだか私がするはずだった怪我をマリエルに押し付けた気がしてずっと苦しかった」
 
 かみしめるように呟くケーニッヒの言葉を静かに聞いた。

「マリエルには……この国で一番幸せなヤツになって欲しいって思う」

 その場にいた全員が力強く頷くのだった。



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