上 下
60 / 89
そして入学へ

60 やってやるわ……!

しおりを挟む
「マリエルさまあ~~!」

「あ、ミシェル君にピーチェ。あの後、体調はどうかしら?」

「僕もピーチェも元気です!聞いてください、マリエル様。僕はあれから神殿に保護してもらって、皆さんから色々教えてもらって字も読めるようになったし、剣の使い方も教わって……!」

〈マリエル、そなたのお陰でミシェルの運命も良い方向へ変わっておる。私もミシェルが使命を果たせるよう、守護して行こうと思う〉

「あら、良かったですわね……ほほほ……」

 ピーチェが喋ってる気がするけどそれは幻聴ね。まあミシェル君が元気そうでよかったわ。クラブ家ウチで保護しても良かったんだけど、神殿が手を上げたから任せちゃったのよ。でも正解だったみたい、ミシェル君の笑顔を見たら安心で来たわ。

「マリエル様!聖女見習いのユウキって知ってますか?あの人、僕きらい……」

 あら、あらあらっ!可愛いショタっ子ミシェル君がしゅん、と下を向いてしまったわ。彼は「トランプる!」に出て来たキャラクターではなく、この世界の住人なのだけれど、とても可愛いです、ハイ。

「嫌うには何か理由があるのよね?良かったら教えてくれないかしら?」

「あの人、マリエル様の事を偽聖女だって!マリエル様を悪役令嬢だって言うし、僕の事も偽勇者だって……この世界に勇者なんていないのに、おかしいって言うんです……」

 なんて事……確かに元々の「トランプる!」の世界で私は聖女じゃないし、悪役令嬢だし、勇者の存在していなかった。でも、今はちゃんと存在している。

「僕、おかしくなんかないです……う、うう……」

〈ミシェル……マリエル、あのユウキとか言う女はいかん。まだ子供のミシェルを見るたびに怒鳴りつける。私も我が守護神たる神々もそろそろ我慢の限界だ〉

 うわっ!?ユウキさん、そんな所まで来てるの!?しかもミシェル君を見るたびに怒鳴るって??嫌なら会わないようにすればいいし、避ければ良いじゃない……学園でもユウキさんはそんな感じだわ。用もないのウロウロして彼女はBクラスだから私達のいるAクラスに近づかなきゃいいのに近づいてきて騒ぎを起こす……。

「ミシェル君、大丈夫よ。ミシェル君はよくやっているし、とても素敵で強くなったわ」

 ショタっ子の頭をなでなでする。ロリショタドントタッチ!なのだが、これは許して欲しい、紳士淑女の皆さんよ。ぎゅってしたわけでもないのし、過度のふれあいはしないから!!

「ピーチェも心配してるわ。ミシェル君が未来の勇者なのは私が保証する。でも辛かったら修行なんてやめていいのよ」

「僕は勇者になりたい!そしてマリエル様のお役に立ちたいんです!」

 まあっ!なんて可愛い発言っ!

「純粋な少年はいるだけでマリエルの役に立っておりましてよ……!」

 私のモチベが爆上がりですわっ!出そうになった鼻血を根性で止める!これはもうユウキさんを何とかするしかないわね!

「やってやるわ……!」


しおりを挟む
感想 121

あなたにおすすめの小説

成り上がり令嬢暴走日記!

笹乃笹世
恋愛
 異世界転生キタコレー! と、テンションアゲアゲのリアーヌだったが、なんとその世界は乙女ゲームの舞台となった世界だった⁉︎  えっあの『ギフト』⁉︎  えっ物語のスタートは来年⁉︎  ……ってことはつまり、攻略対象たちと同じ学園ライフを送れる……⁉︎  これも全て、ある日突然、貴族になってくれた両親のおかげねっ!  ーー……でもあのゲームに『リアーヌ・ボスハウト』なんてキャラが出てた記憶ないから……きっとキャラデザも無いようなモブ令嬢なんだろうな……  これは、ある日突然、貴族の仲間入りを果たしてしまった元日本人が、大好きなゲームの世界で元日本人かつ庶民ムーブをぶちかまし、知らず知らずのうちに周りの人間も巻き込んで騒動を起こしていく物語であるーー  果たしてリアーヌはこの世界で幸せになれるのか?  周りの人間たちは無事でいられるのかーー⁉︎

悪役令嬢はモブ化した

F.conoe
ファンタジー
乙女ゲーム? なにそれ食べ物? な悪役令嬢、普通にシナリオ負けして退場しました。 しかし貴族令嬢としてダメの烙印をおされた卒業パーティーで、彼女は本当の自分を取り戻す! 領地改革にいそしむ充実した日々のその裏で、乙女ゲームは着々と進行していくのである。 「……なんなのこれは。意味がわからないわ」 乙女ゲームのシナリオはこわい。 *注*誰にも前世の記憶はありません。 ざまぁが地味だと思っていましたが、オーバーキルだという意見もあるので、優しい結末を期待してる人は読まない方が良さげ。 性格悪いけど自覚がなくて自分を優しいと思っている乙女ゲームヒロインの心理描写と因果応報がメインテーマ(番外編で登場)なので、叩かれようがざまぁ改変して救う気はない。 作者の趣味100%でダンジョンが出ました。

折角転生したのに、婚約者が好きすぎて困ります!

たぬきち25番
恋愛
ある日私は乙女ゲームのヒロインのライバル令嬢キャメロンとして転生していた。 なんと私は最推しのディラン王子の婚約者として転生したのだ!! 幸せすぎる~~~♡ たとえ振られる運命だとしてもディラン様の笑顔のためにライバル令嬢頑張ります!! ※主人公は婚約者が好きすぎる残念女子です。 ※気分転換に笑って頂けたら嬉しく思います。 短めのお話なので毎日更新 ※糖度高めなので胸やけにご注意下さい。 ※少しだけ塩分も含まれる箇所がございます。 《大変イチャイチャラブラブしてます!! 激甘、溺愛です!! お気を付け下さい!!》 ※小説家になろう様にも掲載させて頂いております。

悪役令嬢がヒロインからのハラスメントにビンタをぶちかますまで。

倉桐ぱきぽ
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢に転生した私は、ざまぁ回避のため、まじめに生きていた。 でも、ヒロイン(転生者)がひどい!   彼女の嘘を信じた推しから嫌われるし。無実の罪を着せられるし。そのうえ「ちゃんと悪役やりなさい」⁉ シナリオ通りに進めたいヒロインからのハラスメントは、もう、うんざり! 私は私の望むままに生きます!! 本編+番外編3作で、40000文字くらいです。 ⚠途中、視点が変わります。サブタイトルをご覧下さい。

無事にバッドエンドは回避できたので、これからは自由に楽しく生きていきます。

木山楽斗
恋愛
悪役令嬢ラナトゥーリ・ウェルリグルに転生した私は、無事にゲームのエンディングである魔法学校の卒業式の日を迎えていた。 本来であれば、ラナトゥーリはこの時点で断罪されており、良くて国外追放になっているのだが、私は大人しく生活を送ったおかげでそれを回避することができていた。 しかしながら、思い返してみると私の今までの人生というものは、それ程面白いものではなかったように感じられる。 特に友達も作らず勉強ばかりしてきたこの人生は、悪いとは言えないが少々彩りに欠けているような気がしたのだ。 せっかく掴んだ二度目の人生を、このまま終わらせていいはずはない。 そう思った私は、これからの人生を楽しいものにすることを決意した。 幸いにも、私はそれ程貴族としてのしがらみに縛られている訳でもない。多少のわがままも許してもらえるはずだ。 こうして私は、改めてゲームの世界で新たな人生を送る決意をするのだった。 ※一部キャラクターの名前を変更しました。(リウェルド→リベルト)

悪役令嬢エリザベート物語

kirara
ファンタジー
私の名前はエリザベート・ノイズ 公爵令嬢である。 前世の名前は横川禮子。大学を卒業して入った企業でOLをしていたが、ある日の帰宅時に赤信号を無視してスクランブル交差点に飛び込んできた大型トラックとぶつかりそうになって。それからどうなったのだろう。気が付いた時には私は別の世界に転生していた。 ここは乙女ゲームの世界だ。そして私は悪役令嬢に生まれかわった。そのことを5歳の誕生パーティーの夜に知るのだった。 父はアフレイド・ノイズ公爵。 ノイズ公爵家の家長であり王国の重鎮。 魔法騎士団の総団長でもある。 母はマーガレット。 隣国アミルダ王国の第2王女。隣国の聖女の娘でもある。 兄の名前はリアム。  前世の記憶にある「乙女ゲーム」の中のエリザベート・ノイズは、王都学園の卒業パーティで、ウィリアム王太子殿下に真実の愛を見つけたと婚約を破棄され、身に覚えのない罪をきせられて国外に追放される。 そして、国境の手前で何者かに事故にみせかけて殺害されてしまうのだ。 王太子と婚約なんてするものか。 国外追放になどなるものか。 乙女ゲームの中では一人ぼっちだったエリザベート。 私は人生をあきらめない。 エリザベート・ノイズの二回目の人生が始まった。 ⭐️第16回 ファンタジー小説大賞参加中です。応援してくれると嬉しいです

転生令嬢はのんびりしたい!〜その愛はお断りします〜

咲宮
恋愛
私はオルティアナ公爵家に生まれた長女、アイシアと申します。 実は前世持ちでいわゆる転生令嬢なんです。前世でもかなりいいところのお嬢様でした。今回でもお嬢様、これまたいいところの!前世はなんだかんだ忙しかったので、今回はのんびりライフを楽しもう!…そう思っていたのに。 どうして貴方まで同じ世界に転生してるの? しかも王子ってどういうこと!? お願いだから私ののんびりライフを邪魔しないで! その愛はお断りしますから! ※更新が不定期です。 ※誤字脱字の指摘や感想、よろしければお願いします。 ※完結から結構経ちましたが、番外編を始めます!

【完結】あなたのいない世界、うふふ。

やまぐちこはる
恋愛
17歳のヨヌク子爵家令嬢アニエラは栗毛に栗色の瞳の穏やかな令嬢だった。近衛騎士で伯爵家三男、かつ騎士爵を賜るトーソルド・ロイリーと幼少から婚約しており、成人とともに政略的な結婚をした。 しかしトーソルドには恋人がおり、結婚式のあと、初夜を迎える前に出たまま戻ることもなく、一人ロイリー騎士爵家を切り盛りするはめになる。 とはいえ、アニエラにはさほどの不満はない。結婚前だって殆ど会うこともなかったのだから。 =========== 感想は一件づつ個別のお返事ができなくなっておりますが、有り難く拝読しております。 4万文字ほどの作品で、最終話まで予約投稿済です。お楽しみいただけましたら幸いでございます。

処理中です...