57 / 89
そして入学へ
57 ゲームと少しだけ違う
しおりを挟む
「つまりはあまりにこの学園の生徒として相応しくない行動をとるユウキ嬢にバウンズ伯爵令嬢が改めるように注意を促した所、あのような大声で叫ばれた、という事だな?」
「絶対に違うわ!!私は脅されたの!」
そう叫ぶのはユウキさんだけで、生徒は口を揃える。
「間違いありません」
「その通りでございます」
「私も聞いておりましたが概ねそれで正しい見解かと」
ルドルフ様が話をまとめ、周囲の生徒達に話を聞く。んー流石ルドルフ様!かっこいい!イケメン!よっ王太子!一人で判断しないで周りの意見も取り入れる事が出来る、流石です!録画です!
でもこれ……どこかで見たことあるイベント……では?バウンズ伯爵令嬢を支えながら、私はゲームのストーリーを思い出していた。確かええと。
「フン!聖女だか何だか知らないけれど、平民まがいの女がルドルフ様に近づこうなんて思い上がってるんじゃないわよ!」
「ちが……私、あの時はたまたまぶつかっただけで、王太子様だなんて知らなくて。近づこうなんて思ってません…‥!」
そんな聖女ユウキに……クラブクイーン、マリエルが言うのよ。
「異世界から来たとか訳のわからない事を言って、ルドルフ様の気を引こうなんて厚かましい!こういう輩が学園にいては風紀が乱れるわ。さっさと学園から出て行かないと、後悔することになるわよ!」
おーーーっほっほっほ!と縦巻きロールのマリエルが高笑いをして去ってゆく……うん、ゲームのマリエルなら脅した、とか脅迫したというのは正しい。
でもアネッサ・バウンズ伯爵令嬢がユウキさんに言ったのは誰がどう聞いても「注意」の範疇だ。確かに、ゲームでマリエルが言い放った言葉と単語は被る部分がいくつかあるけれど、意味合いが全く違う。これはどう聞いてもユウキさんが悪い……。
「ユウキ嬢、勘違いは誰にでもある。しかしアネッサ嬢の優しさにそのような大声で恫喝をするのは淑女として、共に学園で学ぶものとしても到底受け入れることは出来ないものだ。アネッサ嬢に謝罪をして欲しい」
「なっ!どうしてっ!私が脅されたのに、どうして私が謝るの!おかしいでしょうルドルフ様!!」
「アネッサ嬢は貴女を脅してはいない。しっかりマナーを学ばねば自分自身の行いのせいで学園に在籍することが出来なくなるとクラスメイトを気遣った声かけだった」
「違う!そんなことないっ!ねえ、そうでしょう!?皆聞いてたでしょ!」
ユウキさんはぐるりと回りを見渡すけれど、誰もユウキさんに同意はしない……流石に無理だわ。
「なんで……なんでよ……私は召喚聖女なのよ!?」
いくら声を大きくしても、ユウキさんの周りには誰もおらず、アネッサ様の周りにはたくさんの人がいる。ヴィンセントお兄様も私を庇うように立っているから、ポツンと孤立しているのはユウキさんだった。
「ひ、酷い、酷いっ!!みんなが私を虐めるわ!」
「あっ!」
ユウキさんは人垣を無理やりかき分け走って行ってしまった。勿論一言の謝罪もない。ユウキさんがいなくなることで緊張の糸が途切れたのかアネッサ様は気を失ってしまうし、学園の教授達も集まってくるしで大変だった。
うーん……大丈夫かなあ?ユウキさん。ルドルフ殿下も「困ったものだ」と眉毛を寄せていたし、なんだか一波乱も二波乱もありそうな予感がするわ……。
「絶対に違うわ!!私は脅されたの!」
そう叫ぶのはユウキさんだけで、生徒は口を揃える。
「間違いありません」
「その通りでございます」
「私も聞いておりましたが概ねそれで正しい見解かと」
ルドルフ様が話をまとめ、周囲の生徒達に話を聞く。んー流石ルドルフ様!かっこいい!イケメン!よっ王太子!一人で判断しないで周りの意見も取り入れる事が出来る、流石です!録画です!
でもこれ……どこかで見たことあるイベント……では?バウンズ伯爵令嬢を支えながら、私はゲームのストーリーを思い出していた。確かええと。
「フン!聖女だか何だか知らないけれど、平民まがいの女がルドルフ様に近づこうなんて思い上がってるんじゃないわよ!」
「ちが……私、あの時はたまたまぶつかっただけで、王太子様だなんて知らなくて。近づこうなんて思ってません…‥!」
そんな聖女ユウキに……クラブクイーン、マリエルが言うのよ。
「異世界から来たとか訳のわからない事を言って、ルドルフ様の気を引こうなんて厚かましい!こういう輩が学園にいては風紀が乱れるわ。さっさと学園から出て行かないと、後悔することになるわよ!」
おーーーっほっほっほ!と縦巻きロールのマリエルが高笑いをして去ってゆく……うん、ゲームのマリエルなら脅した、とか脅迫したというのは正しい。
でもアネッサ・バウンズ伯爵令嬢がユウキさんに言ったのは誰がどう聞いても「注意」の範疇だ。確かに、ゲームでマリエルが言い放った言葉と単語は被る部分がいくつかあるけれど、意味合いが全く違う。これはどう聞いてもユウキさんが悪い……。
「ユウキ嬢、勘違いは誰にでもある。しかしアネッサ嬢の優しさにそのような大声で恫喝をするのは淑女として、共に学園で学ぶものとしても到底受け入れることは出来ないものだ。アネッサ嬢に謝罪をして欲しい」
「なっ!どうしてっ!私が脅されたのに、どうして私が謝るの!おかしいでしょうルドルフ様!!」
「アネッサ嬢は貴女を脅してはいない。しっかりマナーを学ばねば自分自身の行いのせいで学園に在籍することが出来なくなるとクラスメイトを気遣った声かけだった」
「違う!そんなことないっ!ねえ、そうでしょう!?皆聞いてたでしょ!」
ユウキさんはぐるりと回りを見渡すけれど、誰もユウキさんに同意はしない……流石に無理だわ。
「なんで……なんでよ……私は召喚聖女なのよ!?」
いくら声を大きくしても、ユウキさんの周りには誰もおらず、アネッサ様の周りにはたくさんの人がいる。ヴィンセントお兄様も私を庇うように立っているから、ポツンと孤立しているのはユウキさんだった。
「ひ、酷い、酷いっ!!みんなが私を虐めるわ!」
「あっ!」
ユウキさんは人垣を無理やりかき分け走って行ってしまった。勿論一言の謝罪もない。ユウキさんがいなくなることで緊張の糸が途切れたのかアネッサ様は気を失ってしまうし、学園の教授達も集まってくるしで大変だった。
うーん……大丈夫かなあ?ユウキさん。ルドルフ殿下も「困ったものだ」と眉毛を寄せていたし、なんだか一波乱も二波乱もありそうな予感がするわ……。
89
お気に入りに追加
2,508
あなたにおすすめの小説
逃げて、追われて、捕まって
あみにあ
恋愛
平民に生まれた私には、なぜか生まれる前の記憶があった。
この世界で王妃として生きてきた記憶。
過去の私は貴族社会の頂点に立ち、さながら悪役令嬢のような存在だった。
人を蹴落とし、気に食わない女を断罪し、今思えばひどい令嬢だったと思うわ。
だから今度は平民としての幸せをつかみたい、そう願っていたはずなのに、一体全体どうしてこんな事になってしまたのかしら……。
2020年1月5日より 番外編:続編随時アップ
2020年1月28日より 続編となります第二章スタートです。
**********お知らせ***********
2020年 1月末 レジーナブックス 様より書籍化します。
それに伴い短編で掲載している以外の話をレンタルと致します。
ご理解ご了承の程、宜しくお願い致します。
転生したら乙女ゲームの主人公の友達になったんですが、なぜか私がモテてるんですが?
rita
恋愛
田舎に住むごく普通のアラサー社畜の私は車で帰宅中に、
飛び出してきた猫かたぬきを避けようとしてトラックにぶつかりお陀仏したらしく、
気付くと、最近ハマっていた乙女ゲームの世界の『主人公の友達』に転生していたんだけど、
まぁ、友達でも二次元女子高生になれたし、
推しキャラやイケメンキャラやイケオジも見れるし!楽しく過ごそう!と、
思ってたらなぜか主人公を押し退け、
攻略対象キャラや攻略不可キャラからも、モテまくる事態に・・・・
ちょ、え、これどうしたらいいの!!!嬉しいけど!!!
悪役令嬢になりたくないので、攻略対象をヒロインに捧げます
久乃り
恋愛
乙女ゲームの世界に転生していた。
その記憶は突然降りてきて、記憶と現実のすり合わせに毎日苦労する羽目になる元日本の女子高校生佐藤美和。
1周回ったばかりで、2週目のターゲットを考えていたところだったため、乙女ゲームの世界に入り込んで嬉しい!とは思ったものの、自分はヒロインではなく、ライバルキャラ。ルート次第では悪役令嬢にもなってしまう公爵令嬢アンネローゼだった。
しかも、もう学校に通っているので、ゲームは進行中!ヒロインがどのルートに進んでいるのか確認しなくては、自分の立ち位置が分からない。いわゆる破滅エンドを回避するべきか?それとも、、勝手に動いて自分がヒロインになってしまうか?
自分の死に方からいって、他にも転生者がいる気がする。そのひとを探し出さないと!
自分の運命は、悪役令嬢か?破滅エンドか?ヒロインか?それともモブ?
ゲーム修正が入らないことを祈りつつ、転生仲間を探し出し、この乙女ゲームの世界を生き抜くのだ!
他サイトにて別名義で掲載していた作品です。
ヒロイン気質がゼロなので攻略はお断りします! ~塩対応しているのに何で好感度が上がるんですか?!~
浅海 景
恋愛
幼い頃に誘拐されたことがきっかけで、サーシャは自分の前世を思い出す。その知識によりこの世界が乙女ゲームの舞台で、自分がヒロイン役である可能性に思い至ってしまう。貴族のしきたりなんて面倒くさいし、侍女として働くほうがよっぽど楽しいと思うサーシャは平穏な未来を手にいれるため、攻略対象たちと距離を取ろうとするのだが、彼らは何故かサーシャに興味を持ち関わろうとしてくるのだ。
「これってゲームの強制力?!」
周囲の人間関係をハッピーエンドに収めつつ、普通の生活を手に入れようとするヒロイン気質ゼロのサーシャが奮闘する物語。
※2024.8.4 おまけ②とおまけ③を追加しました。
【完結】悪役令嬢のトゥルーロマンスは断罪から☆
白雨 音
恋愛
『生まれ変る順番を待つか、断罪直前の悪役令嬢の人生を代わって生きるか』
女神に選択を迫られた時、迷わずに悪役令嬢の人生を選んだ。
それは、その世界が、前世のお気に入り乙女ゲームの世界観にあり、
愛すべき推し…ヒロインの義兄、イレールが居たからだ!
彼に会いたい一心で、途中転生させて貰った人生、あなたへの愛に生きます!
異世界に途中転生した悪役令嬢ヴィオレットがハッピーエンドを目指します☆
《完結しました》
乙女ゲームのモブに転生していると断罪イベント当日に自覚した者ですが、ようやく再会できた初恋の男の子が悪役令嬢に攻略され済みなんてあんまりだ
弥生 真由
恋愛
『貴女との婚約は、たった今をもって解消させてもらう!!』
国のこれからを背負う若者たちが学院を卒業することを祝って開かれた舞踏会の日、めでたい筈のその席に響いた第一皇子の声を聞いた瞬間、私の頭にこの場面と全く同じ“ゲーム”の場面が再生された。
これ、もしかしなくても前世でやり込んでた乙女ゲームの終盤最大の山場、“断罪イベント”って奴じゃないですか!?やり方間違ったら大惨事のやつ!!
しかし、私セレスティア・スチュアートは貧乏領地の伯爵令嬢。容姿も社交も慎ましく、趣味は手芸のみでゲームにも名前すら出てこないザ・モブ of the モブ!!
何でよりによってこのタイミングで記憶が戻ったのか謎だけど、とにかく主要キャラじゃなくてよかったぁ。……なんて安心して傍観者気取ってたら、ヒロインとメインヒーローからいきなり悪役令嬢がヒロインをいじめているのを知る目撃者としていきなり巻き込まれちゃった!?
更には、何でかメインヒーロー以外のイケメン達は悪役令嬢にぞっこんで私が彼等に睨まれる始末!
しかも前世を思い出した反動で肝心の私の過去の記憶まで曖昧になっちゃって、どっちの言い分が正しいのか証言したくても出来なくなっちゃった!
そんなわけで、私の記憶が戻り、ヒロイン達と悪役令嬢達とどちらが正しいのかハッキリするまで、私には逃げられないよう監視がつくことになったのですが……それでやって来たのが既に悪役令嬢に攻略され済みのイケメン騎士様でしかも私の初恋の相手って、神様……これモブに与える人生のキャパオーバーしてませんか?
悪役令嬢に転生したら溺愛された。(なぜだろうか)
どくりんご
恋愛
公爵令嬢ソフィア・スイートには前世の記憶がある。
ある日この世界が乙女ゲームの世界ということに気づく。しかも自分が悪役令嬢!?
悪役令嬢みたいな結末は嫌だ……って、え!?
王子様は何故か溺愛!?なんかのバグ!?恥ずかしい台詞をペラペラと言うのはやめてください!推しにそんなことを言われると照れちゃいます!
でも、シナリオは変えられるみたいだから王子様と幸せになります!
強い悪役令嬢がさらに強い王子様や家族に溺愛されるお話。
HOT1/10 1位ありがとうございます!(*´∇`*)
恋愛24h1/10 4位ありがとうございます!(*´∇`*)
破滅ルートを全力で回避したら、攻略対象に溺愛されました
平山和人
恋愛
転生したと気付いた時から、乙女ゲームの世界で破滅ルートを回避するために、攻略対象者との接点を全力で避けていた。
王太子の求婚を全力で辞退し、宰相の息子の売り込みを全力で拒否し、騎士団長の威圧を全力で受け流し、攻略対象に顔さえ見せず、隣国に留学した。
ヒロインと王太子が婚約したと聞いた私はすぐさま帰国し、隠居生活を送ろうと心に決めていた。
しかし、そんな私に転生者だったヒロインが接触してくる。逆ハールートを送るためには私が悪役令嬢である必要があるらしい。
ヒロインはあの手この手で私を陥れようとしてくるが、私はそのたびに回避し続ける。私は無事平穏な生活を送れるのだろうか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる