55 / 89
そして入学へ
55 困った聖女
しおりを挟む
「ルドルフさまぁ~」
「またあなたですか。用もないのに2年生の教室へ来ないでください。それと呼び方には注意してくださいと先ほども申し上げました」
「えーーー!だって私、ルドルフ様とお話がしたいの!」
「教室へお戻りください。ユウキさん」
どうやら聖女ユウキのルドルフ殿下への猛烈なアピールが始まったみたいなんだけど、そのやり方はどうかなぁ……。
「……なんですの、あれ」
「はしたない以前の問題ね」
「あれは男子でも引くな」
所かまわず突撃して殿下の護衛のエディソン君(22)に阻まれている。少し見かけた事があるのだけれど、殿下は涼しい顔で知らんぷり……しているように見えて、内心かなり怒ってイライラしているようだわ。なにせずーーっと●Recしてきた私なら些細な殿下の表情や仕草でまるっとお見通しなのだ!
それにしても聖女ユウキ(デフォ名ユウキだったよ!)さんはちょっと酷い。ゲーム「トランプる!」の学園は上下関係がない事を謳い文句にしていたけれど、ここは違うの。クラスが高位貴族と下位貴族で別れるように、上下関係に気を付けるお付き合いを学ぶ場になっているのよ。
勿論上位貴族でも使えない子とかは振り落とされるし、下位貴族でも素晴らしい能力の持ち主なら引き抜く。そういう観察の場でもあるの……だからこの場合子爵家預かりのユウキさんはいくら聖女の資格があったとしても、下位貴族扱い。
これが聖女の資格ではなくて完全に神殿から認められた聖女であって実績があれば話はちょっと変わってくる。
実績を積んだ聖女であればどんな出身でも王族と同じ扱いになる。ゲームの聖女はそうなんだけど、どうもこの「ユウキさん」はあまり「修行パート」が好きじゃないみたい……。
困った事にユウキさんが殿下に敬称もなしで直接話しかけるのはマナー違反。エディソン君(22)に何度注意しても直らないのは「見込みナシ」の烙印を押されちゃう可能性も……。ええええ!ヒロイン大丈夫なの??
「まあ……そんな事より」
大事な推しを苛立たせるのはヒロインでも許しがたいわねぇ。はぁ、私が注意しないといけない所よね。だって今の殿下の婚約者は私なんだもの……やだなぁ悪役令嬢か、上手に出来るかなぁ?今日は早く帰って推し達の記録映像を円盤に編集する作業に没頭したいのに!思わずため息が漏れちゃうわ。
「ユウキさん、あなたのなさりようは目に余りますわ。もう少し規律を守っていただかないと学園の風紀が乱れる事をお忘れなく」
「え……?」
「異世界から来られたとかで、こちらのマナーや礼儀のお詳しくないのは存じておりますが、最低限の事は覚えてください。このままでは学園を去る事になりますよ?」
「や、やだ……怖いッ!こわいーーー!誰か助けてぇー!ルドルフ様ー!ヴィンセント様ぁーー!!!」
「え……?な、なにを言って……!?」
「怖いー!あの人が私を脅してくるんです!誰か助けてー!殺されるーーー!!」
そんな中大騒ぎが起こったのよ。あのユウキさん、声がめちゃめちゃ大きくて学園中に彼女の「助けて」「殺される」って響き渡ったの……。「トランプる!」は推理とサスペンスゲームじゃないのよ……?
「またあなたですか。用もないのに2年生の教室へ来ないでください。それと呼び方には注意してくださいと先ほども申し上げました」
「えーーー!だって私、ルドルフ様とお話がしたいの!」
「教室へお戻りください。ユウキさん」
どうやら聖女ユウキのルドルフ殿下への猛烈なアピールが始まったみたいなんだけど、そのやり方はどうかなぁ……。
「……なんですの、あれ」
「はしたない以前の問題ね」
「あれは男子でも引くな」
所かまわず突撃して殿下の護衛のエディソン君(22)に阻まれている。少し見かけた事があるのだけれど、殿下は涼しい顔で知らんぷり……しているように見えて、内心かなり怒ってイライラしているようだわ。なにせずーーっと●Recしてきた私なら些細な殿下の表情や仕草でまるっとお見通しなのだ!
それにしても聖女ユウキ(デフォ名ユウキだったよ!)さんはちょっと酷い。ゲーム「トランプる!」の学園は上下関係がない事を謳い文句にしていたけれど、ここは違うの。クラスが高位貴族と下位貴族で別れるように、上下関係に気を付けるお付き合いを学ぶ場になっているのよ。
勿論上位貴族でも使えない子とかは振り落とされるし、下位貴族でも素晴らしい能力の持ち主なら引き抜く。そういう観察の場でもあるの……だからこの場合子爵家預かりのユウキさんはいくら聖女の資格があったとしても、下位貴族扱い。
これが聖女の資格ではなくて完全に神殿から認められた聖女であって実績があれば話はちょっと変わってくる。
実績を積んだ聖女であればどんな出身でも王族と同じ扱いになる。ゲームの聖女はそうなんだけど、どうもこの「ユウキさん」はあまり「修行パート」が好きじゃないみたい……。
困った事にユウキさんが殿下に敬称もなしで直接話しかけるのはマナー違反。エディソン君(22)に何度注意しても直らないのは「見込みナシ」の烙印を押されちゃう可能性も……。ええええ!ヒロイン大丈夫なの??
「まあ……そんな事より」
大事な推しを苛立たせるのはヒロインでも許しがたいわねぇ。はぁ、私が注意しないといけない所よね。だって今の殿下の婚約者は私なんだもの……やだなぁ悪役令嬢か、上手に出来るかなぁ?今日は早く帰って推し達の記録映像を円盤に編集する作業に没頭したいのに!思わずため息が漏れちゃうわ。
「ユウキさん、あなたのなさりようは目に余りますわ。もう少し規律を守っていただかないと学園の風紀が乱れる事をお忘れなく」
「え……?」
「異世界から来られたとかで、こちらのマナーや礼儀のお詳しくないのは存じておりますが、最低限の事は覚えてください。このままでは学園を去る事になりますよ?」
「や、やだ……怖いッ!こわいーーー!誰か助けてぇー!ルドルフ様ー!ヴィンセント様ぁーー!!!」
「え……?な、なにを言って……!?」
「怖いー!あの人が私を脅してくるんです!誰か助けてー!殺されるーーー!!」
そんな中大騒ぎが起こったのよ。あのユウキさん、声がめちゃめちゃ大きくて学園中に彼女の「助けて」「殺される」って響き渡ったの……。「トランプる!」は推理とサスペンスゲームじゃないのよ……?
80
お気に入りに追加
2,508
あなたにおすすめの小説
逃げて、追われて、捕まって
あみにあ
恋愛
平民に生まれた私には、なぜか生まれる前の記憶があった。
この世界で王妃として生きてきた記憶。
過去の私は貴族社会の頂点に立ち、さながら悪役令嬢のような存在だった。
人を蹴落とし、気に食わない女を断罪し、今思えばひどい令嬢だったと思うわ。
だから今度は平民としての幸せをつかみたい、そう願っていたはずなのに、一体全体どうしてこんな事になってしまたのかしら……。
2020年1月5日より 番外編:続編随時アップ
2020年1月28日より 続編となります第二章スタートです。
**********お知らせ***********
2020年 1月末 レジーナブックス 様より書籍化します。
それに伴い短編で掲載している以外の話をレンタルと致します。
ご理解ご了承の程、宜しくお願い致します。
転生したら乙女ゲームの主人公の友達になったんですが、なぜか私がモテてるんですが?
rita
恋愛
田舎に住むごく普通のアラサー社畜の私は車で帰宅中に、
飛び出してきた猫かたぬきを避けようとしてトラックにぶつかりお陀仏したらしく、
気付くと、最近ハマっていた乙女ゲームの世界の『主人公の友達』に転生していたんだけど、
まぁ、友達でも二次元女子高生になれたし、
推しキャラやイケメンキャラやイケオジも見れるし!楽しく過ごそう!と、
思ってたらなぜか主人公を押し退け、
攻略対象キャラや攻略不可キャラからも、モテまくる事態に・・・・
ちょ、え、これどうしたらいいの!!!嬉しいけど!!!
悪役令嬢になりたくないので、攻略対象をヒロインに捧げます
久乃り
恋愛
乙女ゲームの世界に転生していた。
その記憶は突然降りてきて、記憶と現実のすり合わせに毎日苦労する羽目になる元日本の女子高校生佐藤美和。
1周回ったばかりで、2週目のターゲットを考えていたところだったため、乙女ゲームの世界に入り込んで嬉しい!とは思ったものの、自分はヒロインではなく、ライバルキャラ。ルート次第では悪役令嬢にもなってしまう公爵令嬢アンネローゼだった。
しかも、もう学校に通っているので、ゲームは進行中!ヒロインがどのルートに進んでいるのか確認しなくては、自分の立ち位置が分からない。いわゆる破滅エンドを回避するべきか?それとも、、勝手に動いて自分がヒロインになってしまうか?
自分の死に方からいって、他にも転生者がいる気がする。そのひとを探し出さないと!
自分の運命は、悪役令嬢か?破滅エンドか?ヒロインか?それともモブ?
ゲーム修正が入らないことを祈りつつ、転生仲間を探し出し、この乙女ゲームの世界を生き抜くのだ!
他サイトにて別名義で掲載していた作品です。
ヒロイン気質がゼロなので攻略はお断りします! ~塩対応しているのに何で好感度が上がるんですか?!~
浅海 景
恋愛
幼い頃に誘拐されたことがきっかけで、サーシャは自分の前世を思い出す。その知識によりこの世界が乙女ゲームの舞台で、自分がヒロイン役である可能性に思い至ってしまう。貴族のしきたりなんて面倒くさいし、侍女として働くほうがよっぽど楽しいと思うサーシャは平穏な未来を手にいれるため、攻略対象たちと距離を取ろうとするのだが、彼らは何故かサーシャに興味を持ち関わろうとしてくるのだ。
「これってゲームの強制力?!」
周囲の人間関係をハッピーエンドに収めつつ、普通の生活を手に入れようとするヒロイン気質ゼロのサーシャが奮闘する物語。
※2024.8.4 おまけ②とおまけ③を追加しました。
【完結】悪役令嬢のトゥルーロマンスは断罪から☆
白雨 音
恋愛
『生まれ変る順番を待つか、断罪直前の悪役令嬢の人生を代わって生きるか』
女神に選択を迫られた時、迷わずに悪役令嬢の人生を選んだ。
それは、その世界が、前世のお気に入り乙女ゲームの世界観にあり、
愛すべき推し…ヒロインの義兄、イレールが居たからだ!
彼に会いたい一心で、途中転生させて貰った人生、あなたへの愛に生きます!
異世界に途中転生した悪役令嬢ヴィオレットがハッピーエンドを目指します☆
《完結しました》
乙女ゲームのモブに転生していると断罪イベント当日に自覚した者ですが、ようやく再会できた初恋の男の子が悪役令嬢に攻略され済みなんてあんまりだ
弥生 真由
恋愛
『貴女との婚約は、たった今をもって解消させてもらう!!』
国のこれからを背負う若者たちが学院を卒業することを祝って開かれた舞踏会の日、めでたい筈のその席に響いた第一皇子の声を聞いた瞬間、私の頭にこの場面と全く同じ“ゲーム”の場面が再生された。
これ、もしかしなくても前世でやり込んでた乙女ゲームの終盤最大の山場、“断罪イベント”って奴じゃないですか!?やり方間違ったら大惨事のやつ!!
しかし、私セレスティア・スチュアートは貧乏領地の伯爵令嬢。容姿も社交も慎ましく、趣味は手芸のみでゲームにも名前すら出てこないザ・モブ of the モブ!!
何でよりによってこのタイミングで記憶が戻ったのか謎だけど、とにかく主要キャラじゃなくてよかったぁ。……なんて安心して傍観者気取ってたら、ヒロインとメインヒーローからいきなり悪役令嬢がヒロインをいじめているのを知る目撃者としていきなり巻き込まれちゃった!?
更には、何でかメインヒーロー以外のイケメン達は悪役令嬢にぞっこんで私が彼等に睨まれる始末!
しかも前世を思い出した反動で肝心の私の過去の記憶まで曖昧になっちゃって、どっちの言い分が正しいのか証言したくても出来なくなっちゃった!
そんなわけで、私の記憶が戻り、ヒロイン達と悪役令嬢達とどちらが正しいのかハッキリするまで、私には逃げられないよう監視がつくことになったのですが……それでやって来たのが既に悪役令嬢に攻略され済みのイケメン騎士様でしかも私の初恋の相手って、神様……これモブに与える人生のキャパオーバーしてませんか?
パーティを追い出されましたがむしろ好都合です!
八神 凪
ファンタジー
勇者パーティに属するルーナ(17)は悩んでいた。
補助魔法が使える前衛としてスカウトされたものの、勇者はドスケベ、取り巻く女の子達は勇者大好きという辟易するパーティだった。
しかも勇者はルーナにモーションをかけるため、パーティ内の女の子からは嫉妬の雨・・・。
そんな中「貴女は役に立たないから出て行け」と一方的に女の子達から追放を言い渡されたルーナはいい笑顔で答えるのだった。
「ホントに!? 今までお世話しました! それじゃあ!」
ルーナの旅は始まったばかり!
第11回ファンタジー大賞エントリーしてました!
悪役令嬢に転生したら溺愛された。(なぜだろうか)
どくりんご
恋愛
公爵令嬢ソフィア・スイートには前世の記憶がある。
ある日この世界が乙女ゲームの世界ということに気づく。しかも自分が悪役令嬢!?
悪役令嬢みたいな結末は嫌だ……って、え!?
王子様は何故か溺愛!?なんかのバグ!?恥ずかしい台詞をペラペラと言うのはやめてください!推しにそんなことを言われると照れちゃいます!
でも、シナリオは変えられるみたいだから王子様と幸せになります!
強い悪役令嬢がさらに強い王子様や家族に溺愛されるお話。
HOT1/10 1位ありがとうございます!(*´∇`*)
恋愛24h1/10 4位ありがとうございます!(*´∇`*)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる