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そして入学へ

42 悪ぃごはいねがーー?!

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「はぁはぁ……悪ぃはいねがぁ~~~~……体調悪ぃ子はいねがぁぁああ」

 東北名物ナマハゲじゃないわよ?あちこちウロウロしてみても中々怪我をしている子とか病気の子とかいないのよね、あーもう!そろそろ学園の実習でダンスがあるから、もうちょっと治したいのよ~足を!そして推しとむふふなダンスタイムを……!おうふっ鼻血が出そう!

「いやでも近づけるかしら?あんな輝く者に……?そして手を、手をかさ、かさかかさかかさねえええええ!?ひえええええええ!よ、よりよりよりそ、ああ無理かも!」

 まさか推しに鼻血をぶっかけるような死んでも死にきれない事は出来ないのに!

「ん、まあ、まあ……足よ、足……。あ!そうだ。冒険者よ、冒険者ギルドに行くのよ。あそこならズタボロ駆け出し冒険者がいっぱい溢れてるに違いないわフッフーマリエル冴えてるゥ!」

 当然、街へお忍びなんて、家の護衛達が手で大きなバツを作るわ。お兄様もレナードも

「お出かけしたいのかい?一緒に行くよ」

 とキラキラした笑顔を向けて来てくれるけれど、私は冒険者ギルドという荒くれ猛者が集うなんか男臭くて臭そうな場所に用事があるの。そんな臭そうな場所にうちの輝く推しを連れて行けるわけないじゃない!


「少し読みたい本がありまして。集中して土日に読もうと思います」

「読書なの?お姉様!僕と一緒に読みましょう!」

「こら、レナード。集中したいってマリーが言ってるだろう?でも土曜か日曜どちらかは私達と一緒に過ごしてくれないか?レナードは特に寂しいだろうし、私もマリーと一緒にお茶など飲みたいな」

「か、かしこまりっ!!」

 仕方がないから土曜日に冒険者ギルドに凸る事にしたのよ。とりあえず我が家で一番分厚い本「国土歴史大全」を手に私は部屋に籠ったわ。

「マ、マリーは凄い本を読むんだね……私も負けていられないよ」

「え?お兄様はいつも素敵ですわほほほほ」

 本のタイトルを見られたのね……これは少しくらい内容を知っておかないと後で読んでない事がバレてしまいそう……確かあったわね、速読術……アレを身につけておく必要性を感じるわ。まあそんなこんなで私は冒険者ギルドの裏手の路地にミラクルテレポートしたわけよね。

「わっ!親方!空間から女の子が!」

「これで黙ってて頂戴!」

 目の前で驚いている男の子に5000ゴールド札を握らせて口止めをし、私は冒険者ギルドに凸!突撃よ~~~!

「頼もう!」

「面白い嬢ちゃんが来やがった」

 入るなり包帯を巻き巻きしたおっさんに出会ったわ。

「ふっふっふ!いおるいおる……肉体を派手に行使しまくり、摩耗しくたびれすり切れ……嘆き悲しみ、世俗を憂い、世を儚み暗黒のダークサイドに落ちようとしておる冒険者共が……」

「いや、そんなのあんまりいねえと思うぜ?」

「そして、冒険者として使い物にならなくなったその男はいひひうひうひ」

「……頭のご病気かな?お嬢ちゃん」

「失礼ね、病気だったらすぐ治すわよ!全く、そっち系の経験値集めに来てんだから察してよね」

「女の察しては大抵男は察せねえぞ」

「あ、わかりみ~」

 おっさんの名前はヒューイというそうな。へえ、あんまり興味ない。だって推しじゃないもん。


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