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そして入学へ
34 えっ!それは私が受けるはずのセリフよ!(聖女ユウキ
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私がハンカチをギリギリ噛みながら叫ぶのを堪えていると馬車がついたわ。王太子様も歩いてきているのに、誰よ、馬車なんて!!
ドアが開くと中からキラキラした男子が……!
「あ、好き!」
私の一押しのクラブキング、ヴィンセント様だわ……!素敵、凄く素敵……絶対攻略するわ……。そしてそのヴィンセント様に手を引かれて降りてくるのは
「ちっ!クラブクイーン……」
あんな女にも優しくするなんてヴィンセント様って素敵だわ……。
「ってあれ?髪型が違う……」
クラブクイーン・マリエルはサラサラとした綺麗なストレートの髪を邪魔にならないようにサイドは編み込んですっきりとした髪型になってる。あのうざいくらいの縦巻きロールとモリモリも頭はどこに置いてきたのかしら??
「それにしても、王子様が歩いて来てるのに、なんで馬車で……」
思わず口から出た言葉は、声量が少し大きかったみたいで、キングやクイーン、王太子様の耳に届いてしまったみたい。
「っ!!!」
「ひっ?!」
なんと全員から睨まれた!!こ、怖い。わ、私何も間違った事言ってないのに!!
「……そう言えばそうね。寮から学園まではそう遠くないし、今日は家から来たから馬車だったけれど明日から馬車はやめましょう?お兄様」
「……マリエルがそう言うなら。でも途中で疲れたら、私が抱き上げるけどそれで良いね?」
「あ、朝からマリエルを殺す気ですか……っ!」
「じゃあ私と一緒に登校しよう、マリエル。女子寮の前まで迎えに行くよ?」
「や、やめて下さいまし!ルドルフ様。私以外の女子も失神してしまいます!!」
な、なんで和やかに話してるの??こんなに仲良くないわよね??ど、どうなってるの??
「ではこのスペードクイーンが毎日エスコートしようかな?」
「嫌だわ、アリアのファンクラブのお姉様達にまた睨まれてしまうじゃない?」
「マリーを睨む人なんている訳ないわ!マリーはアリアの親友だって全員知ってるもの!」
そうかしら?なんて微笑むマリエル・クラブは……片足を少し引きずっている。あ、怪我をしているから、馬車で来てたの??だからって皆でそんな過保護にする事なくない??
「アレが例の?」
「ええ、子爵が独断で……必要ないと断ったが断行したと」
「勝手にか。まさかそれで補助金を寄越せと?」
「ほんと、必要ないのに」
クイーン達がマリエルを囲んで和やかに話をしている横で、キング達が何か喋っているみたい。声が小さすぎて私には聞こえないわ……何なんだろう。クイーン達にも聞こえてないみたいだから、きっと高飛車な妹たちの呆れ話でもしてるに違いないわ。何せ、「トランプる!」でキングとクイーンの仲は最悪だもんね。
クイーン達は楽しそうにマリエルの歩みに合わせてゆっくり移動しているし、キング達も何か話しながらこちらへ向かってくる!チャンスだ!誰かが私に話しかけてくれるはずよ、ああ~クラブ・キングのヴィンセントなら最高なんだけど~!
「おはよう御座いますクイーン様達」
「おはよう、皆さん」
「おはようございます!キング様達」
「おはよう」
キングもクイーンも何だかとっても優しいわ。ゲームの中では、貴族って感じでかなり最初はツンツンしてて、あー好感度が低いとこんなもんかー。これがデレデレになるなんて堪らない!って思ってたのに、今でも笑顔で皆に分け隔てなく優しい。特に人気があるのが、クラブ・クイーンってどういう事よ!あいつは平民を見下し、爵位の低い貴族も見下し
手下にする悪魔のような奴なのに!!
「マリエル様、おはようございます」
「今日からマリエル様と同じ学園に通えるなんて夢のようです」
「マリエル様、これもマリエル様があの時……」
何なの、何なの??しかも当のクラブ・クイーンも怒るでもなく、ニコニコととても人当たりのいい笑顔で嬉しそう。
「あらあら、入学式に遅れますわよ、皆様。お話はまた後にしましょう?」
なんて至極当然の事を言っている。話しかけられるマリエルより、周りのキングやクイーン達の方が不機嫌そうなのっておかしくない??
「マリーは私の妹なのに」
「マリーは私の従姉妹の姫なのにぃ!」
「ったく、マリーはしょうがねぇなあ」
「早く行かないと遅れますわよ!本当にお兄様に抱き上げて貰わないといけなくなるわよ?マリー」
「お?良いぜ。お姫様、連れてってやるぞ?」
な、な、なにかしら?!その中には私が受けるべきセリフもいっぱいあるんですけど??
「えっ!わ、私はきちんと歩けますからっ!そんな、だ、抱っこだなんて……」
「マリー!気をしっかり!倒れちゃう!」
「マリーは意外と繊細だからなぁ」
そう言いながらも本当に皆、仲が良くて私が入る隙間がないの!!な、何なの!何なの!!そして全員に素通りされたわ……!待って!私が聖女でヒロインなのよ!?
ドアが開くと中からキラキラした男子が……!
「あ、好き!」
私の一押しのクラブキング、ヴィンセント様だわ……!素敵、凄く素敵……絶対攻略するわ……。そしてそのヴィンセント様に手を引かれて降りてくるのは
「ちっ!クラブクイーン……」
あんな女にも優しくするなんてヴィンセント様って素敵だわ……。
「ってあれ?髪型が違う……」
クラブクイーン・マリエルはサラサラとした綺麗なストレートの髪を邪魔にならないようにサイドは編み込んですっきりとした髪型になってる。あのうざいくらいの縦巻きロールとモリモリも頭はどこに置いてきたのかしら??
「それにしても、王子様が歩いて来てるのに、なんで馬車で……」
思わず口から出た言葉は、声量が少し大きかったみたいで、キングやクイーン、王太子様の耳に届いてしまったみたい。
「っ!!!」
「ひっ?!」
なんと全員から睨まれた!!こ、怖い。わ、私何も間違った事言ってないのに!!
「……そう言えばそうね。寮から学園まではそう遠くないし、今日は家から来たから馬車だったけれど明日から馬車はやめましょう?お兄様」
「……マリエルがそう言うなら。でも途中で疲れたら、私が抱き上げるけどそれで良いね?」
「あ、朝からマリエルを殺す気ですか……っ!」
「じゃあ私と一緒に登校しよう、マリエル。女子寮の前まで迎えに行くよ?」
「や、やめて下さいまし!ルドルフ様。私以外の女子も失神してしまいます!!」
な、なんで和やかに話してるの??こんなに仲良くないわよね??ど、どうなってるの??
「ではこのスペードクイーンが毎日エスコートしようかな?」
「嫌だわ、アリアのファンクラブのお姉様達にまた睨まれてしまうじゃない?」
「マリーを睨む人なんている訳ないわ!マリーはアリアの親友だって全員知ってるもの!」
そうかしら?なんて微笑むマリエル・クラブは……片足を少し引きずっている。あ、怪我をしているから、馬車で来てたの??だからって皆でそんな過保護にする事なくない??
「アレが例の?」
「ええ、子爵が独断で……必要ないと断ったが断行したと」
「勝手にか。まさかそれで補助金を寄越せと?」
「ほんと、必要ないのに」
クイーン達がマリエルを囲んで和やかに話をしている横で、キング達が何か喋っているみたい。声が小さすぎて私には聞こえないわ……何なんだろう。クイーン達にも聞こえてないみたいだから、きっと高飛車な妹たちの呆れ話でもしてるに違いないわ。何せ、「トランプる!」でキングとクイーンの仲は最悪だもんね。
クイーン達は楽しそうにマリエルの歩みに合わせてゆっくり移動しているし、キング達も何か話しながらこちらへ向かってくる!チャンスだ!誰かが私に話しかけてくれるはずよ、ああ~クラブ・キングのヴィンセントなら最高なんだけど~!
「おはよう御座いますクイーン様達」
「おはよう、皆さん」
「おはようございます!キング様達」
「おはよう」
キングもクイーンも何だかとっても優しいわ。ゲームの中では、貴族って感じでかなり最初はツンツンしてて、あー好感度が低いとこんなもんかー。これがデレデレになるなんて堪らない!って思ってたのに、今でも笑顔で皆に分け隔てなく優しい。特に人気があるのが、クラブ・クイーンってどういう事よ!あいつは平民を見下し、爵位の低い貴族も見下し
手下にする悪魔のような奴なのに!!
「マリエル様、おはようございます」
「今日からマリエル様と同じ学園に通えるなんて夢のようです」
「マリエル様、これもマリエル様があの時……」
何なの、何なの??しかも当のクラブ・クイーンも怒るでもなく、ニコニコととても人当たりのいい笑顔で嬉しそう。
「あらあら、入学式に遅れますわよ、皆様。お話はまた後にしましょう?」
なんて至極当然の事を言っている。話しかけられるマリエルより、周りのキングやクイーン達の方が不機嫌そうなのっておかしくない??
「マリーは私の妹なのに」
「マリーは私の従姉妹の姫なのにぃ!」
「ったく、マリーはしょうがねぇなあ」
「早く行かないと遅れますわよ!本当にお兄様に抱き上げて貰わないといけなくなるわよ?マリー」
「お?良いぜ。お姫様、連れてってやるぞ?」
な、な、なにかしら?!その中には私が受けるべきセリフもいっぱいあるんですけど??
「えっ!わ、私はきちんと歩けますからっ!そんな、だ、抱っこだなんて……」
「マリー!気をしっかり!倒れちゃう!」
「マリーは意外と繊細だからなぁ」
そう言いながらも本当に皆、仲が良くて私が入る隙間がないの!!な、何なの!何なの!!そして全員に素通りされたわ……!待って!私が聖女でヒロインなのよ!?
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