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10 足は痛むが心はほっこり

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「あ……」

「マリー!マリー!!なんて無茶な事をーーー!」

 気がついたら、部屋のベッドで寝ていた……そんで足が物凄く痛い……痛すぎる!

「マリー!お母様よ、分かる?!」

「あ、はい。わかります。一体何が……?」

 ちょっと記憶が混濁してるわー?何だっけー?

「あなたは木から落ちた殿下とダイヤ家の息子の下敷きになったのよ!!」

「あ」

 そうだ!思わず体が動いていたんだった!!だって落ちたら痛いもの!!

「そのせいであなたがそんな、そんな大怪我を……うっ……っ!!」

「大怪我……足が痛いです……」

 なんかヤバめな痛さですわ……これ……。

「わぁああ!ダイヤの息子なんて捨て置けば良かったのに!!」

 お母様が顔を覆って泣き出してしまった。王子様は臣下として守るべき対象だけど……まあ、お母様の言い分もちょっとは分かるわ。

 もしかしてケーニッヒの怪我、私に来ちゃった?だとしたら……。

 神様!ありがとうございます!!推しを守る事ができたなんて!ああ!なんたる行幸!!うっひょーー素晴らしい!!ハラショーーー!!

「お、お母様泣かないで!私は大丈夫ですから、ね?」

「う、ううっ!マリーーー!」

 お母様を宥めるのが大変だった。


「マリー……」

「ごめん。マリー」

 後日、ルドルフ様とケーニッヒとデュカスがお見舞いに来てくれたわ。くっ!可愛いの三重奏!私の心臓!持ってくれっ!!

「わざわざお見舞いいただきありがとうございます。大丈夫ですわ、私が悪いのですわ」

「マリーが悪い事など何もない!」

 ひっ!王子様の声でかい!びっくだわ!

「私がふざけて……」

「大丈夫ですわ、私が悪いのです……」

 私が!私が浮遊の魔法を使えなかったのが悪いんだもの!!さっさと魔法の練習をしなかった、それが罪よ!もう!ばかばかばかばか!私の馬鹿!推しにあんなしょんぼり顔をさせてしまうなんて!!失格だわ!!切腹するしかない!

「だって、マリー……足が……」

 うむ……引きずる、杖がいると言われてしまった……くそぅ。根性ないぞ、私の足!

「大丈夫、ですわ」

 推しの痛みを和らげる事が出来たのなら問題なし!!足は痛いが心はがっちり満たされている。良くやったわマリエルイエスマリエールヒャッハー!

「皆様、マリエルもまだ病み上がりですから……」

 お兄様が推し達を回収してくれました。ふう、流石に足が痛むのですが、心臓の方が止まりかけて非常に綱渡りでした。平気な顔は大変です。

「あーでもお兄様との約束を破ってしまったわ……私は悪い子だわ」

 健康でいてくれと言うお兄様との約束が守れなかったわ……。そうだ、回復魔法よ!回復魔法でさっさと治してしまえば良いのよ!そしたら約束を破った事にならないわ!魔法、やっぱり魔法よ!そして金策が必要だわ……。うう、頑張らなくちゃ……やるのよマリー!私は出来る子、推しの為なら残業もへのへのかっぱよ。

 私は決意を新たにするのだった。

 ……ただ、回復魔法は聖女とかそういう認定を受けた希少で珍しい人しか使えない能力だってことをちょこっと忘れていただけよ……。

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