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63 本人の許可を受けて下さい

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「俺は引きこもりだから、外に出なきゃ良いんだが、クロと……ほんの少しだけ誠子が写ってる……悪い」

「ザジィ君が悪い訳じゃないけど……」
 
 あの場にいた誰かが軽い気持ちでアップした写真なのか動画なのか。確かにザジィ君はアイドル顔だし、映えるとは思うが迷惑極まりない。

「クロがあの女に金を渡す所もあってさ、王様とか言われてる」

「うげ!なんだよ!」

 ネットに流れ出てしまった物はどうしようも出来ない。ため息をつくしかなかった。

「……俺、落ち着くまで誠子の実家に避難させて貰おうかと思って」

「……良いかもな。あの家結構でかいから部屋は沢山ある」

 悪ぃ……。ザジィ君はもう一度謝り、ため息をついた。

「……座敷童子の出て行った家になっちまうんだよなぁ……みんな、そっちも気をつけてくれ」

「そっちが怖いな!まあじーちゃんもいるし大丈夫。それより本家対策しといてくれ。みんなでその本家とやらに乗り込まなきゃいけなくなるとか嫌だからな!」

 ザジィ君は目を見開いて、笑った。

「ははっ!頼もしいな!」

 ザジィ君は荷物をまとめて引っ越して行った。

「戻って来るつもりだけどよー!」

 ついでにネカフェから自分をアップしてるSNSに書き込みをして行ったらしい。


 てめーらのせいで引越しさせられた!マジで恨む!本人の許可なく上げてんじゃねーよ!消せ!

 引っ越し業者の車と、ばらまかれた写真と同じ服を着た首から下を少し写した写真を載せたようだ。盛り上がっていた一部もヤバいことをしたと、書き込みは激減し写真をアップしていた人たちも取り下げていったようだ。

 それでもこの写真はネット上から消えないだろうし、いつまた出てくるか分からない。

 まあ 訴えれそうな所には訴えとく。早く鎮火すりゃいいけど!

 ザジィ君からメッセージは届いていたけれど、無人になった201号室はとても寂しかった。それにザジィ君の本家の事もある。まだしばらく油断はできないだろうな、そう思った。


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