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13 てめーか!(大福目線)

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「行ってきます」

「ああ、いってらっしゃい、気をつけて」

 朝比奈誠子が朝に出勤した。まさか恐怖の1日が始まるとは、朝の時点で私は知るよしも無かった。


ピロン。

 メッセージを受信した音が聞こえた、愚痴聞き専用アドレスの方だ。最近、妖怪や神もネットに精通した者も多いし、ネットというものを媒介にして新たなる神や力ある物が生まれて来ている。

 それが時代の流れだろう。

 だが、その流れに乗れない者も多い。そういう軋轢で増える愚痴も多いが、そのLINEメッセージは少し違った。

『てめーか』

 そう、一言書かれたメッセージ。ゾワッと寒気が走った。

『何の事でしょうか?』

ピロン、私が送り返すとすぐに返信が来た。

『間違いない てめーだ コラ! 壁越し 聞こえ てんぞ!』

 喧嘩腰。いきなりそう言われて、私も困ってしまう。見ず知らずのモノにてめー呼ばわりされる謂れはないはずである。

『ですから、どなたですか?』

 返事を返すと、恐ろしい音が隣の部屋から聞こえて来た。カリカリ!カリカリ!壁!

『となり 猫村 ネズミ野郎!壁 引っ掻い 賃貸 なのに!』

 ひぃー!この音は隣人の猫村さんが壁で爪を研いだ音だったのか!

『お、落ち着いて!落ち着いて下さい!多少であれば壁紙の張り替えで……』

 ストトト!私の返信は早い。全身を使ってスマホで文字入力して行く。そして猫村さんは本能的に恐ろしい!
 天敵が壁の向こうでイライラしているなんて!怖い!助けて誠子!会社だ!!

『柱 ちくしょう! 』

 敷金は諦めた方が良いでしょう。

んなぁこたぁどーでも良い!てめー!誠子の家に居座りやがって!くそネズミ!締めるぞ!おらぁ!

 ひぃ!猫村さんは怒っている。初めて会った時、昨日だが。そこから物凄く怒っている。何でだろう??

『俺が 見守って いた 誠子 転がりこむなんざ、ふてぇ やろマジ』

 えっ!そうなんですか?!誠子はこの口が悪い猫又の猫村さんに見守られていたんですか??

『出勤 時間だ。また後でな待ってろ』

 猫村さんは仕事をしているようだ。

『なんのお仕事で?』

『介護介護。なんなきつい仕事やる人間いねぇ 妖怪多い大好きなババァやジジィの世話 する 』

『なるほど……』

 大変そうな業界ですもんね。頑張って下さい。

『てめー誠子に迷惑 かけんじゃねー 下のジジィ もおめーのとこ 見張ってんだから』

 下のジジィ?誠子の周りには何かと不思議が溢れているようだ。







猫村くんのセリフを直しました(๑•ૅㅁ•๑)
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