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116 小物ってさ

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「あなたについて嫌いな所は一つもありませんよ」
「体力がなくてすぐへばっちゃうけど」
「そういう所も可愛いと思っています。くったりと力なく横になっている姿は非常にそそって悪戯したくなるのは困りものですが」
「い、悪戯しても……良いですよ……むしろ、して」

 そういうさ、漫画のシチュエーションあるでしょ……ちょ、ちょっとだけ……憧れるっていうかなんていうか。

「そういう風に煽ってくるところも大好きです」

 そういってほっぺにチューしてくるから、ほんと……ほんとに!

「レイ殿すきー!」
「私も愛してますよ、リュキ」

 首にぎゅうぎゅうに抱き着いてもしっかり受け止めてくれる所が最高にかっこいい。

「ござるって言っていい?」
「いいですよ。あとそれ、下町の子供達の間で流行ってるの知ってます?皆、口々にゴザルゴザル言ってます」
「えっ……それはちょっと、どうしよう!」
「どっちかというとヴィシュル王から伝染したようですけど、ヴィシュル王のゴザルも元を辿れはリュキとマシェなんでしょう?」
「その通りでござるぅ……」

 ヴィシュ殿はセリオン氏と結構下町へ遊びに出かけているらしい。今までの王族とは全く違う行動だけれど、お高く留まっているより民衆には好意的に受け入れられている。あとヴィシュもセリオン氏もあまりお金に興味がないのもいいみたいだ。今、ルゼンは復興の為に税率もとても抑えられているし、今まで甘い汁を吸っていた貴族達はセリオン氏に文字通り斬って捨てられた。狂犬、いや狂狼なんて陰で言われているんだよ、怖いねぇ。

「貴族なんてモンはほっときゃ雑草よりニョキニョキ生えてくっからよ、多少減らして置かなきゃこっちがやられちまうのよ」
「そうなの?」
「畑が雑草だらけだと野菜が育たねーだろ?野菜は民よ、民が育たなきゃ俺ら飯食えねーだろよ」
「わあ!流石ダーリン、賢いねー」
「だろう、だろう?もっと褒めろ、ヴィー!」
「わー!ダーリン最高!ダーリンかっこいい!ダーリン絶倫!きゃーきゃー!」
「今夜も任せとけ」

 きっと今晩も空は綺麗に晴れ渡って明日も快晴だろうなぁ。女神様の機嫌は上々で、明日もいい事がありそうだ。

「所でリュキ、セリオン様から鞄を二つ預かっていまして。片方はもうオル団長に渡したのですが片方はここにあります」
「ほえ?鞄?」

 何も聞いてないけどなんだろう?レイ殿から受け取って開けてみるとなんか凄いグッズがいっぱい詰め込まれていて、慌ててカバンを閉めた。

「何が入ってたんです?」
「いいいいいえいえいえなにも、何もないでござるよ!中に手錠とか足鎖とかピッチピチの皮のパンツとか入ってなかってござるよ!」
「へえ」

 そういえばヴィシュ殿は緊縛プレイにハマっていると言っていたけど、別にそこまでお揃いにしなくていいでござるよぉーーっ!

「折角いただいたんですし、ね?」
「は、はひぃ……喜んでぇ……」

 ごめん、やっぱりちょっと興味ある……。

 いやいや、やだやだ、らめぇごっこは大変に楽しかった……!


 
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